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人気No.1焼酎「黒霧島」はこうして作られる! 都城市にそびえる巨大ハイテク工場を徹底取材【前編】

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(Jタウンネットより)

黒霧島の製造工場は超ハイテク?(画像は霧島酒造提供)
黒霧島の製造工場は超ハイテク?(画像は霧島酒造提供)

芋焼酎の本場として知られる鹿児島を抑え、2014年度の焼酎出荷量が全国1位となった「新・焼酎王国」の宮崎県。その逆転の背景には、都城市に本社を置く酒造メーカー・霧島酒造の躍進がある。

ここ3年連続で売上高1位を記録し、日本一の焼酎メーカーとなった霧島酒造。その屋台骨を支えるのは、1日あたり4万本(一升瓶換算)・7万2000リットル以上の大量生産を可能にしたハイテク設備の製造工場だ。

そんな霧島酒造の工場を見学する機会を得たJタウンネット編集部。いま日本で1番売れている芋焼酎「黒霧島」の謎に迫るため、製造工場の様子を徹底レポートしてみたい。

蒸し米がベルトコンベアで高速移動!?

記者が訪れたのは、主に「黒霧島」と「白霧島」の製造を行う本社増設工場。霧島酒造が「伝統技術と最新テクノロジーの融合」と語る工場の様子を、黒霧島の製造工程にならって順番に紹介していきたい。

芋焼酎の製造は、ごく簡単に分けると「米の加工」・「芋の加工」の2つに分けられる。まず最初に、原料米だけを発酵させて「モロミ」を作成し、その中にイモを投入して再度発酵させる製法が一般的。霧島酒造でも、同様の工程で焼酎を製造している。

前編となる今回は、1次仕込みとよばれる「米の加工」に注目して、工場の様子をお届けしたい。

巨大な自動米蒸し器がそびえる工場の様子
巨大な自動米蒸し器がそびえる工場の様子
加工された米はベルトコンベアで運ばれる
加工された米はベルトコンベアで運ばれる
薬指の付け根に見える黒い米は、麹菌が発生したものだ
薬指の付け根に見える黒い米は、麹菌が発生したものだ

霧島酒造では、消費者の要望に応え2011年より国産の原料米を100%使用している。その原料米を洗浄し、水に浸した上で自動蒸器にかける。出来上がった蒸し米に、種麹を加えて一定時間放冷される。ここで黒麹を加えたものが「黒霧島」に、白麹を加えたものが「白霧島」になるという。

続いて、米を発酵させる製麹(せいきく)工程に入る。容量約8トンもの自動製麹機で常に撹拌を続け、約42時間かけて麹菌を生育していく。以下の画像のように、発酵の過程でその見た目も大きく変化する。

まだ米を投入したばかりの製麹機
まだ米を投入したばかりの製麹機
昨日米を投入したという製麹機の中は...
昨日米を投入したという製麹機の中は…

モロミの培養過程が一目で分かる

上の工程を経て生育された麹は大きな鉄製のタンクに移され、仕込み水と酵母菌を加えて培養が進められる。霧島酒造では、焼酎の味を決める大きな一因となる仕込み水に、霧島連山から湧き出る天然水「霧島裂罅水(きりしまれっかすい)」を使用しているのが特徴だ。

「一次仕込み」の工程になると、辺りにはアルコールの香りが漂う。培養は約5日間続くが、記者は日数ごとのモロミの様子を確認することができた。タンクの中を覗いてみると、2日目のものはジャグジーのように派手に泡立っているが、4日目になると水面に分厚い膜が発生している。

多くのタンクが並び、同時並行的に仕込みが行われる
多くのタンクが並び、同時並行的に仕込みが行われる
培養1日目のタンク
培養1日目のタンク
2日目のものには大きな泡がいくつも
2日目のものには大きな泡がいくつも
3日目は泡の量がさらに増え、激しく発酵している様子がうかがえる
3日目は泡の量がさらに増え、激しく発酵している様子がうかがえる
4日目になると一転、静かな様子に
4日目になると一転、静かな様子に

工場案内に同行してくれた職員によれば、「激しい発酵の影響でタンクの中は無酸素状態になっているため、顔を入れるとすぐに失神してしまう」そうだ。そのため、一度落ちたらほぼ助かることはないという。タンクの上に設けられている鉄網も、工員の転落を防止するために付けられたもの。溺れるほどの酒は飲みたいが、酒で溺死するのは心から勘弁したいところだ。

ここまでが、米の加工工程の全てである。

後編では、霧島酒造と「イモ」の関係に迫る

90年代後半まで、九州にあるローカル酒造の一つだった霧島酒造。しかし、98年に発売された芋焼酎「黒霧島」の爆発的なヒットを受け、2012年以来3年連続で売上高1位を記録する日本一の焼酎メーカーに躍り出た。「芋」と「麦」の出荷量をも逆転させたことから、焼酎の業界地図を塗り替えた企業ともいわれる。

そうなると、やはり気になるのはイモの秘密だろう。後編では、原料となるサツマイモ「黄金千貫」に注目しながら、黒霧島の完成までを引き続き特集したい。

霧島酒造、そのテクノロジーとアナログなこだわり 1日300トンのサツマイモが、焼酎に変わるまで【後編】