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東京カリ〜番長直伝! 春夏秋冬カレー

【番外編】東京カリ〜番長インタビュー 「同じカレーは二度作らない」

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ステッカーの写真

昨年制作したという東京カリ〜番長結成16周年のステッカー

人気の出張カレーユニット「東京カリ〜番長」メンバーが、素晴らしきカレーワールドへご案内する連載「東京カリ〜番長直伝! 春夏秋冬カレー」

第7回となる今回はいつもと趣向を変え、今まで数々のカレーレシピを教えてくれた「東京カリ〜番長」そのものに迫ります! リーダーの伊東盛さんに、東京カリ〜番長の活動についてお話を聞きました。カレー好き必読のインタビューです!

イベントの写真

5年ほど前に開催した、東京カリ〜番長結成12周年イベントの様子

■カレーと音楽の“出張カリ〜”

東京カリ〜番長は「出張カレーユニット」ということですが、どのように活動をスタートさせたのでしょうか?

伊東さん「17年前の1999年に、水野仁輔(調理主任)とおしょう(炊飯主任)が仲間を集めて、公園でカレーを食べるパーティーを始めたのが最初です。毎月1回、東京23区の公園を回る“公園カリ〜”を続けるうちに、その様子が雑誌で紹介されて、参加者がどんどん増えて。音楽系のクラブイベントにも“出張カリ〜”を始めて、それがきっかけでSHINGO/3LDK(当時はDJ主任、現在はアウトドア主任)と僕が参加し、そこから“カレーと音楽”という活動の軸ができました」

「同じカレーは二度作らない」と聞いたのですが、本当ですか?

伊東さん「月一開催で23区を回ると、それだけでほぼ2年かかるのですが、調理主任の水野は毎回違うカレーを出していました。聞いてみると『無限に作れる』と言うので、それなら『同じカレーは二度作らない』っていうモットーにしようよと、僕が言い出しました。実際、使うスパイスの種類や具材を変えれば、いろいろなカレーができます

当時から水野さんのカレーに対する知識や情熱はすごかったのですね。

伊東さん「当時、水野が一人暮らししていたワンルームマンションの部屋は、スパイスの匂いがすごくて(笑)。玄関を入ると、目の前の本棚にずらっとスパイスが並んでいて、『こいつは只者ではない』と思いました。でも、イベントの本数が増えて、水野一人だけでは調理が回せなくなってきて。1日に2回開催とか、2カ所同時開催もあって、水野から見聞きしたものを使って他のメンバーもカレーを作るようになりました

著書の写真

東京カリ〜番長メンバー全員による著書。『東京カリ〜番長のあしたのルウカレー』(ブティック社/2012年)と『東京カリ〜番長がつくるご当地カレー』(辰巳出版/2006年)

■カレーの常識をひっくり返した画期的レシピ

水野さんのレシピは、時とともに進化を遂げているそうですね。

伊東さん「かつて、玉ねぎは時間をかけてじっくりと弱火で炒めるのがベストとされていて、水野もその方法でやっていましたが、インド人のシェフにインタビューする活動を通して新しい知識を得たんですね。『インド人はこうやってるのか!』『弱火じゃないじゃん!』と。そこから、玉ねぎをどのくらい炒めたら甘みが出るのか、実験を始めたんです」

それは、どんな実験ですか?

伊東さん玉ねぎを強火で何分炒めたら、糖度何%とか。そうした科学的な実証を踏まえて新しいレシピを考えてきたんです。彼は本来的に、常識を疑う男で。『みんなこう言っているけれど、本当にそうなのか?』と。だから、『玉ねぎは、初めから強火でガンガン炒める』とか、カレー業界の常識をくつがえす画期的なレシピを作り出せたんでしょうね」

これまでの活動の中で一番うれしかったことって、何ですか?

伊東さん「ひとつは、東京カリ〜番長が今より知名度のなかった頃に、糸井重里さんが『ほぼ日刊イトイ新聞』のエッセイで、まだ面識もない僕たちのことを紹介してくださったことです。“今、カレーで一番おもしろいことをやっているのは、間違いなく東京カリ〜番長だ”っていう感じで」

ほかにも、うれしかったことってありますか?

伊東さん「もうひとつは、やはり『ほぼ日』の企画でタモリさんにカレーを作ってもらうイベントが、2007年に渋谷の電力館で開催されて、お手伝いを東京カリ〜番長がやらせていただいたんです。その時のことをタモリさんが、『笑っていいとも!』が終了する頃のインタビューで何が思い出に残っているかと問われて、『電力館でカレーを作ったのは楽しかったねえ』って答えたらしいんですよ。『うわー、よかったなあ』という思いと、『それ、直接聞きたかったなあ』という思いが、同時に湧き起こりました」

■カレーはライブ! カレーは遊び!

今や東京カリ〜番長はメンバー12人の大所帯ですね。

伊東さん「2008年にシャンカール・ノグチ(貿易主任)たち4人が加入し、2014年に公募でさらに4人が加入しました。アメリカに住んでいるメンバーもいて、なかなか全員が揃うのは難しいんですが、そのへんは今まで同様ゆるくやっていきます。『カレーはライブだ』『カレーで遊ぶ』というのが、東京カリ〜番長の基本コンセプトですから。カレーはある意味、僕らにとってオモチャみたいなもので、常にそれで遊んでいたいという部分はブレずにやっていきたいです」

今後の活動について、何か計画はありますか?

伊東さん「2016年6月に『世界一やさしいスパイスカレー教室』という本が出ます。タイトル通り、スパイスカレーの作り方を丁寧に解説した画期的なレシピ本です。ほかには、あまり計画らしい計画がないのが東京カリ〜番長ですが、まだ制覇できていない“47都道府県カリ〜”はコンプリートしたいですね。いろいろな地方の方から声をかけていただいて各地で出張カリ〜をしていますが、まだ行っていない県がけっこうありまして。中国・四国あたりはあまり行っていないんです。カレールウ消費量日本一の鳥取県も、まだ呼んでいただいていません。鳥取県の方、ぜひよろしくお願いします!(笑)」

メンバーの写真

東京カリ〜番長8人時代のメンバー集合写真

■取材協力
東京カリ〜番長
1999年に結成された出張料理集団。全国各地のイベントでカレーのライブクッキングを行うほか、雑誌・書籍でのレシピ紹介、飲食店のメニュー開発を手掛ける。
https://www.facebook.com/tokyocurrybancho

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