「ナチュラルキラー細胞」

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健康に注意しすぎるのは不健康!? ストレスで免疫力低下の逆効果!

健康に注意しすぎるのは不健康!? ストレスで免疫力低下の逆効果!

 ジリジリと照りつける日差しを浴びた後、ガンガン冷房が効いた部屋でキンキンに冷えたビールを飲む。ビール党には至福の一瞬だが、強すぎる冷房や冷たい飲み物で急に体を冷やすことは要注意だ。体を病気から守る「免疫力」が弱まるからだ。免疫力の低下は「プール熱」 や「手足口病」などの「夏かぜ」を招く原因になってしまう。 免疫学を研究する順天堂大学大学院医学研究科の竹田和由准教授は「夏は免疫力が落ちやすい時期」と注意を呼び掛ける。人間の細胞には、病気につながる病原体を殺すナチュラルキラー細胞が存在し、免疫機能を担っている。しかし、このナチュラルキラー細胞は、体温の急激な変化や激しい運動、ストレス、高齢化など、さまざまな要因で働きが弱まってしまうという。 「冷房は26〜28度に設定し、冷たいものを飲み過ぎないこと。急激な体温の変化は免疫力低下を招くから禁物。健康維持の運動も週3回、1回1時間程度の軽めのウォーキングなどで十分。激しい運動は免疫力を確実に弱める。スポーツ選手が大事な試合の前に合宿所などにこもって一種の“隔離状態”をつくるのは、免疫力低下を自覚しているためだ」 一方、免疫力アップのためには「食事が大事」と指摘する。竹田先生お勧めの食品は、キノコ類や納豆のほか、ヨーグルトなどの乳酸菌。これらはナチュラルキラー細胞の働きを活発化させる効果があるという。 「一番手軽に摂取できるのがヨ―グルト。あるヨーグルトを1日1個摂取し続けると、2〜3週間後にナチュラルキラー細胞の働きが5%ほど高まったとのデータもある」 夏は、休みが続き、夜更かしや暴飲暴食など、普段の生活リズムをとにかく崩しやすい。これも“変化を嫌う”免疫力が、夏に弱まる一因だ。 竹田先生は「免疫力を落とさないためには体に気持ちよいことを続けること。気持ちよいことは個人ごとに違うが、とにかく無理をしないことだ。一般に体によいとされていること(禁煙、早起きなど)でも、なれない人が無理にやるとストレスになる。その人の免疫力維持には逆効果」と“自然体”を強調する。 過ぎたるは及ばざるがごとし−―。中庸(ちゅうよう=偏らないこと)を説いた孔子先生の教え(「論語」)は、夏の体調管理にも有効なのかもしれない。

やっぱり母乳の力は偉大! 母乳で育った子どもは小児白血病のリスクが大幅低下

やっぱり母乳の力は偉大! 母乳で育った子どもは小児白血病のリスクが大幅低下

 赤ちゃんにとって母乳がなによりの栄養であることは周知の事実であるが、最近では仕事の関係や母乳が出ない体質のママが増加したこともあり、現実問題として母乳を飲ませることが困難な人もいる。しかしこのほど、改めて母乳の偉大さを感じる研究結果が報告された。幼児期に母乳で育った子どもは小児白血病になるリスクが大幅に下がることがわかったのだ。小児白血病とは“血液のがん”と言われ、血液細胞がつくられる過程でがん化して無秩序に増殖する病気である。幼い子どもや思春期の10代における主要な死亡原因の1つだ。  医学誌「JAMA Pediatrics」に掲載された研究報告によると、6か月以上を母乳で育った子どもは、全く、もしくは6か月未満しか母乳を飲んでいない子どもに比べて19%も小児白血病にかかるリスクが低いことを発見した。研究は、小児白血病を患っている1万人を含めた、28,000人の子どもを対象にした18の研究データに基づいている。しかしこの報告は、小児白血病に関する直接的な原因や影響ではなく、関連性についてのみわかっただけであり、生物学的なメカニズムを説明できるためにはさらなる研究が必要とされている。 米国小児科学会は、感染症やアレルギー、乳幼児突然死症候群などその他の病気のリスクを下げるとして、母親に対して幼児には少なくとも6か月は母乳を与えるように推奨している。この新しい研究のリーダーである、イスラエルのハイファ公共衛生大学のエフラット・L・アミテイ氏は「母乳の健康上のメリットを主張する研究は数多く存在している。母乳は研究所では作り出せない、抗体やナチュラルキラー細胞といった生きた物質を含んでいるのだ」と、改めて母乳栄養のメリットについて言及している。 実は母乳を与えることは母親にとってもメリットが多くある。授乳中に分泌されるホルモンには気分を落ち着かせる効果があったり、母乳を生成するために脂肪が燃焼されるのでダイエットになったりするのだ。こうした研究結果を耳にするたび、改めて人間の体の神秘性や母の偉大さを感じてしまう。