「歩兵第三十二聯隊第一大隊」

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24歳で部下800人  その知られざる死闘

24歳で部下800人  その知られざる死闘

 新卒で就職すれば、社会人2年目、といったところだろうか? 24歳で800人の部下を率い、しかも生死にかかわる判断を繰り返した人がいる。名前は伊東孝一さん。大隊長として「歩兵第三十二聯隊第一大隊」を率い、沖縄戦において8回にも及ぶ戦闘を指揮した人だ。激戦で終戦までに失った部下は700人。 復員後、連絡先のわかる遺族600余名に手紙とともに沖縄の珊瑚を打ち砕いたものを送り、沖縄戦の戦場体験を、陸上自衛隊CGS(指揮幕僚課程)の学生に「戦場統率」として話し続けてきた。その伊東さんのロングインタビューと手記をもとにしたノンフィクション、『沖縄戦 二十四歳の大隊長 陸軍大尉 伊東孝一の戦い』(笹幸恵著・学研パブリッシング)が注目されている。 6月23日は、沖縄戦の終結した日として『慰霊の日』と制定されている。だが、23日以降も戦闘は続いており、必死に戦い続けていた部隊もあった。その一つが、当時24歳であった彼の「歩兵第三十二聯隊第一大隊」。戦後70年を迎える今年、日本が守ってきた平和主義が安保関連法案で揺らぐ風景を目の前にして、もう一度じっくり、戦争をするとはどういうことなのか、考えてみるべき時だ。