海外の家や暮らしをレポートする「World Life Style」。第28回目はハワイでプロサーファー&GoProフォトグラファーとして活躍する日本人、ミミさんとプリスクールに通う息子エンゾ君、最近結婚したご主人アダムさんとの暮らしをご紹介。3人が暮らす家は、ホノルルの東側に位置する高台にある築52年の一軒家。虹の州ハワイと言われるほど美しい「レインボー」が望め、朝、昼、夕、夜、どの時間帯でもパラダイスの絶景が見下ろせる魅力的な家だ。
「家族3人がいつも一緒」がモットーの家
ファミリーの家はホノルルの東側に位置する高台にあり、世界的に有名なリゾート地「ワイキキ」から車で15分ほどのところにある。この一軒家を選んだ理由は「2階建てに住みたい!」という息子エンゾ君の希望を叶えるため。また、坂の上という立地上、1階がガレージという造りで、わんぱく盛りの彼がどれほど音を立てても迷惑がかからないことも好都合だった。そして、何よりも窓が大きくて、窓数が多いこと!光がよく入り、朝~夜まで、どの時間帯も絶景を楽しむことができる。今ではこの景色がない暮らしは考えられないほど気に入っているという。ちなみに、「お洒落よりも寛ぎ、たくさん遊べて笑いがいっぱい、家族3人が常に一緒にいられる空間」がインテリアのテーマだそう。
高台ならではの涼やかな風が吹き抜けるリビングルームには、いたる場所にソファが置かれており、これは夫婦のこだわりの1つだそう。それは家の中で「いつでもどんな時でも家族が一緒にいられる場所を作りたい」というポリシーから。
ソファは6ピースに分かれたモジュラーセクショナルタイプなので、パズルのように組み合わせることができる。季節やイベントに合わせて、一人用、二人用、大人数用、ベッド仕様と用途によって空間をアレンジしている。
リビングルームのバルコニーではワイキキからダウンタウンまでのビル群が一望できる。世界でも有数のリゾート地として知られるハワイ。自動車のライセンスプレートには虹がデザインされ、「レインボー・ステート」と呼ばれるハワイ。そんなハワイの中でもこの家は青い空や青い海、深い緑色の山々、そして雨の後にはほとんどの確率でレインボーが姿を見せる。完璧なレインボーが自宅に居ながらにして見られ、一日中180度のパノラマで見渡せる場所で暮らせるなんて、これ以上の贅沢があるだろうか。
ファミリーが暮らす、ホノルル市内の東側に位置するカイムキ・エリアは、レベルがよい公立学校のある学区で知られているため、就学年齢の子どもを持つファミリーに人気だ。そのため、手頃価格の賃貸物件を探すのは至難の業。学区もよく、プラスこの素敵な眺めまで手に入るこの家は、まさにドリームハウスだ。
リビングルームのバルコニーはL字型で、小さいテーブルと椅子が置いてあり、一日家にいる時は、ここでおやつを食べたり、エンゾ君の勉強を見たりする。また、ホリーデーシーズンには、ニューハンプシャーからアダムの両親が訪れ、この素敵なローケーションで毎朝&毎晩コーヒーやカクテルを飲んで楽しむという。
必要最低限のものだけで暮らすシンプルライフ
「趣味は断捨離!」と語るミミさん。小さな子どもがいると、家の中はついつい散らかってしまいがちだが、物を極力少なくすることで、すっきりとした空間を維持。ハワイでシンプルな暮らしをするようになり、現代の家庭の無駄なものの多さに気付いたそう。家はスッキリ余計な小物などは買わず、「1日で引っ越しが終えられるように荷物を少なくすること」を心がけて暮らしている。定期的にスワップミート(フリーマーケット)に出店し、使わなくなったものを処分。
小物類はあまり外に出さず、備え付けのクローゼットや棚に収納。仕事で使用するカメラをはじめ、ジュエリー制作器具、サーフィンのコンテストで入賞時にもらったトロフィーなども入れて、商品ケースのように使っている。
「この場所に引っ越して来て8ヶ月経ちますが、インテリアはゆっくり、気長にそろえようと夫婦で話しているの」とミミさん。でも、なかなか進展しないらしい。なぜなら「この家の大きな窓から見える景色と、お気に入りの香りで満足しているからなんです」。
ミミさんはアローラのディフューザーを愛用。イタリア人の姉妹がアメリカの祖父母の農場で製品を作ったことがきっかけで、質の高い香りに人気と信頼を得たアローラ。ハワイでは人気のブランドで20種類以上の香りがあるそうだ。ミミさんのお気に入りはオレンジが入っているもの。写真のボドルは、シナモンとビターオレンジがミックスされた「フィエスタ」という香り。
インテリア用品を買わないミミさんは、香りと景色に加え、フルーツやお花、エンゾ君のオモチャをアレンジしてインテリアに。トロピカルなフルーツやお花がハワイらしさを演出してくれる。
新居を探している時、「ああ、ここだ!」と思った決定的な理由は、眺めはもちろんのこと、古いけれど温かさを感じるメープルのキャビネットとレッドウッドの壁、マホガニー調の床だったこと、なによりキッチンがリビングルームに面していたから。
古き良きハワイを感じさせるこの家のぬくもりに、ひとめ惚れだったそう。コンパクトながらも使いやすいキッチンは大のお気に入り。ここにもカウチを置き、食事の支度中も家族でおしゃべりを楽しんでいる。
一年中温暖な気候のハワイでも、高台なのでエアコンいらず。朝晩は寒いと感じるほど快適な暮らしだ。エンゾ君はプリスクールと言って、日本で言う保育園のようなところに通っている。アメリカでは0歳から受け入れているプリスクールもあるという。
エンゾ君はわずか5歳ながら、おもちゃの数はたったのこれだけ。すっきり暮らしは母親ゆずりだ。最近はプロのサーファーである母からサーフィンの楽しさを覚え、もっぱら海に夢中。
寝室のドアから外へ出ると、サーフボード置き場がある。朝、ベランダから見える海を見て、波の状態がいいとそのままサーフボードを車に積んで海に行くことも。ワイキキビーチまでは15分、世界中のセレブが集まるカハラ地区のビーチまでは10分足らず。サーファーにとってこれ以上の幸せがあるだろうか。
これぞハワイのライフスタイル
ミミさんは高校卒業後にニュージーランドで3年過ごし、その後、日本で外資系企業に勤務。その頃、サーフィンと出会い、転職を経てハワイの大学へ留学した。留学生として初めてコミュニティカレッジを首席で卒業という快挙を遂げた。
大学在学中にサーフィンのコンテストに参戦しはじめ、ハワイアマチュア選手権2年連続優勝、3年連続総合優勝などの成績を収める。ウィメンズパイプラインプロで準優勝を飾り、プロへ転向。その後も毎年表彰台へと上がる記録を持つほどの凄腕だ!
ファミリータイムは、何でも家族3人で過ごす。週末のビーチタイムは友人を招いてキッズサーフィンのレッスンや、BBQも楽しんでいる。一年を通してこんな時間を過ごせるハワイは、子どもにとっても、大人にとってもやはりパラダイスだ。ファミリーの笑顔がすべてを語っている。
■プロフィール■
堀内ミミ(41歳)ハワイ大学大学院経営管理研究科エグゼクティブMBA課程修了。米国政府より自身のプロサーファーとしてのPR能力を評価され、企業のマーケティングを手掛けるほか、講師やライターとして活動、ウィメンズパイプライン準優勝。ハワイ在住17年。今年、アダム氏と結婚。
堀内エンゾ(5歳)ホノルル生まれ。日本人とイタリア系アメリカ人のハーフ。未婚シングルマザーの母親と母親の友人、近所の人たちに囲まれて育ったため、空気が読めて気が利くスマートなわんぱく坊主。
アダム・ティリー(36歳)ニューハンプシャー出身。ディストリビューションを行う会社のサラリーマン。趣味はゲームで昔ながらのカードゲームやボードゲームからハイテクなテレビゲームまで大好き。その遊びのセンスからエンゾ君をはじめ、近所の子どもたちにも大人気。とても面倒見のよいパパで愛妻家。
〜住まいについて〜
面積:106.8平米
築年数:52年
間取り:2ベッド&2バスルーム、
家賃:$1835(210,000円・水道代込み)
■アメリカ・ハワイ不動産事情■
ハワイは、世界中の人々に愛され、憧れのリゾート&楽園として人気が高い観光地。外国人でも自由にハワイの不動産を売買できるほか、個人名義で登記できるため様々な国の人々が不動産を購入している。
ハワイは今、不動産バブルといわれ、大規模な都市開発が進む。カカアコ・エリア(アメリカで一番大きなオープンエア・ショッピングモール「アラモアナセンター」からダウンタウンにかけての地区)では、1ユニット/数億円を超える高級コンドミニアムが続々と建設中。コンドミニアムの平均価格は、築年数に関係なく、ワイキキ地区で平均価格約$350,000(4,000万円)程度の物件が中心で、$870,000(一億円)を超える物件も。
高級エリア「ダイヤモンドヘッド地区」や「カハラ地区」は「戸建て」が中心。美しい海やダイヤモンドヘッドの眺望が楽しめ、広い敷地にプールがついている物件がほとんど。ダイヤモンドヘッド地区では平均価格は約$740,000(8,500万円)、カハラ地区は$1,740,000(2億円)と高額なのが特徴。賃貸物件は、エリアによるが、平均でスタジオ(ワンルーム)/$1000~$1300(114,000〜148,200円)、1ベッドルーム/$1300~1800(148,200〜205,200円)、2ベッドルーム/$1800~$2500(205,200〜285,000円)。セキュリティが充実している物件は、これよりも割高になる。賃貸物件の場合、冷蔵庫やベッド、調理器具(電気またはガス・ストーブ、オーブン)などがそろっていることが多い。