街のコト

和とフレンチが溶け合う粋な横丁(東京都/神楽坂・兵庫横丁)

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(ライター:村上 健)

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「あら、先生。お久しぶり」。着物の裾を気にしながらお座敷へ急ぐなじみの芸者さんと、横丁でバッタリ。なーんて経験はありませんが、そんな想像すらしたくなる一画があります。変化の激しい都心に珍しく、花街の名残を漂わせる神楽坂でも、とりわけ風情のある「兵庫横丁」がそれ。

曲がりくねった石畳の道、黒塀、見越しの松と、ノスタルジックな舞台装置がそろう道沿いに、上品な居酒屋や和食の店が点在し、出版社が多い土地柄を反映して、かつて作家や脚本家たちが執筆に励んだという「ホン書き旅館」も現役です。

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兵庫横丁にはクレープ料理で人気のフレンチレストランも

この横丁、わずか200mほどの短さながらその始まりは古く、北条氏の時代に兵馬を通す道筋だったとか。「兵庫」とは、つまり兵士と倉庫。武器を商う店が並んでいたことから名付けられたようです。

そうそう、数ある路地のあちこちに小粋なフレンチの店が見つかるのも神楽坂の特徴です。店先に出された横文字のメニューを眺めつつ石畳の小道をさまよえば、江戸情緒とパリの裏町を歩く気分の両方が味わえます。「本多横丁」「見番横丁」「神楽小路」……。表通りにはない魅力に出合うタイムトリップを楽しんではいかがですか。

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村上 健 Ken Murakami
編集者の仕事の傍ら、各地の風景を描く。著書に『昭和に出合える鉄道スケッチ散歩』『怪しい駅 懐かしい駅』がある。

ƒvƒŠƒ“ƒg 月刊不動産流通2015年2月号掲載

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