(ライター:原田 慶子)
世界的な気候変動の影響で、砂漠の街リマにもここ数年小雨が降るようになった。しかし、周囲にはいまだ雨対策が講じられていない建物がたくさんあり、ちょっとしたことですぐトラブルになる。
例えば雨水用の排水溝がないため、私が暮らすアパートでは、ひとたび雨が降ると吹抜け部分から雨が浸入し、1階が水浸しに。そのため住人は水たまりの上を歩かねばならなかった。そこで吹抜けの天井部分に屋根を取り付けることになったのだが、この工事がなんともお粗末で、想像だにしなかった問題が次から次へと発生した。
屋根は、換気のために支柱を立てて四方に開口部を設けた状態で設置されたのだが、吹抜けぴったりのサイズで水平。当然のように吹抜けの内側まで雨水が入ってきた。そこで屋根のサイズを広げ角度をつけてみたのだが、雨樋の設置を怠ったため、流れ落ちた雨水が屋上の亀裂から浸透して、最上階の天井に染みができてしまった。慌てた配管工が雨樋を後付けしたが、こともあろうにそれを換気用のパイプに接続してしまう始末。液体が通ることを前提にしていない換気パイプには当然防水対策も施されていない。雨季の間に壁の中ではじわじわと雨水が漏れ出し、ある日突然、中層階のわが家に黒々としたカビが発生した。その後は雨樋を排水管につなぎ直してようやく一件落着したが、全てが解決するまでには数カ月を要した。
日本では考えられないことだが、本当に行き当たりばったり。それほど雨対策の経験値が低いのだ。小雨が降るたび、次はどんなトラブルが起きるかと心配せずにはいられない。
原田 慶子(はらだ・けいこ)
リマ在住ライター。ペルー好きが高じて移住。観光情報を中心に文化や歴史、グルメなど、現地の視点を織り交ぜさまざまな角度から紹介。『keikoharada.com』にてペルー情報発信中。海外書き人クラブ所属。