街のコト

乳香の香りでリラックスできる 中東オマーンの家/サラーラ(オマーン)

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(ライター:日下部 知世子)

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サラーラ郊外典型的中産階級の家。外観は意外とシンプル

中東オマーンの南部に位置するドファール地域は、古代から中世にかけて乳香(フランキンセンス)貿易で繁栄。その遺跡群は「乳香の土地」として、ユネスコの世界遺産にも登録されています。現在も乳香の主産地であり、そのオイルはアロマテラピーでも幅広い効能が認められています。

今回、その乳香を求めて、ドファール地域のサラーラという町の郊外に住む知り合いの家を訪れました。そこは、灼熱の砂漠の中にこつぜんと現れた小さな集落。10 年前は電気も来ていなかったそうですが、非常に近代的な家という印象を受けました。なお、ムスリム国のため、どの家も全ての間取りが男女別になっているとのこと。

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マジョリスで集う男性たち

家の中で一番重要なのが、人々が集う場所です。オマーンでは、何か特別なことがなくても人々が頻繁に集まります。そのため、建物内に入るとまず最初にマジョリスと呼ばれる男性が集う応接間が目に入ります。室内には緻密な細工を施した家具や装飾品が展示されています。

そして来客があった際はいつでも、乳香を焚いておもてなしをします。独特の形をした素焼きの専用の器に、着火した炭と乳香の固まりを載せ、煙をくゆらせると、スパイシーで花の香りも感じられる豊潤な芳香が漂い、とてもリラックスできるのです。

室内で乳香を焚くことは、おもてなし以外にも、邪気を払い、身体を邪悪な物から清める意味もあります。また、夏場は、虫を寄せ付けない効果もあるそうです。このあたりでは少なくても5,000年前から焚かれていたとのことで、生活に香りを取り入れる歴史の違いを感じます。

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素焼きの器に、着火した炭と乳香の固まりを載せ、乳香を焚く

 

日下部 知世子(くさかべ・ちよこ)
アロマテラピースペシャリスト。1978年より、フランスやマダガスカル等で、香りと自然学、植物療法やアロマテラピーを学ぶ。88年より国内外のスパの開業プロデュースや、パリ・東京で香りや化粧品の開発も手がける。

 

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