街のコト

ヨーロッパと日本が融合する街並み/クリチバ(ブラジル)

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(ライター:内藤 哲也)

筆者が2003年より居住しているブラジルの南部パラナ州の州都であるクリチバ市は、日本での知名度は必ずしも高くないものの、人口約190万人を擁する国内主要都市の一つだ。市制が敷かれたのは1693年3月。緑地が豊か、ブラジルの州都の中で年間平均気温が最も低いことなどで紹介されることも多い。

19世紀にはドイツ、ポーランド、イタリア、ウクライナなどからのヨーロッパ移民が流入し、現在でもそうした移民たちの子孫が数多く暮らしている。市内には「ドイツの森」「ウクライナ記念公園」「イタリアンレストラン街」などがあり、また街を行き交う人たちも白人系が多いことからヨーロッパの雰囲気が随所に漂っている。

ウクライナ記念公園

その一方で、20世紀の前半から住み着くようになった日本人移民の子孫たちである日系人も市内に約4万人ほど居住しており、毎年7月になると濃いピンクの花を咲かせる桜がある日本広場をはじめ、公園の鳥居、近年市内に増えてきている日本料理店の日本語看板、また毎年6月に開催される「移民祭り」などを通じてその存在感を示している。筆者の自宅の近所にも庭に松の木が植えてあったり、日本式の玄関をつくって、室内ではスリッパや素足で過ごすという日系人の家もあったりし、日常生活の思いがけないところで「日本」に出会うこともある。

街中はヨーロッパの雰囲気が随所に漂う一方、桜が見応えある日本広場も

 

公園の入り口に設置されている鳥居

日本人がクリチバに足を踏み入れて100年以上が経過し、日系4世も珍しくない時代になっているが、心地よい文化の融合はこれからも続いていってほしいと願っている。

内藤 哲也(ないとう・てつや)
ジャーナリスト。静岡県生まれ。大学卒業後、銀行員、不動産業界紙記者、環境専門雑誌編集者などを経てフリージャーナリストに。2003年よりブラジル・パラナ州クリチバ市に在住。

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