街のコト

行列のできる「マルタバ」の店(ジャカルタ/インドネシア)

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(ライター:片岡 恭子)

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日が暮れて行列ができ始めたマルタバの人気店「ペセノンガン65A」

インドネシアの日中は暑い。涼しくなる日没後、ジャカルタの町はようやく活気づく。暗くなり始めたペセノンガン通りに毎晩行列ができる「マルタバ」の店がある。店の名は「ペセノンガン65A」。住所がそのまま店の名前になっている。

「マルタバ」とはインドネシアの庶民の味。中東や東南アジアの、主にイスラム圏の国々で好んで食べられているお好み焼きのような食べ物だ。インドネシアの「マルタバ」は他の国々のものとは異なり、塩味と甘い味の2種類がある。

「マルタバ・アスィン」は、おかずの「マルタバ」だ。クレープのようでもあり、オムレツのようでもある。アヒルの卵と具を折り込みながら、たっぷりの油を使って中華鍋で生地を揚げる。具は刻んだ玉ねぎやねぎ、きのこ、鶏や牛の挽肉、ツナなどが好まれる。
一方、「マルタバ・マニス」は、おやつの「マルタバ」だ。こちらはフライパンで焼いたパンケーキで、真ん中にバナナ、干しぶどう、チーズ、練乳、チョコレートなどを挟んだものが一般的だ。

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たっぷりの油で揚げるおかずのマルタバ「マルタバ・アスィン」

持ち帰り専用の「ペセノンガン65A」では、おしゃれなおやつの「マルタバ」目当ての客が行列をつくっている。スイスのチョコレート菓子である「トブラローネ」、イタリアのチョコスプレッドである「ヌテラ」、アメリカのピーナツバターである「スキッピー」をトッピングしたものが大人気。

今日も店には遠くからバイクで乗りつけた人々が列をなす。舶来の甘味をふんだんにトッピングした「マルタバ・マニス」は、今夜のデザートとして食卓に上る。

 

片岡 恭子(かたおか・きょうこ)
1968年、京都府生まれ。同志社大学文学研究科修士課程修了。スペイン留学後、3年に渡って中南米を放浪。2015年現在、47カ国を歴訪。著書に『棄国子女-転がる石という生き方』(春秋社)。

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