暮らしのコト

満腹御礼 ご当地肉グルメの旅

富士吉田市の「ワインラム」料理は、こだわり飼料が産んだ貴重な一品

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全国各地のウマい肉料理をお腹いっぱい食べ尽くしていく連載「満腹御礼 ご当地肉グルメの旅」。
今回は山梨県富士吉田市にやってきました。

富士吉田市は山梨県の南東部に位置し、富士山の裾野の北部に広がる市です。富士登山や富士五湖観光の玄関口として栄えてきました。また、硬くねじれた自家製麺に馬肉やキャベツがトッピングされた「吉田のうどん」が全国的に有名です。

そんな富士吉田市に最近注目を集める肉グルメがあります。
富士吉田の肉グルメといえば、馬刺しや吉田のうどんのトッピングにも使われる「馬肉」がありますが、今回は馬ではなく羊、「ラム肉」です。その名も「ワインラム」です。

話題のラム肉を食べられるのが、「ふじさん牧場」です。

ふじさん牧場は非常に急な斜面に建っています。坂を下って行くと、受付も兼ねたメインの建物が見えてきます。

こちらがメイン施設の建物。急斜面(写真左)にせり出すように建築されています。

中はカフェスペースがあり、食事のほか、バターづくり体験などもできます。

ふじさん牧場のオーナー・藤田太一さんにお話を聞きました。まず、「ワインラム」とはどういった羊なのでしょうか?

藤田さん「ワインラムとは当牧場がほこるオリジナルブランドの羊肉です。山梨ではワインの生産が盛んです。そのワインを作る時に出るブドウの搾りカス、通称『ワイン粕』を中心に、『国産100%のおから』などを混ぜて発酵させて作った独自飼料を開発しました。ワインラムはそれをたっぷり食べさせて育てています」

ワインラムという名前は、飼料のワイン粕に関連しているのですね。この独自飼料を与えることで肉質にどのような変化が出るのでしょうか?

藤田さん「うちの牧場の羊たちは肉用に適した顔の黒い『サフォーク種』という品種で、もともと肉の味は良いのですが、ラム嫌いの人が指摘する脂に含まれる独特の匂いは、少なからずあります。しかし、ワイン粕の独自飼料を食べさせることにより、ポリフェノールの効果でその匂いが抑えられます。また、同時に赤身の旨味も濃厚になり、ラム肉が苦手な人でもおいしく食べられるお肉になるんです」

「ラムが苦手という方もワインラムをひと口食べると驚きますよ」と藤田さん。

ワイン粕の独自飼料を与える以外にも、何か肉の味をよくするためにしていることは?

藤田さん「独特の匂いが強くなる要因として『生の緑の草を食べる』ことがあります。そのため当牧場では、独自飼料と干し草だけを与えるようにしています。そして、広めの飼育場で十分運動もさせつつ、ストレスのない飼育環境を作っています。夏も涼しい、この傾斜に面した牧場環境が、サフォーク種の生まれ故郷・イングランドの環境に近いというのも、良い影響を与えていると思います」

のびのびと餌を食べる羊たち。

それでは、実際にふじさん牧場で提供されているワインラム料理をいただいてみます。

一品目は「ワインラムソーセージ」です。
ふじさん牧場のワインラムを100%使用したソーセージで、牧場ではプレーン、ハーブ、粗挽きの3種類が販売されていますが、カフェでは最もラムの味わいが明確にわかる「粗挽き」が味わえます。

ワインラムソーセージ(800円)。

一般的なソーセージよりも、かなりしっかりとした皮の食感を感じます。噛み締めていくとラム肉特有の旨味が口に広がり、飲み込んだ後にしっかりと余韻が残ります。旨味が濃く、力強い肉の味も堪能できます。

また、粗挽きタイプなので中のお肉もしっかりしていて、ソーセージというより、肉をそのまま食べているような錯覚さえします。そして気になる匂いですが、藤田さんが言うように、ほとんど感じません。

ブリンッ!とした歯ごたえのあとに、まるでラム肉にかじりついたような肉汁と旨味が溢れます。

味がしっかりとしているので、お酒、特にビールやワインとの相性も抜群でしょう!
続いて注文したのが「ワインラムパスタ」です。

ワインラムパスタ(1200円)。

ワインラムパスタはワインラムの粗挽き肉を使ったトマトソースベースのパスタです。盛り付けを見ても、かなりたくさんのお肉が入っていることがわかります。

ソースの味わいは、トマトの酸味よりも、濃厚でしっかりとした肉の旨味が強いです。パスタは生パスタ特有のもっちりとした食感で、食べ応えがあります。やはり後味にうっすらとラムの香りが感じられます。

肉をしっかり感じるぐらい大きく粗挽きにされた、ワインラムがたっぷり入っています。

こちらのカフェスペースでは、他にも「ワインラムバーガー」や「ワインラムカレー」などのメニューが味わえます。

また店内の冷凍ケースでは、ワインラムソーセージやワインラムの厚切りステーキ肉やバーベキューにぴったりな薄切り肉なども販売されているので、お土産に購入することもできます。

ワインラムの貴重な肉は数量限定なので、今は品薄だそう。

最後にこれからの展開について、藤田さんに聞いてみました。

藤田さん「ワインラムは今や、東京や県内の有名レストランなどでも使ってもらっているほか、ソーセージやハムはふるさと納税の返礼品にも選ばれています。最初は4頭からスタートし、今年120頭まで増やすことができましたが、より多くの人にこのおいしいラムを食べていただくため、数年後を目処に500頭まで増やそうと計画中です。また、今後は飼料にビール粕を取り入れることも検討しています。これからもより良いラム肉を生産できるよう、日々研究していきます」

「ラムのおいしさを多くの人に伝え、ワインラムの農家ももっと増えてほしい」と藤田さん。

すでにおいしいワインラムがこれからもっとおいしくなり、そしてより多くの人の手に届くようになるなんてとても素敵なことですね。新たな富士吉田市の名物として全国に名を轟かせる日も近いのではないでしょうか。

また、ふじさん牧場では、ワインラム以外にもバターづくり体験、乗馬体験、羊の毛刈り体験など様々な体験ができます。おいしい肉グルメとともに、夏の終わりに親子で動物に触れ合うのも素敵ですね!

  • 施設情報
    ●ふじさん牧場
    住所:山梨県富士吉田市大明見2614
    電話:0555-24-4144
    営業時間:10:30-16:30、不定休
    http://fujiboku.com/

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

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