街のコト

横丁まるごと「おでん」です(静岡市/青葉横丁)

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(ライター:村上 健)

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おっ、いいねえ。この雰囲気……。赤提灯を下げた小さな店が軒を寄せ合う横丁に、絵心がそそられます。

ここは近代的なビルが立ち並ぶ静岡市の中心街にあって、異彩を放つ「青葉横丁」。すぐそばの「青葉おでん街」と合わせて、40店ほどのすべてがおでんの店という実に珍しい横丁です。
始まりは昭和30年代。静岡市の中心街を南北に走る青葉通りに集まっていた約200ものおでん屋台が、区画整理で撤去された際に一部が移転して今日に至るのだとか。

10人も入れば身動きが取れないほど狭い店の一つに入ってみれば、おでんがまた風変わり。「黒はんぺんって何ですか?」「普通、はんぺんは白身魚や卵白で作るけど、静岡はイワシ。だから色黒なのよ」。ナルホド。削り節の粉末「おでん粉」もお好みでと勧められ、ふりかけてみれば、これがなかなかオツな味。

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串刺しのおでんに「おでん粉」 ふりかけて食べるのが静岡風

風景も食も均質化が進む当節ですが、せっかく旅に出たら、その土地ならではの食べ物で口中に広がる幸福を味わいたいものです。

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村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』がある。

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月刊不動産流通2016年2月号掲載

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