40〜50代が中心であるものの、20代からも一定の支持を集めていることがアンケートでわかった「編み物」。編み物や手芸に興味はあるものの、「どう編めばいいのかわからない」「独学で練習するのはハードルが高い」といった理由で、始めるのをためらっている人はいませんか? そんな人には、教室に通うよりも手軽で楽しくニッティング(編み物)ができる「ニットカフェ」がおすすめです。
■いざニットカフェへ!

訪れたのは、地下鉄虎ノ門駅から歩いて5分のところにあるニットカフェ「森のこぶた」。オフィス街のど真ん中に立地していますが、明るい店内にはゆったりとした空気が流れています。
ここではどんなことができるのか、オーナーの喜多見さんにお話を聞いてみました。
喜多見さん「ランチタイムまでは普通のカフェとして営業して、それが終わった14時以降から、席で編み物ができるニットカフェとしてご利用いただけます。もちろん刺繍など編み物以外の手芸活動もOK。ただ、ボンドなど臭いの出るものはご遠慮いただいています。お店の使い方は1人で黙々と手芸に集中する方もいれば、決まったグループのミーティングみたいな感じで来られる方たちなど、人それぞれです」
なるほど、手芸仲間との交流場所として利用する人もいるのですね。手芸好きにはうれしいスポットです。
店内の壁には本棚が設置されていて、編み物や手芸に関する本、手芸作品などが並びます。これらの本は席で自由に読んでもいいそう。お気に入りの本が見つかれば、材料を持ってくるだけでニッティングが楽しめるようになりますね。
喜多見さん「本だけでは分からないところがあると思うので、その時は声をかけてください。私自身長年ニッティングをしているので、分からない部分を見せてもらえたら力になれると思いますよ」
大学在学中からずっとニッティングを続けてきたという喜多見さんは、新宿のギャラリーでニット作品の個展を開いたこともあるそう。初心者にとって、分からないところを教えてくれる経験者の存在は非常に心強い! ここでなら初めてのニッティングに挑戦しても安心ですね。
喜多見さん「ニッティングを未経験から始めてみたい人や、もう少し難しい作品にも挑戦してみたい人におすすめなのが月2〜3回開催している編み物教室です。プロの先生に教えてもらえるので、一気に上達しますよ」
1人で編み物を楽しむもよし、仲間との集いの場にするもよし、教室に参加するもよし、ニットカフェでは自分の好きにニッティングが楽しめるようです!
■実際のレッスンにも参加してみました
取材当日は、毎月開催している教室の開催日ということだったので、実際に参加させてもらいました。「手芸はほぼ未経験なのに、大丈夫かな……」と、少し不安に思いながら着席。教室で教えてもらうのは、繊細な編み目が魅力の飾りレース「タティングレース」でした。タティングレース教室、リシェコシェの講師・杉本ちこ先生から道具と糸と教材を借りて、レッスンスタート!
レース編みは初めてなので、基本の編み方から教わります。正しい道具の持ち方、編むときの糸の引っ張り具合など、本を読んだだけでは分からないことも教えてもらえるのは教室ならでは。
ていねいに教えてもらえたおかげで、拙いながらもいくつかレースのリングを作ることができました。
杉本先生「自己流で始めてしまうと、変な癖がついてしまいがちです。基本がとても大事。私の教室では、シャトルの持ち方、糸の巻き方、指の一本一本の動き方まで、丁寧に教えていますので、まったくの初心者の方でも安心していらしてくださいね」
他の参加者の方は他の参加者の方たちは、それぞれのレベルに合わせて、リシェコシェ・オリジナル教本の中から、課題を進めています。手を動かしながらも「○○さんの作品は色づかいがキレイですよね」「わたし、次はこういう作品を作ってみようと思っていて」「それ素敵! 出来上がったら絶対見せてね」と、編み物談義に花が咲く、ゆったりと穏やかな時間。あぁ、なんて優雅な気分なんでしょう……!
そして、レッスン時間の半ばを過ぎると、前もって注文していたケーキが出されました。かわいいトッピングと、しっかり大きめサイズなのがうれしい! 編み物に集中して少し疲れた頭に、ケーキの甘さが一段と沁みます。
レース編みとおしゃべりとスイーツ。女性にとっての癒し要素が、ニットカフェにはこれでもかとばかりに詰まっています。
杉本先生「編み物は誰かと一緒でも、1人でも楽しめるのが魅力。手芸好きの人には、優しくて穏やかな人が多いから、編み物を通した知り合いが増えていくのもうれしいですね」
確かに、教室に参加していた方たちも、飛び入り参加の未経験者を笑顔で受け入れてくれる優しい方ばかり。とても居心地の良い時間を過ごすことができました。
■編み物は「癒し」
実際に編み物をしてみると、自分の手を動かして何かを作ることに集中することで、落ち着いた穏やかな気持ちになっていることに気づきます。日々を忙しく過ごしている人にこそ、体験してみてほしいと思いました。
そもそもニットカフェというのは、何人かで集まって編み物をすることで、心にストレスを抱えた人を癒すというムーブメントから生まれたものだとか。アメリカで始まったとされています。編み物には人を癒す力があるようですね。
編み物といえば冬にすることというイメージもありますが、今回教えてもらったタティングレース、綿や麻の糸を使ったレースショール、ボレロなど、これからの季節にぴったりな春夏の編み物も。
喜多見さん「最近では紙が原料ものなどさまざまな糸があるので、素材を選ぶ楽しさもありますよ」
素敵な作品が作れて、おいしいスイーツが食べられて、心も癒される、一石三鳥の魅惑スポット・ニットカフェで、ニッティングライフを始めてみましょう!
取材協力
森のこぶた
住所:東京都港区西新橋2-2-2 澤ビル1F
電話:03-6699-1838
営業時間:平日7:00〜18:30(ニットカフェ営業は14:00〜)
http://www.morinokobuta.com/
杉本ちこ(Richet Cochet/タティングレースデザイナー・講師)
Richet Cochet(リシェコシェ)のタティングレースデザイナー・講師。独創的で華やかなレースデザインと分かりやすく丁寧な指導が人気を集めている。
http://ameblo.jp/richetcochet/