街のコト

遠い記憶を呼びさます 味と匂いが漂う横丁(埼玉県/川越市・菓子屋横丁)

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(ライター:村上 健)

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蔵造りのまちなみが中高年世代に人気の小江戸・川越。重厚な瓦と黒漆喰の店蔵が軒を連ねる表通りから少し入った場所に、「菓子屋横丁」があります。
菓子といっても、デパ地下に並ぶ上品な和菓子や有名パティシエの手になる高級スイーツではありません。ニッキ、ハッカ、ベッコウなどのあめ玉や煎餅、麩菓子のような駄菓子を扱う店ばかり。でも、これがいい。昭和のオジサンは懐かしさでグッときます。

実はこの横丁の歴史は古く、かりんとうや千歳あめを製造販売する一軒の店が寺の参道にできた明治初期にさかのぼります。その後、浅草や神田に多かった菓子店や菓子問屋が関東大震災で大打撃を被ったことから一大供給先となり、最盛期の昭和初頭には70軒以上の店で賑わったとか。
今も20軒ほどの店が立ち並び、週末には子供や孫の手を引く家族連れからカップルまで、楽しそうに品定めをする人たちが行き交います。

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「あんこ飴」「きなこ玉」…。できたてのあめ玉や麩菓子などが店先に所狭しと並ぶ

店先から漂ってくるのは、煎餅や団子を焼くいい匂い。できたての菓子をほおばりながら石畳の道を歩けば、心はいつしか子供のころへとタイムスリップします。横丁には、赤提灯の並ぶ通りだけでなく、こんな所もあるんですね。

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村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』がある。

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月刊不動産流通2015年5月号掲載

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