実戦でも言葉の応酬でも、攻撃の仕方や、これに対する反撃の仕方で、両者の気質が分かるのは同じ。米大統領選の舌戦や日本の国会論戦を見ていると、本題ではないところで、思わず露見するホンネや“品位”が話題になることが多いが、フランスでは今、ファストフードの代表選手、マクドナルドとバーガーキングの広告戦が話題になっている。 先手を打ったのはマクドナルド。フランス国内の店舗数の多さを宣伝するのに、バーガーキングを引き合いに出した。フランス南東部、ローヌアルプの一本道を車で走ると、バーガーキングまでの道のりを案内する大きなパネルがある。「200m先を左に、1.5キロ先を右に、5.3キロ先を左に、13キロ先も国道をそのまま、83キロ先も国道をそのまま…」と延々と続く案内パネル。一番近いバーガーキングは258キロ先のニームだ。だが、そのパネルの隣には、マクドナルドの案内パネル。「ここから5キロ」。それだけ多くの店を出している、と言いたいわけだ。 これにバーガーキングがさらりと応じたCMを公開した。案内パネルも場所も同じ。マクドナルドまでは5キロで、バーガーキングまでは258キロ。そしてそこを通る車がパネルを見上げ、さらに車を走らせてマクドナルドのドライブスルーへ。「何になさいますか?」「コーヒーを」「小さいのになさいますか?それとも大きいのを?」。運転手は助手席の女性と顔を見合わせ「大きいのを」と注文。「これから道のり長いんですよ」。 そして車は走り去る。画面には「ワッパー(バーガーキングの看板ハンバーガー)まであと253キロ。あちこちにあるマクドナルドに感謝」という文字が。ワッパーを食べるために、マクドナルドのコーヒーが役に立つ、というわけだ。政治論戦でも、こういう“きれいな”反撃が見たいものだ。【マクドナルドの広告】https://www.youtube.com/watch?v=c-94UnyM6Y4 【バーガーキングの広告】https://www.youtube.com/watch?v=rLwvaQDSpBc
