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好き嫌いを克服する方法を専門家に聞いてみた 克服できた・できない食べ物ランキング

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好き嫌いのイラスト

誰しもきっと、食べ物の好き嫌いはありますよね。先日の記事「牡蛎といったら何県? 西日本で焼き牡蛎が人気の理由とは」でも、牡蠣は好き嫌いが分かれる様子がうかがえました。

とはいえ、あまりに好き嫌いが激しいとそれはそれで困る話。よく「年をとるにつれて昔は嫌いだったものが食べられるようになった」「むしろ好きになった」と、好き嫌いを克服するケースもあります。

その好き嫌い、みなさんは何歳までに克服すべきだと思いますか? また、みなさんが実際に苦手な食べ物は何ですか? at home VOXがアンケートしてみたところ、たくさんの回答が寄せられました。

Q.食べ物の好き嫌いが許される年齢は、何歳くらいまでだと思いますか?

年齢

このアンケートの平均値は25.4歳。中でも「20歳」、すなわち成人までには好き嫌いを克服すべし、という人が多いという結果が出ました。なお、僅差で10歳が2位。小学生のうちに好き嫌いを克服すべしというのは、ちょっと厳しめな意見かも? その一方で100歳以上、つまり好き嫌いはあってもいい、という意見もありました。

続いては、どんな苦手な食べ物が苦手なのか、克服できた食べ物は何か、ズバリ聞いてみましょう。

食べ物の好き嫌いについて、それぞれ一つずつ教えてください。
Q.子どもの頃からどうしても食べられないものは何ですか?
Q.子どもの頃は食べられなかったけど、大人になってから食べられるようになったものは何ですか?

ランキング

どうしても食べられないものの筆頭は「納豆」。2位の「セロリ」に差をつけての圧勝でした。それに対して、食べられるようになった克服食材のトップは「ピーマン」。こちらも2位の「トマト」に大差をつけています。

ちなみに、納豆は克服したランキングでも26票で3位という好位置。大人になっても好みが分かれる、まさに「珍味」ですね。また「トマト」や「シイタケ」、「セロリ」に「ナス」、「ウニ」も克服できた・できないでどちらもランクインしています。

こうした味覚の変化の理由については、
・苦みや辛味は毒のサインとして子どもは受け付けないから
・大人になるにつれて味覚が鈍感になっていき、苦みや辛味を弱く感じるから
・食べても問題はないと学習することで食べられるようになるから

などなど、いろいろな俗説があります。

本当のところはどうなのでしょうか? 味を数値化し、食品開発やマーケティングなどに活用している株式会社味香り戦略研究所に聞いてみました!

好き嫌いは子どもの方が激しいというイメージがありますよね。それには、こういう理由があるそうです。

味香り戦略研究所「人間の食の学習は、母親のお腹の中にいるときから始まっているといえます。それは、胎児が羊水に溶け込んだ味やにおいを学習していると考えられているからです。さらに出生後も母乳を介して、母親の食事のにおいを感じているとも考えられているんです。その結果、赤ちゃんはお母さんが食べている食べ物のにおいのする食品は安全だと認識するんですね」

味香り戦略研究所酸味は腐敗、苦味は毒のシグナルなので、先天的には避ける味なんです。後天的に安全性を学習して獲得する味覚なので、酸味や苦味がメインの野菜や刺激物を子どもが避けるのは、生物として合理的な判断なのです。その一方で、甘味はエネルギー源、うま味はタンパク質、塩味は体液を構成するミネラルと、生命維持に関わる味覚のシグナルなので、先天的に好きだと感じる味。ご飯やパンなどの糖質、カレーやハンバーグといったうま味と塩味の強い食べ物を多くの人が好きなのは、こうした理由も要因のひとつでしょう」

成長にともなって好き嫌いを克服できる理由は、なぜなのでしょうか?

味香り戦略研究所「成長過程でさまざまな食経験を積んでいく中で好き嫌いが発生し、偏食という過程に入ります。偏食というとマイナスイメージがありますが、食経験が豊富になったからこそ食の分類ができるようになるんですね。多くの場合、甘味・うま味・塩味という先天的に好きな味をベースとして、苦味・酸味などを少しずつ取り込んで慣れていきます」

味香り戦略研究所「味覚の成長過程には、心理的要素も複雑に絡んできます。たとえば、『シイタケの見た目が受け入れられない』『トマトの食感が馴染めない』といった、イメージによる食嫌悪は代表的なケースですね。また辛味は味覚ではなく、痛覚に分類されます。辛いものが好きな人は、痛覚を取り除く脳内物質の分泌がクセになるため、繰り返し摂取したくなり、その結果どんどん辛いものが食べられるようになるとも言われています」

克服できる人がいる一方で、どうしても克服できない人もいます。中には、自分の子どもの好き嫌いに頭を悩ませている親も多いでしょう。

味香り戦略研究所「嫌いなものを克服する方法は単純明快です。それは、繰り返し食べること。しかし、無理やり食べさせたりするとトラウマになりかねず、かえって時間と労力がかかってしまいます。ある実験では、野菜の嫌いな子を野菜の好きな子と一緒に食事させたり、おいしそうに野菜を食べている映像を見せると食べられるようになった、という結果が出たそうです。このように、1人で食べるよりも多人数で食べたほうが、苦手なものに接する機会が増えますし、味やにおい以外にも食を通じた社会的・心理的経験を積むことで、食べられるようになることが期待できます」

「酸いも甘いも噛み分ける」という言葉がありますが、食においても辛い経験・苦い経験を重ねることで、おいしさの分かる人になっていくのかもしれませんね!

■取材協力:株式会社味香り戦略研究所

イラスト:タテノカズヒロ

<アンケート調査概要>
対象/対象/全国20〜59歳の男女1457名(47都道府県から31名ずつ)
調査方法/インターネットリサーチ
調査時期/2017年1月
※アンケート内容の転載にあたりましては、「at home VOX 調べ」もしくは「アットホームボックス調べ」という表記をお使いください。

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