家のコト

World Life Style~わたしの国の住まい事情~

タイの若きビストロオーナーは音楽と緑が大好き! 両親が購入した豪邸の3階スペースで快適な暮らしを満喫

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海外の家や暮らしをリポートする「World Life Style」。第24回目はタイのバンコクに住む20代のタイ料理ビストロオーナーのお宅をご紹介。バンコク中心部から車で30分ほどの住宅街パタナカン地区にある、豪華な3階建ての一軒家に両親と暮らしている。この家は13年前に父親が新築で購入したもので、以前から所有していた裏の一軒家には、祖父、兄夫婦、叔母が住む。2本の路地の間に広がる1200平米の敷地に2軒。3世代の家族が互いに行き来をしながら暮らしている

玄関の向こうに広がるゴージャスなリビングエリア

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両開きの玄関の向こうには広々としたエントランス、その横にはリビングルームがつながっている。約600平米という広大なスペースは白と金色をベースにヨーロッパ調のインテリアでまとめられ、床は大理石という豪華絢爛さだ。インテリアの構想を練ったのはウィッチさんのお父さん。幼少時、貧しさからお寺で育ち、働きながら勉強をし、業務用冷蔵庫メーカーを創業して成功を収めた苦労人だ。

ウィッチさんとお父さん

ウィッチさんとお父さん

タイの富裕層は一族で家業を行うことが多い。ウィッチさんは昨年オープンしたビストロオーナーの一人としてマーケティングを担当する一方で、お父さんの会社でも働いている。子供の頃から兄と共に家業を継ぐことを諭されてきたウィッチさんは、いずれ家業を継ぐと心に決めている。実はこの家も、お父さんが息子のために購入したものなのだ。

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来客用のスペースであり、家の顔ともなるリビングルームは、西洋風のラグジュアリーな空間に仕上げた。タイでは豪華であることが成功者の証でもある。

家族が集うダイニングは落ち着いた雰囲気

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同じく1階にあるダイニングルームも広々としており、豪華なシャンデリアの下に8人掛けの大きな食卓が置かれている。床も家具も木目調で落ち着いた雰囲気だ。タイではこれほどの豪邸になると、家事や炊事や庭仕事をするお手伝いさんを雇うのが普通。ウィッチさんの家にも住み込みのお手伝いさんが4人いて、毎日母親直伝の味を再現してくれる。ウィッチさんが子供の頃は「ごはんだぞー!」というお父さんの号令で家族が揃い、食卓を囲んだが、子供たちが成長した今ではそれぞれのペースで食事をし、各自の部屋でくつろぐことの方が多い。

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お父さんの書斎は木目調で落ち着いた部屋。書斎といいながらも、実はお父さんがクーラーで涼みながら葉巻やパイプを楽しむリラックスのための場所。窓の隣の壁に飾られているのは、3人の子供たちの大学卒業式の写真だ。ウィッチさんが学生の頃は勉強部屋として使っていた。

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リビングルームの外側を囲むようにテラスがあり、常夏の土地らしい青々とした緑の木や葉っぱが茂っている。タイは5月から10月までが雨季。連日のスコールでこの時期の緑はみずみずしい。多忙なお父さんにとって、ここで葉巻やパイプをくゆらすときが何よりのリラックスタイムだとか。

敷地を護ってくれる神様の家

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タイの家の敷地内に必ずあるのが祠だ。これは土地やそこに暮らす人々を護る神様を奉ったもので、一本柱の台にお堂がのっている。中には神様が宿るとされる碑のほか、踊り子や象などの像が置かれ、花や食べ物などを欠かさずお供えする。こうした祠に向かってタイ人は手を合わせ、「悪い者ではありませんので宜しくお願いします」と心の中で挨拶するそうだ。

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2階の仏間にあるのは、仏様と先祖の霊を祀った仏壇だ。仏教国のタイでは人々は熱心に寺に行き、お供え物をし、お祈りする。家に置く仏壇のサイズは様々だが、このような立派な仏間はやはり豪邸ならでは。毎日お祈りをするのはウィッチさんのお母さんだそうだ。母親が家族の安泰を願うのはどこの国でも同じ。

大好きなものに囲まれたウィッチさんの居住スペース

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3階はウィッチさんが最も多くの時間を過ごす場所。ウィッチさん専用の居住スペースには、「テラス」と名付けたリビングルームと寝室、バスルームそしてバルコニーがあり、そのほか客間とエクササイズルームがある。ウィッチさんが一番気に入っているのは、約200平米ある「テラス」。大好きなレコードやCD、スニーカーに囲まれた空間はそこにいるだけで幸せな場所で、友達がくれば一緒にくつろぐ場所でもある。

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今一番のお気に入りは、クロスリー社のレコードプレーヤー。音楽好きの父親がプレゼントしてくれたものだ。

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これまではヒップホップやR&Bを中心に1000枚以上のCDを集めてきたが、レコードプレーヤーのプレゼントをきっかけに最近はレコードのコレクションも増えてきた。ちなみにアナログレコードは、最近バンコクの若者の間でもカッコイイと流行りつつある。

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一番好きなのはリル・ウェインのラップミュージック。タイの富裕層の子女は海外やインターナショナルスクールで教育を受けることが多く、ウィッチさんもカナダやシンガポールで高校時代を過ごした。タイから初めて海外に行き、現地で触れた欧米の音楽やファッションはとても刺激的だったという。

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ウィッチさんの世代は日本のアニメやマンガで育った。ドラえもんが大好きで、ガンダムの模型にもはまり、日本のポップカルチャーに影響を受けてきたウィッチさん。子どもの頃、週末の朝にテレビで日本のアニメを見るのが楽しみだったそう。熱心なファンの多いタイでは、アニメやマンガの最新情報がリアルタイムで伝わる。「今タイで最も熱いマンガは?」とウィッチさんに聞くと「One Punch man」(ワンパンマン)と即答された。

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もうひとつ大切にしているのがスニーカーだ。なんと50足以上。収納スペースがないのが目下の悩みだが、シンプルな収納兼飾り棚をイケアで購入し、無事収まっている様子。2011年にタイに進出したイケアは、そのブランド力とシンプルモダンなテイストが20〜30代を中心に人気だ。

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寝室はいたって普通、と話すウィッチさん。ベッドの脇にはパソコンがあり、予約確認や顧客管理といったビストロの仕事をする場合はここで行う。ただ、仕事とプライベートはなるべく分けて、家ではリラックスするのがウィッチさん流。

緑がいっぱいのルーフトップバルコニーでリラックス

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寝室に続くルーフトップバルコニーもまたウィッチさんのお気に入りの場所。広さは約200平米、たくさんの植木や鉢が並んだバルコニーで、緑を眺めながら一服したり、スマホをいじったりして気楽に過ごすのが好き。オーナーを務めるタイ料理ビストロの名前は「Leaf Thai Bistro」。このバルコニーで植物を見ながらひらめいたそうだ。

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■プロフィール■
ウィッチ・ピヤモンコル(28歳)。バンコク育ち。カナダに語学留学後、シンガポールで高校時代を過ごす。タイに戻り、ランシット大学でマーケティング学士号を取得後、父親の会社である業務用冷蔵庫メーカーのSystem Form社(http://www.system-form.com/ )を手伝う。その後、英国でマーケティング修士号を取得。タイに帰国後は父親の会社を手伝いながら、2015年流行発信地のトンローエリアにタイ料理ビストロ「Leaf Thai Bistro」(https://www.facebook.com/leafthaibistro/)を高校からの仲間とオープン。
アメリカで修士課程を勉強中の妹さん(※写真右)とは5歳離れている。アメリカとタイで毎日連絡を取り合うほどの仲良し。
〜住まいについて〜
面積:土地は約600平米。現在は2軒分で1200平米。
価格:ウィッチさんの暮らす一軒家の購入時の価格は、家具やデザイン料も込みで約4500万バーツ(現在の為替で1億3261万円)

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■タイの不動産事情■
バンコクの住まいには、日本の分譲マンションにあたるコンドミニアムや、建物全体を一人または一社のオーナーが所有するアパートメント、一軒家、タウンハウスなどがある。現在のタイは、中間所得層が増え、住宅の需要が増して不動産ラッシュ。景気にやや陰りが出てきたものの、今もあちこちで高層コンドミニアムが建設されている。人気エリアは、中心部を通る高架鉄道(BTS)や地下鉄(MRT)沿いのスクンビットやシーロムで、この辺りは富裕層向けのラグジュアリーなコンドミニアムが多い。一方、BTSやMRTの路線延長に伴い、住宅開発は郊外にもどんどん広がっている。
賃料はエリアや築年数などで様々だが、スクンビットエリアでも流行発信地であるトンローのコンドミニアムは50平米前後で月2万バーツ(約6万円)以上。同じBTS路線で3駅先のオンヌットは庶民的な生活圏でありながら中心部へのアクセスも便利とあって最近注目されているエリアだ。上記と同じようなコンドミニアムが1万バーツ台からある。
バンコクで家探しをする際にチェックしたいのが、陽射しと冠水の度合いだ。常夏のため、日本では良しとされる南向き、最上階は暑くてエアコン代がかさむ。また、スコールがある雨季は、道路の水はけが悪くて冠水する地区もある。駅から徒歩圏は便利だが、多少距離があっても初乗り35バーツ(約105円)のタクシーや、コンドミニアムやアパート専用のトゥクトゥク(三輪オート)サービスを利用する方法もある。

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