街のコト

北海道の主要産業=「アニメ」になる時代が来るかもしれない

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(Jタウンネットより)

日本の食糧基地として農業・漁業の盛んな北海道。そんな北海道が「クールHOKKAIDO」をキャッチフレーズに、新たな産業としてデジタルアニメの人材育成に取り組んでいる。

北海道旧本庁舎(othreeさん撮影、Flickrより)

北海道舊道廳

地方発アニメが日本中を席巻した2014年

今さら説明するまでもなく、日本のアニメのプロダクションは東京に集積している。分業制がとられていることから、「他の地域でアニメ関連企業の経営は難しい」という声は根強い(参照:どっちが本家? 杉並区VS練馬区「アニメのまち」紛争)。

ところが近年、従来の常識が崩れつつある。「妖怪ウォッチ」や「紙兎ロぺ」といったヒットが福岡市から生まれている。
同市は古くから国際貿易で栄えたが、モノづくりは盛んではなかった。そこでゲームをはじめとするコンテンツ産業育成に官民挙げて取り組んでいる。核となる企業が1つ出てくれば、周辺の企業もうまく引っ張られる。これまでの努力は徐々に実を結びつつある。

アニメ産業は長時間労働・低賃金が常態化している。東京の物価や家賃の高さを考えると、スタッフにとっては地方の方がずっと暮らしやすい。

海外のアニメ制作ツールで地域ハンディは解消!?

福岡に続け――とばかりに北海道庁は、2015年1月21日、旭川市でセミナー「アニメで北海道を世界へ発信!」を開催した。参加者は関係者を含む約30名。札幌市のコンテンツ製作会社・ハートビットの熊谷仁志社長が講師を務め、地方におけるアニメ産業の可能性に関する講演や、アニメーション制作ツール「ToonBoom」のデモなどが行われた。
ToonBoomは、米国のディズニー、ワーナーブラザーズ、ユニバーサルなどの主要なアニメーションスタジオで採用されている。日本版はリリース時期が遅かったこともあり、国内での導入はあまり進んでいない。

アニメーション制作ツール「ToonBoom」日本語版。
海外の2Dアニメは「Flash」のものも多いのですが流石に表現力が厳しいらしく、より高機能な「ToonBoom」に移行してるとか。
http://t.co/Aqn2T5uCEY
– 由利真珠郎 (yuririn_tanabe) 2014, 12月 13

ハートビットは、同ツールを使い出した日本企業としては最も早い。同社が生んだアンデッド系アイドル「フランチェスカ」のアニメはその代表例といえる(参照:ご当地萌え系アンデッド「フランチェスカ」 北海道石狩振興局PRキャラクターに任命

北海道石狩振興局PRキャラクター、フランチェスカ(公式フェイスブックページより)
北海道石狩振興局PRキャラクター、フランチェスカ(公式フェイスブックページより)

toonboomを扱う現場を初めて見てきました。あいた口が塞がらないです。これは今後日本のアニメーションの考え方を根本的に変えていきますね。これを使った国内作品第一弾が、アニメ「フランチェスカ」だそうで
http://t.co/M7qVxYKepr
– たぶ (haruna_zzz) 2014, 5月 9

ToomBoomという絵コンテアニメーション編集ソフトの存在を知って全身の細胞が沸騰している。いいなぁこれ!
http://t.co/6efDE2NGhb
– coz (coz_t) 2015, 1月 14

この制作ツールが日本のアニメ界の制作フローにマッチするのか、そして地域ハンディを埋める特効薬になるのかは不明だが、「ソフト導入によって業務を効率化し、道内企業の体質を鍛えることで、北海道にアニメ産業を花咲かせたい」という主催サイドの意気込みが伝わってくる。

地域ブランドの産品とセットで売り出す戦略

さらに道は、クリエイターの発掘とアニメ関連企業を支援するため、北海道デジタルアニメコンテスト「キタアニ」を実施中だ。

地元の食材や特産物、文化、特性を主題としたオリジナルの「ショートアニメーション」「キャラクターデザイン」「マンガ」の3部門でコンテンツを募集している。アニメーション部門、マンガ部門は、事務局が用意した素材提供キャラクターを使うこともできる。

キタアニ〜北海道デジタルアニメコンテストでは、北海道の特産物やキャラクターを使ったアニメ、マンガを募集していて、使えるキャラクターにどこでもユキちゃんが追加されたでスノー!
http://t.co/wWadEQbzvP
どこでもユキちゃんを使ってアニメを作ってほしいでスノー!
– どこでもユキちゃん (dokodemo_yuki) 2015, 1月 20

自主制作が応募の条件で、プロ・アマ、年齢、個人・グループを問わない。締め切りは2月28日まで。各部門のグランプリ受賞者には賞金が贈られる。

town20150123kitaani.jpg

百貨店やショッピングモール等で催される北海道がらみの物産展は、常に大勢の人が押し寄せる。全国5カ所にあるアンテナショップ「どさんこプラザ」も安定した人気を保っている。

食の分野では圧倒的な地位を築いた道産品だが、海外向けはまだまだこれからといったところ。そこで北海道は、世界が実力を認めるジャパニーズアニメとセットで売り出すことで、地域ブランドのセールスを強化し、どさんこアニメの認知も高めていきたい――そんな期待があるようだ。

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