「カマンベール」

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日本はフランスの10分の1以下  チーズ消費量ランキング

日本はフランスの10分の1以下  チーズ消費量ランキング

 最近、日本でも味わえるチーズがずいぶん増えた。チーズ好きももちろん多いし、ワイン愛好家がその次の興味の対象としてチーズに走る例も少なくない。デパ地下のチーズ売り場も、相当な種類を扱っている。そうはいっても、日本人のチーズ消費量はまだまだ。世界のチーズ消費量をグラフ化した「トリップグラフィックス」(トリップアドバイザー)によると、年間チーズ消費量ランキングで1位になったのは、言わずもがな、のフランスで、1人あたり26.2kgだった。 次いで2位は、24.2kg消費するドイツ、アイスランド、ルクセンブルグ。ヨーロッパの人々にとってチーズは日々の生活に欠かせない食べ物だ。対する日本人の消費量は2.2kg。フランスの10分の1以下だ。日本ではまだスライスチーズなどの「プロセスチーズ」がスーパーの棚を席巻しているが、ヨーロッパでは、乳を固めて発酵熟成させた「ナチュラルチーズ」が一般的。例えばフランスのカマンベール、ギリシャのフェタ、イタリアのモッツァレラなど。夏の旅で、チーズ食べ歩きも悪くないかも。

築百年!住んでみたルーアン  一歩先のフランスの旅(最終回)

築百年!住んでみたルーアン  一歩先のフランスの旅(最終回)

 カテドラルと大時計通りからスタートして、じっくり歩いてきたノルマンディーのルーアン。最終回は、この中世の旧市街に住んでみた、ルーアンの日常生活をご紹介しよう。 コロンバージュの建物群は、古いものは14世紀ごろまで遡る。観光客にとっては、この連載でも書いてきたように、どこに立っても絵になる美しい町だ。だが、「住人」にとってはもちろん、美しい、だけではすまないこともある。ルーアンの市役所そばにアパルトマンを見つけ、家屋の保険契約書に必要な築年数を大家さんにたずねた時の回答は、この町の歴史の長さを端的に物語る。「そうねえ、たぶん100数十年かしら、比較的新しいのよ。まあ100年超と書いとけば間違いないわ」 パリで不動産契約をした時は、「戦後建築」という時の「戦争」は、第一次大戦を指している、と言われたことがある。それでも歴史の重みを感じたが、ルーアンは、明らかにそれより古い。だがもちろん、部屋の内部はきれいに改装されていて、住むのに問題はない。借りた部屋は2階部分で、外からカギを開けて建物内部に入ると、スーツケースを持って上がるのも大変なほど細いらせん階段があり、部屋に入ると、小ぶりなリビングルームにさらに階段があって、上階がメゾネットのベッドルームになっている。 築100年超だし、木骨組みの家だから、道路を走る大型車両の振動がよく伝わる。6月21日はフランス全土が音楽祭の日で、ルーアンも町のあちこちで若者がバンド演奏をしていたが、そのリズムも深夜までよく壁に響く。床もきれいに張り直されてはいるが、かなり斜め。ミネラルウォーターのボトルを横にしておくと、コロコロとよく転がる。だが、窓からの眺めはコロンバージュの家並み、歴史的“絶景”だ。 子供たちが通う学校も、歴史的学校が多い。たとえば、この市役所のすぐそばにあるピエール・コルネイユ高校は、1593年創立。作家のフロベールやモーパッサンが卒業生だ。学校付属の教会は歴史的建造物に指定され、校舎正面中庭には、やはり劇作家コルネイユの銅像が建っている。この手の由緒ある学校には遠方から生徒たちが集まるから、付属の大きな寄宿舎もあり、フランス各地をはじめ、ノルウェーやモロッコ、ペルー、日本からの学生も寄宿生活を送っている。 子どもたちの授業が始まる毎朝8時に、市役所横のサン・トゥーアン教会の鐘が鳴り響く。その頃には朝市がすでに開いていて、食材を買いに出かける市民も多い。コンビニも24時間営業の店もないから、夜や日曜はいたって静かだ。(土曜に買い忘れをすると、日曜は一日“籠城”になるのはパリも同じだが)観光に来たら、お土産はウィークデーに買っておく必要がある。 そこで最後に、ルーアン土産のおすすめスポットを。まず筆頭は、Les Larmes de Jeanne d’Arc(ジャンヌ・ダルクの涙)という名前のアーモンドチョコレートを作るAUZOU(オズー)。ジャンヌ・ダルクが火刑に処された約30年後、15世紀後半に立てられた大時計通り沿いの木組みの家で、ショコラティエ・ジャン=マリー・オズーが作るショコラだ。プラリネとショコラという定番、相性抜群のスイーツが、ルーアンらしい素朴な外見に詰まっている。 もう一つのおすすめは、やはり地元ノルマンディー名産のチーズ、カマンベールだ。町中のチーズ専門店でももちろんよし、広場の朝市なら観光客も多く、他の人が聞いている説明を横で聞きながらゆっくり迷って買える。パリでも見つからない小さな農家が作るカマンベールなど、案外貴重な“掘り出し物”がある。合わせてアルコールもほしい、という人は、300平米のカーヴを持つ、「カーヴ・ジャンヌ・ダルク」へ。ワイン好きはもちろん、地元産のリンゴのお酒、カルバドスなどもおすすめだ。