街のコト

国に守られた 伝統家屋の町並み/ティンプー(ブータン)

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(ライター:中田 浩資)

ブータンでは、すべての町の、すべての建物が基本的に同じ造りでできている。聞けば、国が建築基準を細かく定めているとのこと。かつての木造が鉄筋になったり、漆喰をコンクリートに変えたりはしているものの、壁の色や窓の形など、多くのディテールにおいて、伝統家屋の要素を踏襲することが定められているそうだ。首都ティンプーでも、高層ビルやデザイナーズマンションを建てることは許されない。そのおかげで、どこまで歩いてもブータンらしい町の景観が損なわれることがない。

首都ティンプーの町並み

首都ティンプーの町並み

最終日に町を離れ、郊外の農村を訪れた。当然そこにも町中で見たのと同じような家があり、周りには緑一色の棚田が広がっていた。

赤ちゃんをおんぶしたまま庭先で洗濯するお母さんに声をかけると、満面の笑みが返ってくる。このお母さんだけでなく、ブータン人はみな温かい。道端でカメラを構えると、子どもも大人も、時にはちょっと照れながらも笑顔を向けてくれた。

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町中(写真上)でも郊外の農村(写真下)でも同じような造りの家が見られる

町中(写真上)でも郊外の農村(写真下)でも同じような造りの家が見られる

写真を撮った後、どさくさにまぎれて昼ごはんを食べさせてくれないかと頼んでみたところ、二つ返事で家の中へ招いてくれた。

しばらくしてできあがった料理は、滞在中に食堂で何度も食べた「エマダチ」。唐辛子とチーズを煮込んだもので、ブータン人の大好物である。

同じような建物の中で食べる同じエマダチだが、やはり民家の中で食べる家庭料理は一味違う気がした。

中田 浩資(なかた・ひろし)
フォトグラファー。ロイター通信北京支局にて報道写真に携わった後、2004年よりフリー。旅写真を中心に、雑誌、書籍等で活動中。共著に「ディープすぎるユーラシア縦断鉄道旅行」(KADOKAWA)など。

 

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