暮らしのコト

麺は口ほどにものを言う~ご当地ヌードル探訪~

ラー油の刺激がクセになる千葉県勝浦市「勝浦タンタンメン」

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日本各地に根付いた「麺料理」を求めて、全国を巡りレポートする「ご当地ヌードル探訪」。今回は、温暖な気候と豊かな海の幸に恵まれた千葉県勝浦市の「勝浦タンタンメン」です!

いわゆる「担々麺」は、ゴマ風味のピリ辛ラーメンです。しかし「勝浦タンタンメン」は醤油味のスープ(店によっては味噌味など)がベースで、具は玉ねぎと挽肉。スープ表面を真っ赤に染めるラー油がインパクト抜群のヌードルなのです。その歴史について、地元・勝浦のまちおこし団体「熱血!!勝浦タンタンメン船団」船団長 磯野典正さんにお話を伺いました。

磯野さん「勝浦タンタンメンが地元に定着したのは、50年ほど前だと言われています。当時は海での仕事で体が冷える海女さんや漁師の方の間で評判となり、その後、国際武道大学の学生さんたちが広めてくれました。今は遠方から食べに来られる方もいらっしゃいます」

勝浦タンタンメンの知名度は、「勝浦に多くの人を呼び込むこと!」を趣旨に活動する勝浦タンタンメン船団により近年上昇中。活動に協力する船団公認店は、勝浦市内各地に約40店舗もあります。今回は、その公認店の1つ、勝浦タンタンメン発祥の店にお邪魔しました!

■親子三代にわたって受け継がれる一杯

そのお店は元祖勝浦式担々麺「江ざわ」。看板に描かれた「元祖」の文字が、発祥の店であることを示しています。お話を伺ったのは二代目店主の江澤文彦さんです。

店舗は観光客の多い勝浦の海から、少し離れた場所にあります。

店舗は観光客の多い勝浦の海から、少し離れた場所にあります。

江澤さん「創業は昭和29年。当時は海の近くにある大衆食堂でした」

メニューには同時の名残なのか、「カレー」や「もつ煮」など、食堂にあるような料理も。目移りしながら目的の「担々麺」を注文。創業当時から変わらずに守り続けられてきたという伝統の一杯は、噂通りの真っ赤なスープでした!

スープ全体を覆うラー油。食べる前にかき混ぜて、スープと馴染ませるのがポイント。

スープ全体を覆うラー油。食べる前にかき混ぜて、スープと馴染ませるのがポイント。

ややちぢれた中華麺に、ラー油と醤油味のスープがよくからみます。

ややちぢれた中華麺に、ラー油と醤油味のスープがよくからみます。

どれだけ辛いのか……。そう思いながら恐る恐る口に運ぶと、見た目に反して意外とマイルドな味わい。コシのある麺を、まろやかな醤油味のスープとピリッとしたラー油が包み込んで、これは後を引くうまさです! 食べ進めるにつれて、額にじんわりと汗が出てきました。

江澤さん「先代が海で働く人たちに、寒いから温まってもらおうと作り始めたようです。四川の担々麺を真似たのですが、スープの材料が醤油しかなかったので、こういうタンタンメンになったんですね」

常連さんは食べ終わった後のスープに、ご飯を入れておじやのように食べるのだそう。

食べ終わった後のスープに、ご飯を入れておじやにするのが常連流の食べ方だそう。

地元はもちろん、他の地域の人からも人気のようで、週末には遠方のお客で行列ができるほど。お子さんにはラー油の量を減らすなど、細かな心配りも忘れない「江ざわ」は、房総半島らしいおおらかで温かい店主の心意気と気配りが伝わるお店でした。

店長の江澤文彦さん(右)と、息子の正紀さん(左)。額縁の写真は初代店長の勉さん。親子三代が勢揃い。

店長の江澤文彦さん(右)と、息子の正紀さん(左)。額縁の写真は初代店長の勉さん。親子三代が勢揃い。

江澤文彦さん「勝浦には、他にはないタンタンメンがあります。ぜひ食べてみてください」

漁師町の勝浦は、カツオに代表される新鮮な魚介類が有名です。その影で「勝浦タンタンメン」は約半世紀にわたって、地元の人々のお腹を満たしてきた、まさに地域に密着したご当地ヌードルなのです。もし勝浦を訪れたなら、ぜひその味を体験してみてください!

  • 店舗情報
    ●元祖勝浦式担々麺「江ざわ」
    住所:千葉県勝浦市白井久保字原296-8
    電話:090-4410-5798
    営業時間:営業時間:11:30~19:00(月曜休、臨時休業あり)
    http://katsutan-sendan.com/shop/347/

 

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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