暮らしのコト

麺は口ほどにものを言う~ご当地ヌードル探訪~

名古屋名物なのに台湾? 激アツの「台湾ラーメン」

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日本各地に根付いた「麺料理」を求めて、全国を巡る「ご当地ヌードル探訪」。今回は、愛知県名古屋市が誇る名物麺料理をご紹介します。

名古屋で麺料理といえば「きしめん」「みそ煮込みうどん」「あんかけスパゲッティ」等々……数多くありますが、今回紹介するのは「台湾ラーメン」です!

「なんで名古屋なのに台湾料理なの?」と思うなかれ。実はこの料理、名古屋生まれの名古屋育ちな、生粋のご当地麺料理なんです。現在では市内の多くの中華料理店、ラーメン店で台湾ラーメンがメニューに並んでいます。

名古屋市内を歩けば至る所で目にする「台湾ラーメン」の文字

名古屋市内を歩けば至る所で目にする「台湾ラーメン」の文字

台湾ラーメンは、鶏ガラベースのスープに、唐辛子たっぷりのひき肉が乗った激辛ラーメン。そのすがすがしいほどの辛さでリピーターが耐えず、クセになる味が特長です。

最近では、この台湾ラーメンから派生した「台湾まぜそば」なる麺料理も登場し、すでにラーメン激戦区・東京に上陸。次のブームを担う新興ジャンルとして期待されているほどです!

■台湾ラーメンの元祖「味仙」

そこで、ブームの火付け役である台湾ラーメンの元祖、中国台湾料理店「味仙 今池本店」にお伺いし、店長の川野国広さんに話を伺いました。

中国台湾料理味仙(みせん)は、中部国際空港にも出店している名店です。

中国台湾料理味仙(みせん)は、中部国際空港にも出店している名店です。

川野さん 45年以上前、台湾人店主(現オーナー)がまかない用に作ったのがきっかけです。台湾料理「担仔麺」をベースにしているんですが、激辛好きの店主がアレンジし、全く別物の麺料理になっています。それが常連さんや友人の「店で出してみたら?」というひと声でメニューに並んだそうです。いまではリピーターがリピーターを呼び、店の名物料理になりました。

ネーミングも特に考えていなかったところ、「台湾人が作ったから台湾ラーメン」となったそうです。台湾ラーメンの評判が次第に広まっていくと、他の店でもマネをして同じ名前のメニューが並ぶようになり、今では名古屋全域で味わえるようになりました。せっかくのオリジナル料理ですが、他の店が台湾ラーメンをマネすることを味仙さんは全く気にしてこなかったといいます。

川野さん 名古屋名物は長い歴史があるものが多い。それらに割って入るには名古屋中で食べられる必要があるでしょう? だから、ウチが台湾ラーメンの定義を作ったり、独占したりする必要はないんです。そうしていたら、今のように名古屋名物にはなっていなかったでしょうね。

いまや約50年の歴史を持つ立派な名古屋名物に。昔変わらぬその味を求めて、名古屋を出て行った人も里帰りしてはこのラーメンを食べると言います。最近では親子3代で来る人も多いそうで、この前は親子4代なんてお客様もいたんだとか。一族でリピーターとは驚きですね!

■真骨頂は「激辛」だけに非ず

早速、味仙の台湾ラーメン(630円)をいただきましょう!

麺110gのところ、激辛ひき肉が約150gが乗っているというから驚き

麺110gのところ、激辛ひき肉が約150gが乗っているというから驚き

到着してすぐにわかるのは、食欲をそそるニンニクや生姜といった香辛料の香り、そして無言の圧力をもたらす唐辛子の存在感です! 「凄く辛いから無理しなくてもいいよ(笑)」と川野さんも釘を刺すほど……。

まずひとくち。すると辛さに驚く前に、スープのスッキリとした味わいと、ひき肉のうまみとコクが口の中いっぱいに広がります。鶏ガラベースのしょう油系スープは、ストレート麺と相まって心地よくノドを通っていくので、クセになりそう!

そんなことを思いながら、次のひと口をすくい上げた直後! 知らぬ間に額から流れる大量の汗! 頭皮の毛穴から汗が噴き出し、まるでサウナ状態です!

どう避けても唐辛子からは逃げられない!

どう避けても唐辛子からは逃げられない!

麺もスープも、どこをすくい上げても唐辛子まみれ…。しかし「口の中が痛い!」「痺れて食べられない!」という類のものではなく、体中が熱くなる感じ。スポーツをしているときのような、こんなに気持ちのいい食事は初体験です!

川野さん 最近は台湾ラーメンといってもただ辛くするだけの店もあります。でも、タダ辛いだけなら誰でもできる。肝心なのは、リピーターになりたくなるような辛さとうまみですよ。それが味仙の台湾ラーメンのこだわりですね

もちろん、辛さは相談することも可能です。メニューには記載されていませんが、名古屋では台湾ラーメンを頼むとき「台湾ラーメン、アメリカンで!」と注文すると、辛みの元であるひき肉を少なめで作ってくれます。

これはコーヒーの「アメリカン」にちなんだことから。喫茶店文化の馴染み深い名古屋ならではのオーダーですよね。ちなみに辛さ増しは「イタリアン」だとか。こちらはエスプレッソにちなんででしょうか(笑)。

連日、テレビ・雑誌の取材でひっきりなしだという店長・川野さん

連日、テレビ・雑誌の取材でひっきりなしだという店長・川野さん

川野さん ウチは、昔は朝5時まで営業していたのですが、朝まで飲んだあと〆に食べたいという人も多かったですね。このスッキリとした辛さが飲んだあとにいいみたいです。意外と女性のほうが、ペロッと食べている人が多いですね。

最近は全国各地から取材も殺到しているという味仙の台湾ラーメン。過去にはカップラーメンにもなり一部地域で販売されていました。それが話題になり、なんと台湾にまで噂が上陸。名古屋発の台湾料理として大いに話題となり、その味も大好評だといいます。

川野さん これが東京や大阪だったら、ここまで大きな話題になったかどうか。名古屋は日本の真ん中で、大都会ほど人も足早なことはないし、本当に暮らしやすい街。私も東京に出て実感しましたが、名古屋に一度住んだらこの街の良さから離れられないですから。

街も料理も、一度味わったら離れられない魅力がある。それが名古屋なのかもしれませんね。

激辛の台湾ラーメンと名古屋の魅力を味わって、ホットな冬を過ごしましょう!

  • 店舗情報
    ●中国台湾料理 味仙 今池本店
    住所:愛知県名古屋市千種区今池1-12-10
    電話:052-733-7670
    営業時間:17:30〜深2:00(1:30L.O)(12/31・1/1休)
    http://www.misen.ne.jp/

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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