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“栄養ドリンク”VS“エナジードリンク”  夏の疲れに注目すべきは成分だ!

“栄養ドリンク”VS“エナジードリンク”  夏の疲れに注目すべきは成分だ!

 今年は5月から暑い日が続いている。身体が暑さに慣れていないのに気温がいきなり「夏日」「真夏日」では、夏本番以上に疲れを感じたとしても不思議ではない。何だか疲れたなぁ〜と思ったそんな時、“栄養ドリンク”や“エナジードリンク”に手が伸びるという人も多いのでは。でも、ちょっと待った! 同じように見える“栄養ドリンク”と“エナジードリンク”、その違いをあなたはご存じだろうか。 トレンド総研(東京)が消費者500人に行った「栄養ドリンクとエナジードリンクに関する意識・実態調査」によると、2つの違いが分かると答えた人は19%。さらにその違いをきちんと説明できた人はわずか2%しかいなかった。実は、両者には明確な違いがある。「医薬品」、「医薬部外品」に分類され、「医薬品医療機器等法」により規定される“栄養ドリンク”に対して、“エナジードリンク”は「清涼飲料水」である。 では、栄養ドリンクとエナジードリンクはどのように飲まれているのだろうか。過去に飲んだことがある「飲用経験率」は、栄養ドリンクが83%で、エナジードリンクが45%、現在飲んでいるという人は、それぞれ46%、22%だった。世代別、性別で分析すると、昔から販売されている栄養ドリンクは幅広い世代で男女を問わず飲まれていたが、エナジードリンクは飲用経験率、現在の飲用率ともに20代が高く、若い世代に受け入れられていることがわかった。 栄養ドリンクを飲みたいシーンとして最も多かったのは「疲れている時」(74%)、次いで「栄養成分を補給したい時」(71%)、「体調が悪い時」(67%)。一方、エナジードリンクを飲みたいシーンとして挙げられたのは、「リフレッシュしたい時」(52%)、「気分転換したい時」(51%)、「テンションをあげたい時」(47%)と、明らかに違っている。ならば、どういうイメージを持って飲んでいるのかも聞いてみると、栄養ドリンクは「効く・効果がある」(74%)、「栄養がある」(71%)、エナジードリンクは「爽快感・清涼感がある」(53%)、「おいしい」(42%)、「目が覚める」(42%)といった回答が寄せられた。栄養ドリンクとエナジードリンクの違いをきちんと説明できた人はわずか2%しかいなかったにもかかわらず、消費者は両者の違いをしっかり捉えて飲んでいるようだ。 専門家に聞く、栄養ドリンクとエナジードリンクの飲み分け方法 ここで専門家にも聞いてみよう。医薬品情報や健康食品に精通する日本経済大学の赤瀬 朋秀氏は、栄養ドリンクとエナジードリンクの違いをこう説明する。「両者の違いは明確です。医薬部外品である栄養ドリンクには、成分および含量がしっかりと明記されています。また、“肉体疲労時の栄養補給”、“滋養強壮”といった効能を提示することができます。一方で、エナジードリンクは効能をうたえません。   また、栄養ドリンクとエナジードリンクでは、配合できる成分が異なります。タウリンやフルスルチアミン塩酸塩、朝鮮人参などの生薬成分は、栄養ドリンクのみが配合できる成分です。一方で、カフェインやアルギニンなどのアミノ酸は、エナジードリンクにも配合することができます。商品を手に取る時に、こうした成分を見てみるのも良いでしょう。 しかし、いずれにしても、疲れを感じた時や体調のすぐれない時など、緊急回避的に利用するのは良いでしょうが、これらを飲んでいれば、不摂生をしても大丈夫ということではありません。カロリーや糖質の量が多いものもありますし、カフェインなどは心拍数をあげ、心臓に負担をかけてしまうこともあります。それぞれの性質を正しく理解し、自身の年齢や体調に合わせて使用することを心掛けてもらえればと思います」 気温が高くなるこれからの季節に向けての、オススメの利用法についても専門的な視点から語ってもらおう。 「これからの季節に気になる “夏バテ”を予防する食材の代表格が、いわゆるスタミナ食材に多く含まれるビタミンB1。エネルギー代謝に関係し、疲労回復に効果的です。しかし、水溶性ビタミンであるビタミンB1は、1度に大量摂取しても、吸収されなかった分は体外に排出されてしまいます。そこで注目したいのが、ビタミンB1を腸管から吸収しやすくしたフルスルチアミンです。フルスルチアミンは、一部の栄養ドリンクに含まれ、ビタミンB1が筋肉や神経組織などに到達しやすい形にしたもので、夏の疲れにも効果を発揮します。 そのほか、医薬品にも含まれるタウリンやローヤルゼリー、各種アミノ酸などの成分も、夏の疲れを意識する際に注目すべき成分だといえます。 ちなみに、こうした成分で比較すると、エナジードリンクよりも栄養ドリンクに軍配が上がりますし、ビタミンB1の含有量も栄養ドリンクの方が多い傾向にあります。夏の疲れを感じた時には、栄養ドリンクを利用してみてはいかがでしょうか。 一方で、エナジードリンクについては、爽快感や清涼感を求めている人が多いようです。それぞれの役割を理解して、用量を守って正しく利用することが大切です」 結果的に、多くの消費者がおおまかに捉えている栄養ドリンクとエナジードリンクの違いは、専門家がオススメの利用法とほぼ同じだった。だが、専門家のコメントにはしっかりとした理由がある。成分をきちんと理解して利用することが、早めに訪れそうな“夏の疲れ”に立ち向かうキーポイントのようだ。

ネット販売解禁で求められる“医薬品のリテラシー”  使用期限チェックしてる?

ネット販売解禁で求められる“医薬品のリテラシー”  使用期限チェックしてる?

 家の救急箱には、どんなものが入っているだろう? 切り傷につける薬や絆創膏、飲み過ぎた時の胃腸薬、目薬、湿布、体温計、もしかすると、風邪をひいた時の処方薬の残り、なんていうのも入っていたりするだろうか。だが、冷蔵庫の食品に「消費期限」があるのと同様、医薬品にも当然「使用期限」がある。もちろん分かってはいるが、救急箱をチェックしたのはいつ?と聞かれると口ごもらざるを得ない人が多いようだ。トレンド総研(東京)が、20代〜50代の500人に家庭の常備薬についての実態調査をしたところ、3か月以内にチェックした人は55%、1年以上チェックしていない人は26%に上ることが分かった。 ネットで気軽に買い物ができる時代。医薬品も、昨年6月にネット販売が解禁されて1年になる。だが、医薬品は身体への効果を期待して使う特殊な“商品”だからか、実際ネットで薬を買ったことがある人は19%にとどまっている。もっとも、「こまめに買い足すもの」や「いつも買っているもの」なら、安心して買えるから、今後ネットで買いたいという意向を持つ人を含めると、全体の6割がネットでの医薬品購入に肯定的だ。こうなると、薬局で対面で買う時よりも更なる自己責任、常備薬の「管理」を含めた使う側の”リテラシー“が求められる。 もっとも、医薬品に使用期限があること自体は94%の人が知っている。つまるところ、知ってはいても、管理はなかなかできていない、というのが実情だ。自宅にある常備薬の種類は、絆創膏(84%)、目薬(78%)、風邪薬(77%)が上位3位。使用期限が切れているかもしれない薬で最も多かったのは目薬(25%)だった。眼科医の石岡みさき氏によると、使用期限のきれた目薬を使って目が痛くなったと来院する人も少なくないのだそうだ。「症状がひどいと、眼球の角膜上皮が大きくはがれてしまい、角膜びらんと呼ばれる角膜上皮障害をおこしてしまう」から、使用期限を甘く見るのは禁物だ。 目薬の使用期限は、市販薬で2〜3か月、処方薬では長くても1か月。「開封してしばらく経ってしまえば、雑菌の影響は避けられず、目薬の変質などにより大きなトラブルにもつながりかねない」と石岡先生。 常備薬の目薬として先生が勧めるのは「人工涙液」だ。涙液に近い成分になるよう作られた点眼薬で、防腐剤を含まないものなら副作用の心配も少ないし、子供も使えるから、家族全員用の常備薬としてぴったりだそうだ。それでも、使用期限を守らねばならない点に変わりない。しばらく救急箱は開けてない、という健康な人たちは、週末あたり、一度チェックしてみてはどうだろうか。