音楽が景気回復の鍵!?「五感マーケティング」効果で売上アップ BGMにこだわるお店はお酒のオーダーが増える?

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(OVO オーヴォより)

Meat&Bakery TAVERN ミート&ベーカリー タバーン

 視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚、人間の五つの感覚に訴え掛けるマーケティング手法「五感マーケティング」が、さまざまな業態で取り入れられている。飲食店でも、食事や飲み物の味覚だけでなく聴覚や触覚でもお客さんに楽しんでもらおうというお店が増えているという。株式会社コンセプションの常務取締役 森山裕之さんは、BGMで飲食店の売り上げが変わるという手応えを感じた一人。その取り組みについて伺った。

――どんな仕事を担当されていますか?

 コンセプションが経営している飲食店は全体的に統括しているのですが、「Meat&Bakery TAVERN」(東京都目黒区)などいくつかの店舗は直接担当していて、簡単に言うと「立て直し屋」のような仕事をしています。長年お店をやっていると、スタッフが入れ替わるたびにコンセプトがずれていったりするので、適切な内容に切り替えていくのが仕事です。

――飲食店のマーケティングで、最も重要なことは何だと考えていますか?

 難しい質問ですが、最もシンプルにいうと、自分たちが接客していて楽しいお客さまを集める、ということでしょうか。僕たちとしては、誰彼構わず来ていただきたいというよりは、このお店のこれが食べたい、これが飲みたい、この店はどんなふうに楽しませてくれるのかな、と積極的な、感度を高く持ったお客さまに来ていただきたいのです。ワインや音楽にこだわりを持っているお客さまに、僕らがお薦めするものが、共感してもらえるようにと考えています。

――なぜこだわりを持った方を対象とするのですか?

 そういうお客さまは、はまれば根強いファンになってくださいますから。でも、一歩間違えたら全く売れないと思います。そのために、店としての軸をはっきりさせるということが必要です。例えばワインバーなら、飲み物はワインに絞り込んで思い切ってソフトドリンクをやめてしまうという方法も考えられます。ワインのラインアップが強化できるし、スタッフも商品知識を覚えやすい。お客さまとスタッフで良い循環が生まれていきます。ニーズに応えるのではなく、ニーズを作ることに専念しようと思っています。

――そんな中、BGMはどういう点で重要なのでしょうか?

 お店の立ち位置が、流す音楽のジャンルやこだわり方で分かります。あるお店について、カフェとして運営するのかバーにするのかでいえば、例えばボサノバを流すとカフェ寄りになりますし、ジャズだとお酒が飲みたいという空気ができます。

――売り上げにも影響があるそうですね。

 「TAVERN」はブルックリンのアメリカンダイナーというコンセプトだったので、僕は担当になってから、50、60年代のブラックジャズなどを大きな音で流したら合うんじゃないかと提案しました。メーンの大きいスピーカーから音が大きく出るように音響も調節するなどした結果、お酒の注文数が20%増えました。今は株式会社フェイスのFaRao PRO(ファラオプロ)という業務用のBGMサービスを利用しています。専属の選曲スタッフの方が、実際にお店に足を運んで店内の雰囲気や客層を肌で感じた上で、お店のコンセプトに合わせてオリジナルの選曲をしてくれます。それによって雰囲気がうまく作り上げられていると思います。

――音楽で、お酒が飲みたいという雰囲気ができたということでしょうか。

 そうですね。曲だけではなく、ボリュームも影響があります。音が大きいお店の方がお酒の杯数が増えるという記事を、どこかで読んだ記憶もありますが、気分も盛り上がるし、大きな声で話さないといけないからのども渇きます。静かでゆったりした音楽だと、飲むペースも遅くなる。女性を口説きたいのなら、音が大きいお店に行くのも良いそうです(笑)。

――音を大きくすると売り行きがよくなるんですか。

 ただ大きくすればよいわけではありません。お客さまがあまり入っていないときに音を上げても、違和感が強くなります。静かな時間帯は落ち着いた曲を流して、会話の邪魔にならないように音量を下げています。他にも、BGMにはテンポのいい曲をかけるとスタッフの仕事のテンポもよくなるという効果もあります。

――食事や飲み物以外の要素で、他に気を配っている点はありますか?

 店の中に置く小物も、とてもこだわっているつもりです。あと、グラスも重要ですよね。触り心地がよいとか口当たりがよいとか、器がよいと気分も変わりますので、多少お金がかかっても「おっ」と思っていただけるようなものを使います。

――さまざまな要素へのこだわりが必要なんですね。

 飲食店にもいろいろなオーナーがいて、食べ物や飲み物にだけこだわる方もいます。話し声と食器の音がBGM、というお店もありますね。僕もBGMはあくまでサブの要素だと思っています。ただ僕らは、お客さまが席に座って料理が出るまで、ワクワクしていただきたいのです。音楽とかグラスとか、そういうところでお客さまにアピールできたら、料理や飲物の印象もプラスに働くと思っています。

 音楽で飲食店の売り上げが増えると聞いて、当初は半信半疑だったが、森山さんからお話を聞くと、なるほど、心当たりがある。また、オシャレなお店はiPodやCDを使ってスタッフが曲を選んでかけているかと思っていたが、お店ごとにオリジナルで選曲をしているBGMサービスというものがあることも知った。音楽にこだわっている、そんなお店をデートや特別な記念日に使うと、ポイントが上がるかもしれない。景気回復の鍵を握っているのは音楽だ!?

【協力いただいたお店】

Meat&Bakery TAVERN ミート&ベーカリー タバーン
焼きたてのパンとおいしい肉料理が食べられる、ニューヨーク・ブルックリンスタイルのベーカリーレストラン。
目黒区上目黒1−5−7代官山関ビル1F 電話03−6412−7644
http://www.conception-gp.com/tavern/

FaRao PRO(ファラオプロ) https://www.bgmstore.jp/jsp/index.jsp

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