家のコト

World Life Style~わたしの国の住まい事情~

モスクワ・レーニン通りにあるスターリン様式の人気物件に暮らす、俳優キリル。 夏涼しく、冬暖かい快適空間でリラックス

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海外の家や暮らしをレポートする「World Life Style」。第30回目はロシア・モスクワの伝統あるバフタンゴフ劇場の俳優キリルが住むアパートをご紹介。 天井が高く、夏涼しく、冬暖かいスターリン様式のアパートはモスクワでも人気の物件。家具の趣味は大家さんだが、キリルのテイストが加わりとても落ちついた大人の雰囲気である。キリルは俳優として忙しく過ごす傍ら、このアパートでリラックスすることをとても大切にしている。

天井が高く、大きくて居心地の良いLDK

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スターリン時代に建築されたこのアパートはスターリン様式と呼ばれ、モスクワでは人気の物件。外壁がレンガ造りで、天井が高く、開放感があり、壁が厚いので防音にも優れている。夏は涼しく冬は暖かいことも特徴だ。レーニン通りという交通量の多い大きな通りに面しているのに、部屋に入るとすごく静かである。
キリルがこのアパートに住み始めたのは10年前で、知り合いから借りている。モスクワの賃貸物件は家具付きのことが多く、このアパートも大家さんが揃えたものだが、そこにキリルのテイストが加わり、とても落ちついた大人の雰囲気に。「僕は居心地のいいこのアパートが大好きなんだ。撮影や舞台で忙しく、なかなか家に帰れないときは本当に家が恋しくなるよ」とキリル。いつも家に帰るのが楽しみで、引越する気は全くないと言う。

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玄関を入ると広々とした居間が広がる。左側にキッチンとダイニング。キッチンと居間が一緒になった大きなLDKは、ソファを使ってダイニングとリビングに上手に分けている。
忙しいキリルだが、時間が出来ると家族のような友人達と一緒に、ここで食事をしたり、映画を見たりして過ごす。友人達もこの落ち着いた居心地の良いリビングが大好き。

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キッチンのガラスのダイニングテーブルに合わせている、白いソファ。これも全て大家さんの趣味だそう。

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テーブルの上の花はファンからのプレゼント。ロシア演劇の劇場では舞台挨拶の時にファンが舞台の下に行って、お気に入りの俳優にお花をプレゼントする習慣がある。人気俳優のキリルのアパートにはいつもファンからのお花が一杯だ。

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キッチンは全て作り付けの収納。木目調のシステムキッチンに合うように、冷蔵庫はキリルが自分で購入した。料理上手で、パンケーキとかチキンのグリルが得意のメニューだとか。忙しいのであまり料理をする機会がないが、友達が来た時は美味しい料理をふるまう

大好きなものに囲まれた空間でリラックス

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キリルのアパートには好きな狼の置物がさりげなく置いてあったり、キリルのママの若いころの写真が飾ってあったり、緑もたくさん置いている。忙しいキリルにとって、大好きなものに囲まれてゆったり過ごすことこそが、一番リラックスできる時間なのだ。

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玄関わきの壁には、額に入ったプログラムがたくさん。「これは僕が出たお芝居のプログラムだよ。記念に額に入れて飾っているんだ。もう入らないからもっと大きな額にしなくちゃ。」とキリル。

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これは舞台で演じている時の写真。バフタンゴフ劇場の「Возьмите зонт, мадам Готье! 」(マダムゴチエ、傘をお持ちになって!・日本語訳 )に出演した時のもの。どうしょうもない悪の養子を演じた。隣は養母役の女優さんだとか。

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本棚に積まれた本は、お芝居関係の人や友達からプレゼントされたものが多い。

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ロシア人の多くはロシア正教徒。教会に通うほどではないが、キリルもそう。ロシア人の家庭ではこんな風にイコンを飾る家が多いそうだ。

広々としたバスタブはジャグジー付き、洗濯物も干す

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バスルームはトイレと一体となったタイプ。バスタブは大きくジャグジー付き。
ロシアでは冬の寒さが厳しく、外に洗濯物を干す習慣がないので、キリルは洗濯物干しもバスルームに置いている。バスルームが広くない場合は、室内かベランダで干すのがロシア人のスタイルだという。

快適な仕事と睡眠を与えてくれるプライベートな空間

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キリルが俳優になったのは30歳くらいの時。医学関係の大学を出たものの、やりたいことはこれではないと気づき、演劇大学に入り直し、卒業と同時にバフタンゴフ劇場に入った。4〜5年前から「SAD」という小劇場も主宰。最近ではテレビドラマや映画の出演も多く、撮影所があるサンクトペテルブルグとモスクワを月に何度も行き来し、その合間に舞台に立つという多忙な生活を送っている
仕事のスケジュールから自分が主宰する「SAD」の作品プロデュースまで管理する。家で仕事をすることが多いので、大事な仕事空間は寝室の片隅にある。

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ベッドルームにはイーゼルがさりげなく置いてある。忙しくても仕事の合間をぬって趣味の絵を描くことがキリルにとってのストレス解消法だ

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■プロフィール■
キリル・ルプツォフ(41歳)
モスクワ出身。兄、妹と3人兄弟の真ん中。モスクワの伝統ある有名なバフタンゴフ劇場の俳優であり、小劇場CADを主宰。舞台だけでなく、テレビドラマや映画でも活躍中。
趣味は絵を描くこと、映画鑑賞、スポーツジムで体を鍛えること。
〜住まいについて〜
ILDK(平米数不明)。家賃は知り合いから借りているので秘密。モスクワの相場では40,000〜50,000ルーブル(約8〜10万円)

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■ロシアの不動産事情■
ロシアの主な都市では一軒家よりも集合住宅が多い。ソ連時代は国からアパートが支給されたがソ連邦崩壊後に私有化され個人の物になったため、持ち家率は非常に高い。購入の場合、新築2DKで700〜900ルーブル(1400〜1800万円)、中心部に近いエリアだと、中古でも800〜1000ルーブルに(1600〜2000万円)。夏の週末や休暇は郊外のダーチャと呼ばれるサマーハウスで過ごす人が多い。
賃貸の場合、モスクワの2DKのアパートで、家賃1か月35,000ルーブル〜。(70,000円)。外観は古くても、アパートの内部はモダンに改装していることが多く、その改装の度合いやロケーションにより高くなることも。古いアパートの多くは、中庭を囲むようにコの字型をしており、中庭には子供用の小さな公園、駐車場、住人用のアパートの入口がある。人気の物件は、キリルも住んでいるスターリン時代に建築されたスターリン様式のアパート。最近は中心部から少し離れた新しい地区の新築のアパートも人気。不動産屋を介して物件を借りる場合は、前家賃1ヶ月、不動産屋へ手数料(家賃1ヶ月分)、敷金1ヶ月(引越するときに問題なければ返却される)。日本の様に保証人は必要なく、ほとんどが家具付き物件となっている。

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