暮らしのコト

麺は口ほどにものを言う~ご当地ヌードル探訪~

ほのかに酸っぱい平塚の味、花水ラオシャン本店の「タンメン」

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日本各地に根付いた「麺料理」を求めて、全国を巡る「ご当地ヌードル探訪」。今回at home VOXがやってきたのは、湘南の風が気持ちいい神奈川県平塚市! 駅の発車メロディは「たなばたさま」。平塚市は、にぎやかな七夕まつりでも知られてます。

JR東海道線の平塚駅。

JR東海道線の平塚駅。

駅から10分ほど歩くと、もう海が目の前。この日はまだ肌寒い時期でしたが、サーフィンを楽しむ人、ビーチバレーの練習をしている人、のんびりと引いては押し寄せる波を眺める人など、この街にゆっくりとした時間が流れていることがわかります。

海が近い平塚駅前は、道も整備されていてきれいな街並みです。

海が近い平塚駅前は、道も整備されていてきれいな街並みです。

平塚と言えば、Jリーグクラブ「湘南ベルマーレ」。町中でロゴが散見されます。

平塚と言えば、Jリーグクラブ「湘南ベルマーレ」。町中でマスコットキャラクター「キングベルI世」が散見されます。

そんな平塚では、60年以上前から愛されている麺料理があります。それが、「タンメン」です。

タンメンといえば、一般的には野菜がたっぷり乗った塩ラーメンを想像しますが、ここ平塚では全く違った「タンメン」文化が根づいています。今回は、平塚で古くから愛されているタンメンの人気店・「花水ラオシャン本店」さんにお邪魔しました!

平塚では知らない人はいない「花水ラオシャン本店」。

平塚では知らない人はいない「花水ラオシャン本店」。

店内。オープン後ほどなくすると、全席がお客さんで埋まりました!

店内。オープン後ほどなくすると、全席がお客さんで埋まりました!

駅から徒歩約15分のところにある「平塚西海岸マリンロード商店街」の中に、この人気店はあります。この日は平日のオープン直後にお邪魔しましたが、あっという間に満席に! お昼時には行列もできるといいます。

相澤さん 「この店が創業したのが、約60年前。6年前にこの新しい場所に移ってきましたけど、花水台でずっとやってきました。先代のころから通ってくれるお客さんも、たくさんいますね」

そう語るのは、花水ラオシャン本店の三代目主人の相澤孝文さん。早速、このお店の「タンメン」の正体について伺いました。

相澤さん 「ウチのタンメンは、まず麺が違います。つなぎにかん水、卵を使わないので、いわゆる『中華麺』ではありません。この一杯のための麺、『タン麺』なんです!! 独自の製法で作られる麺は、店の奥で毎日製麺しています。スープもタレとダシのほかに、『りんご酢』が入ります。これにどこにも負けない自家製ラー油をかけていただく。これがウチのタンメンです」

りんご酢!つまり、平塚で食べられるタンメンは、「酢がきいている」のです。これだけでも、私たちの知っているタンメンとの違いを感じますね。

独自の製法で作られる麺。

独自の製法で作られる麺。

スープにはなんとリンゴ酢が入っています。

スープにはなんとリンゴ酢が入っています。

全く想像できない味だけに、期待が高まりますね。実はこのタンメン、そのお値段にも驚きます。なんと一杯「400円(税込)」! 2014年の消費税増税前まではさらに安く、「350円」という金額を26年間も維持してきたそうです。

そのため、こちらのお店ではタンメンと餃子のセットで注文するのが定番だとか。ちなみに「大盛」は、お店の「大出血サービス」で約3玉と驚きの量になるので、注文前に食べきれるか考えましょう(笑)。

この変わらない安さも、人気の秘密。

この変わらない安さも、人気の秘密。

焼きにこだわり、スープとの相性もいい「餃子」と一緒にいただくのがオススメ。

焼きにこだわり、スープとの相性もいい「餃子」と一緒にいただくのがオススメ。

しかし、着丼してさらに驚かされました!
これが、平塚が誇る、花水ラオシャンの「タンメン」です。

これが平塚の定番中の定番、「タンメン」!

これが平塚の定番中の定番、「タンメン」!

透き通るスープと白っぽい麺が、どこか艶やかです。

透き通るスープと白っぽい麺が、どこか艶やかです。

相澤さん 「これがウチのタンメンです。味は創業から60年間そのまま、どストレート。歴史の詰まった味です」

りんご酢の入った美しく透き通るスープには、独自製法の自家製麺、そして刻まれたタマネギが入っているだけです。その、見事にそぎ落とされたビジュアルは、芸術的で食欲をそそります! 早速いただいてみましょう。

白っぽい細麺は、かん水を使っていないとは思えないほど、十分なコシがあります。それでいて、そうめんのようにしなやかなのどごし。スルスルと心地よくいただけます!

またスープも、りんご酢のさわやかさ、まろやかさを感じさせるものの、「すっぱい」とは違った丸みがありますね。相澤さん曰く「果実酢は酸味が立ちにくい」とのこと。まさにその通りで、スッキリ感とあと引くうまさがクセになりそうです! お店にいらっしゃった常連のお客さんにお話を聞くと、「この味だから、午前中でも、夜遅く飲んだあとの〆でも最高の一杯なんです」とのこと。なるほど、10時30分のオープン直後に、満員になる理由も頷けます。

相澤さん 「少し食べたら、今度は自家製ラー油をかけて食べてみてください。ラー油の量はお好みで、たっぷりかける常連さんも多いです。あとは、カウンターにあるリンゴ酢をかけてみてもおいしいですよ。酸っぱくはならず、逆にまろやかになるんです」

もちろん、タンメンに具をトッピングしてもOK。わかめやチャーシュー、生卵など、常連さんたちは気分や好みで自分のタンメンを楽しんでいるようです。

ラー油はたっぷりとかけても、味に深みがましてGOOD!

ラー油はたっぷりとかけても、味に深みがましてGOOD!

相澤さん 「最近は『平塚系』なんて呼ばれて、遠方からのお客様も相当多いのですが、ウチのスタイルは変わらず、地元の人たちに愛される店・味づくりにこだわってます。値段を変えてこなかったのもそのため。相当、企業してきました。これからも、あたりまえの仕事をあたりまえにしていく『地域密着型のタンメン屋』として続けていければ」

実際、お店の中は地元の常連客でいっぱいです。また、平塚といえば湘南ベルマーレ。サポーターはもちろん、選手たちも訪れるとあって、サッカーファン御用達の店としても知られています。2014年、J2リーグを制して今季からJ1に昇格するベルマーレ。今年は昨年以上に、地元のファン、アウェイのファンで賑わうことでしょうね!

店内には、昨シーズンの湘南ベルマーレの勝敗表が!

店内には、昨シーズンの湘南ベルマーレの勝敗表が!

相澤さん 「平塚は、本当に地元が好きな人が多いんです。“ヒラツカニアン”なんて文化もありますし、東京で仕事をしていてもここから通う人、一度出て行ってまた帰ってくる人も多いです。最近はマンションも増えているし、若い人も増えている印象があります。若い人と話す機会も多いですけど、最近の若い子は元気な人が多い。彼らのおかげで、平塚はこれからもっと面白くなっていくんじゃないですかね」

よく見ると、ご主人のTシャツにもクラブのロゴが。

よく見ると、ご主人のTシャツにもクラブのロゴが。

街を愛し、そして街の味を愛す平塚の人たち。そんな街と人をつなぐ平塚のタンメンは、これからもそのままであり続けてくれそうです!

  • 店舗情報
    ●花水ラオシャン本店
    住所:神奈川県平塚市花水台29-4
    電話:0463-36-0269
    営業時間:10:30~22:00(木曜休【祝日除く))
    http://花水ラオシャン本店.com/

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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