家のコト

World Life Style~わたしの国の住まい事情~

ペルー・リマにある集合住宅『コンドミニオ』セキュリティ万全で子育て世代に人気の住居

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海外の家や暮らしをリポートする「World Life Style」。第9回目はペルー・リマの「コンドミニオ」に暮らす一家を紹介。複数の戸建やアパートの周囲を高い塀や鉄柵で囲んだ「コンドミニオ」は、常駐の守衛が住居者以外の出入りを入り口で厳しくチェックするため、内部のセキュリティーは万全。共有の広い庭もあり、安心して子供を遊ばせることができる人気の住居スタイルだ。

キャンバスに見立てた真っ赤な壁には、個性豊かな仮面がいっぱい

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ペルー人のフアンとフィンランド人のアンナは、まもなく2歳になる娘ラウラちゃんと一緒に、リマ市サンティアーゴ・デ・スルコ(略称:スルコ)区の「コンドミニオ」で暮らしている。リマ新市街の南東に位置するスルコ区は、中間所得層~富裕層が多く暮らす比較的治安のよいエリア。その上安全性の高いコンドミニオとあって、ここは「子育てには最高の環境」という。フアン一家が住まうのは、コンドミニオ内にある3階建てアパートの最上階。窓も大きく、採光は抜群だ。来訪者の度肝を抜くのが、リビングの真っ赤な壁と異形の仮面たち。アンデスやアマゾンを始め、世界各地の伝統的な祭りで使われていた仮面が、フアン自慢のコレクション。すでに亡くなった名工の作品もあり、その価値は計り知れない

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2年前にフアンたちが越してきた時は白壁だったが、塗り替えを提案したのはアンナだ。「彼が大切にしている仮面が一番映える色を考えた時、これしかないって思ったの」力強く深みのある赤が、仮面たちの放つ強烈な個性を上手にまとめている。

古い家具をリフォームして、自分たちのスタイルに仕上げる

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古いもの、特にぬくもりを感じさせるナチュラルな素材のものが好きな2人は、フアンの祖母や曽祖父から受け継いだ古い家具をリフォームして大切に使っている。ネオクラシック様式のソファーや椅子は、ブルーベルベットや本革を使って、自分たち好みのテイストに造り直した。中でも曽祖父が愛用していた本棚は、100年以上前のアンティーク。鍵穴や蝶番の作りが特に気に入っているという。

「古き良きもの」という共通点が、不思議な調和を生み出す

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存在感のある家具ばかりなのに、見事に調和した不思議なリビング。古き良きものが生み出す、本物が持つ力もあるが、あちこちに置かれた観葉植物や切り花も、穏やかでナチュラルな空間の演出に一役買っている。
ペルーに来る前は、フランスやモロッコなど世界各地で働いていたというアンナ。彼女の趣味は、女性アーティストの絵画と手作りの食器を集めること。モロッコで買い求めた手描きの皿は、ナッツや子供のお菓子を入れるのにちょうどよく、重宝しているそうだ。

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クスコのプカラ村で作られる素朴な鉢の中には、アンナが故郷フィンランドから持ち帰ったという松ぼっくりが。ラウラちゃんお気に入りのおもちゃでもある。

古代アンデス文明の出土品もコレクションに

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フアンのもう一つのお宝は、古代アンデス文明の出土品(注*)。1000年以上前の壺や、ミイラに被せられていたという木製の仮面まである。仕事柄、ペルー各地を回るフアンならではのコレクションだ。
(注*)ペルー国内であれば個人が所有してもよい。

リマのナチュラルな食材を使って料理する毎日

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「リマは野菜や果物が安いから、近所のボデガ(食品雑貨店)で必要な分だけ買って、新鮮なうちに食べるようにしているの」とアンナ。食材は、保存料などが入っていないナチュラルなものを選択するよう心がけている。コンロにはアンデス伝統の素焼の鍋が。「これでキヌアのスープを作ると、抜群に美味しいの!」。リマは気候が温暖なので、野菜や果物の保存も木箱でOK。ほとんど作り置きをしないため、冷蔵庫もこの大きさで十分だ。

世界中のアートに包まれた子供部屋

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壁の水色が爽やかな印象の、一人娘ラウラちゃんの部屋。ベビーベッドにはペルー・フニン州の伝統的な織物。アンナが添い寝するベッドには、インドで購入したベッドカバーが掛けられている。天井に飾られたガーランド(三角形の旗)は、ラウラちゃんの1歳の誕生日にアンナが手作りしたものだ。「リマでは使い捨てのパーティーグッズがたくさん売られているし、こんな旗も僅かなお金で買うことができる。でも市販のものは紙製で見るからにチープで、一度使ったら終わりでしょ?それが嫌で、布で手作りしたの」。娘にものを大切にする心を伝えたいと語ってくれた。

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タンスは、アンティーク家具を白く塗り直したもの。壁に飾られているのはペルー・ウカヤリ州のアーティストによる森の精霊を表した刺繍(右)と、スウェーデン・ストックホルムの現代美術館で購入したポップでカラフルな作品(下)、そして「ムーミン」の生みの親、トーベ・ヤンソンの作品(レプリカ)。子供部屋というより、小さなアートミュージアムのようだ。

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■プロフィール■
フアン・マルティン・カブレホ(35歳)/映像会社社長・カメラマン
アンナ・ヴィルカマ(36歳)/ペルー情報をフィンランド語と英語で発信するライター
フアンはペルーのリマ出身、アンナはフィンランド出身という国際カップルで、娘のラウラちゃんと3人暮らし。安全性と利便性に優れたこのコンドミニオ内で引っ越しを繰り返し、現在は3軒目になる。下階には大家さんが暮らしており、関係は良好だ。その秘訣は「家賃を滞納しないこと」。時間や約束事にルーズな人が多いペルーで、信頼できる借主は大家にとっても貴重な存在。その分、家賃は相場より安くしてくれているという。
~住まいについて~
面積:約110平米。家賃:1500ソレス

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■リマの不動産事情■
住民に富裕層が多く、比較的治安が良いとされるサン・イシドロ、ミラフローレス、ラ・モリーナ、サン・ボルハ、スルコの5区は「リマ・トップ」と呼ばれ、周囲に比べ特に賃貸料が高い。
首都圏リマの平均住宅賃料/購入価格は、リマ最高級の住宅地サン・イシドロで100平米当たり4,000/627,000ソレス、スルコ区で3,000/486,000ソレス(2014年12月データ)。フアン夫婦のアパートは、破格物件といえよう。
賃貸物件には家具付きと家具なしがあり、フアン夫婦のように自身のインテリアにこだわる人には家具なしが人気だ。一方、ビジネス等でリマを訪れる外国人や、長期滞在者向けの家具付き物件もある。半年~1年単位で賃貸可能だが、50~60平米で2500~3000ソレスと割高だ。

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