街のコト

小京都の風情を楽しむ 九州の旅 大分県/豊肥本線・豊後竹田駅

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(ライター:村上 健)

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「春高楼の花の宴 巡る盃影さして♪」。列車が到着すると、「荒城の月」のメロディーがホームに響き渡ります。ここはJR豊肥本線の「豊後竹田」。大分から阿蘇外輪山をかすめて熊本へと、九州を横断する路線の駅です。
今でこそ土地にちなむ曲を発車ベル代わりにするのは珍しくありませんが、ここでは昭和26年ごろから、何と蓄音機にレコードをかけて放送していたんだとか。改札を抜けて振り返ると、背後に切り立った崖が迫り、瓦屋根の駅舎と相まって山水画のような風情。さすが江戸時代末期に活躍した画家、田能村竹田(たのむらちくでん)を輩出した土地です。

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四季折々の自然美と眺望が楽しめる名曲「荒城の月」ゆかりの岡城趾

まちの雰囲気や家並みが京都を思わせることから、「小京都」と呼ばれるまちが全国各地にありますが、竹田市も、その一つに加えてほしいと大分出身の筆者はひそかに願っています。滝廉太郎が「荒城の月」の曲想を練った「岡城趾」、土塀が続く武家屋敷の家並み、隠れ切支丹の洞窟教会と、小さな城下町に見どころがいくつもあるのです。
「ここは後期高齢化率全国一なんだって」。ふらりと立ち寄った老舗和菓子店で、観光客の話が聞こえます。なるほど。ということは、元気なお年寄りが日本で一番多いってことですね。ちょっと前向き過ぎますか…。

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老舗の和菓子店があるのも小京都ならでは

 

 

 

 

 

 

 

村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、古い商店や駅舎など心に染みる風景を描き続けている。 著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』(JTBパブリッシング)がある。

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