家のコト

World Life Style~わたしの国の住まい事情~

オーストラリアの緑豊かなロケーションに建つクイーンズランダー・ハウスで、オージーらしい暮らしを満喫。

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海外の家や暮らしをリポートする「World Life Style」。第14回目はオーストラリア・ブリスベンの一軒家に住むジューンさん一家をご紹介。亜熱帯気候に適したクイーンズランダー様式の家を大胆にリフォームした家には、風が吹き抜けるオープンな居住空間とそれに続く広いベランダを設置。眼下に広がる南国の豊かな緑に癒され、週末はBBQパーティーとオージーらしいライフスタイルを満喫する。

築80年の家を大改築し、クイーンズランダー・ハウスに

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ジューンさん一家は10年ほど前に築80年の小さな一軒家を購入し、オープンなリビングダイニングスペースと広いベランダを増築。「何人かの設計士にデザインを頼んで、かれらの作品を参考にしながら間取りを決めたの」とジューンさん。4つのベッドルームを玄関側に集約させ、家の奥側半分をすべてオープンにした広々とした設計だ。バックヤードにプールも設置し、理想の家を完成させるまでに2年を費やしたそうだ。
心地よい大きなソファセットと大型テレビのあるリビングエリアは、人が大勢集まっても圧迫感を感じないスペース。「うちは親兄弟がブリスベン市内に住んでいるから、クリスマスはもちろん甥っ子姪っ子の誕生日にも集まってパーティーをするの。」と嬉しそうに話してくれた。
オーストラリアでは、週末に親戚や友達が集まってブランチやアフタヌーンティ、BBQパーティーをすることが多いのだ。ホームパーティーと聞けば、準備や接待がストレスなのではないかと思うかもしれないが、こちらでは食べ物・飲み物は持ち寄りが普通で、招待客も各自それぞれが楽しむリラックスしたパーティーなので、ホスト側もそれほど負担に感じない。

玄関から一直線に通じる廊下。風が吹き抜け、夕方以降は夏でも快適に過ごせる。一面フローリングの床が素足に気持ちいい

玄関から一直線に通じる廊下。風が吹き抜け、夕方以降は夏でも快適に過ごせる。一面フローリングの床が素足に気持ちいい。

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日本の約20倍の広大な国土をもつオーストラリアは地域によって気候もさまざまで、国の北東部に位置するクイーンズランド州は、観光地として有名なケアンズを含む北部が熱帯気候、ブリスベンやゴールドコーストを含む中部以南が亜熱帯気候となる。建物の様式もその土地の気候や風土に合わせた特色を持っており、クイーンズランド州に広く見られる建築様式を「クイーンズランダー・ハウス」という。高床式の木造で広い屋根つきのベランダを持つのが特色だ。高床式なのは洪水や害虫から居住部分を守るためと風通しをよくするための工夫。
ジューンさんの家も2階が居住スペースになっており、階下は倉庫として利用。芝刈り機やガーデニング道具、キャンプ用品などが保管されている。

world_14_04ランドリーは1階にあるが、ここにはランドリーシュートが設置されていて、2階から洗濯物を投げ入れると、そのままランドリーの洗濯機上のスペースに落ちてくるようになっているので、いちいち洗濯かごを抱えて階下に運ぶ必要がない。

2階にあるランドリーシュート。扉の奥に穴があり1階のランドリーに続いている。

2階にあるランドリーシュート。扉の奥に穴があり1階のランドリーに続いている。

広いベランダは第2のリビングに

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ブリスベンの夏は長い。11月から3月までは日中の気温が30度前後になる日が続く。しかし日本の夏のように熱帯夜が続くことはまれで、午後に夕立が来る事も多いため、早朝と夜間は涼しく過ごしやすい。また冬場も日中は20度以下に下がる事がない温暖な気候だ。そんな事情もあってか、ベランダはテーブルやソファを置いて屋外リビングとして活用、のんびり過ごすのがブリスベン風のライフスタイルだ。

ベランダに置いてあるガス式の小型のバーベキューグリル。BBQだけでなく朝食用のベーコン・エッグを作ったり、普段使いにも大活躍。キャンプにも持参できる優れものだ。

ベランダに置いてあるガス式の小型のバーベキューグリル。BBQだけでなく朝食用のベーコン・エッグを作ったり、普段使いにも大活躍。キャンプにも持参できる優れものだ。

熱帯の木々と鳥たちに囲まれ、まるでリゾート

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ジューンさん一家が住むバードン地区はブリスベンの中心部から約4キロ、丘陵地に広がる閑静な住宅街。公共バスの便もよく市街地に近い上に緑豊かで景観が良いため、とても人気の高いエリアだ。家のベランダから見渡せる緑の木々と遠方の山(マウント・クーサ)を眺めていると、ここがシティまで車でたった10分ほどの場所とは思えない。
「この眺めが気に入ってこの家を購入することに決めたの」と話すジューンさん。家の改築のときもこの景観を存分に楽しめるように設計した。朝夕は色鮮やかなインコのレインボウ・ロレキートや真っ白な大型のオウム、コッカトゥー(キバタン)などがやってくる。住宅街ではあるが一区画が大きいので(約800平米)、隣接する家の騒音などに悩まされることもない。共働きで忙しい毎日だが、こうして豊かな自然に包まれているとストレスも忘れてリフレッシュできるそうだ。

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バックヤードにあるプールも家を購入したときに増設した。夏が長いブリスベンでは、自宅にプールがある一軒家や、供用のプールがあるタウンハウス・マンションは珍しくない。子供たちは学校が終わるとプールに直行し、休みの日には友達を呼んでプールパーティー。高い塀で囲まれているのでプライバシーも守られている。

趣味は料理。機能性にすぐれたキッチン

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ご夫婦そろって料理が趣味というジューンさん一家。アイランド式のキッチンはグラナイト(みかげ石・花崗岩)の天板を使用。友人たちと一緒にピザ生地を作ったり、持ち寄りの食べ物をビュッフェ風に並べたりと、このアイランドベンチは大活躍だ。また、電気コンロを使っている家庭も多いブリスベンだが、ジューンさん宅は料理がしやすいガスコンロを採用。コンロの下には大型のオーブンもある。ちなみに片付けは食洗機にお任せ、というのがストレスフリーなオージースタイル。

飾り棚にはアンティークや贈り物をコレクション

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ジューンさんの好きなアンティークの食器や頂き物をコレクションした飾り棚。写真にある子供の人形は「ガムナッツ・フェアリー」と呼ばれるユーカリの木の妖精たち。オーストラリア独特のものだ。

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人が集まる家らしい、ゲストに優しい空間

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玄関から続く廊下の一角はゲストが荷物を置いたり、ちょっと一人で休んだりできるコーナー。優しいランプがくつろぎの空間を演出している。4ベッドルームの一室はゲストルーム。ベッドルームの隣は小さなSitting room (居間)が続いていて長逗留も可能な間取りになっている。

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■プロフィール■
ジューン・キャンベルさん(47歳)公務員。ご主人と2人のお子さん、2匹のコッカースパニエルと暮らしている。結婚してからはライフステージと仕事の状況に合わせて数回引越しをしていて、今の家が6軒目。趣味はキャンプ、料理、ガーデニング。ニューサウスウェールズ州の山間にプライベートキャンプサイトを持ち、数日休暇が取れるといつもキャンプに出かけている。
~住まいについて~
土地:810㎡、建物:約250㎡ 購入価格460.000AU$(2005年)(=現在のレートで約3900万)+改築費用 約400.000AU$(2005年)

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■ブリスベンの不動産事情■
オーストラリアの不動産は高騰が続いている。アナリストによると、移民が多く人口が増え続けているため、この高値は今後もしばらく続くということだ。ブリスベンは人口約200万人強で、オーストラリア第3の都市。不動産価格は市内でもエリアによってかなり差がある。中心部からの距離や景観、安全性などはもちろん価格に影響するが、洪水の際に浸水するエリアかどうかも家の購入・賃貸先を決める大きな要素となっている。建物は、市街地やその近辺には大型マンションが増えてきているが、郊外では一軒家が主流だ。人気のエリアでは4ベッドルーム、車庫、バックヤード付きの一軒家だと購入価格6500万以上、1億円以上の家も多く見られる。
賃貸は2週間ごとに家賃を払うのが一般的だ。家賃はエリアによって差が大きく、3ベッドルームのユニットや一軒家で、250AU$/週~800AU$/週を超えるものまで。いいエリアは家賃がかなり高いので独身者が一人で家を借りるのは経済的に難しく、多くの若者や独身者が友達同士でハウスシェアリングをしたり、親と同居したりしているのが現実だ。家を借りるときは不動産の総合情報サイトで探し、管理している不動産業者に連絡する。

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