国土交通省都市局公園緑地・景観課は10日、「第7回 日本らしく美しい景観づくりに関する懇談会」(委員長:早稲田大学教授・卯月盛夫氏)を開催した。
2004年の景観法制定から10年が経過したことを契機に、関連制度について幅広く点検・検証するもの。今回は、総論となる「良好な景観形成を進める上での基本的な考え方」や、「広域景観の形成」、「創造的な景観協議の推進」、「景観を資産として捉えることによる地域価値の向上」、「景観マネジメントにおけるさまざまな課題」などの論点について検討が行なわれた。
事務局からは、前回の懇談会で委員から挙がった意見をまとめた報告書案が発表された。
景観計画の策定や景観協議等を行なう前提として、その地域において出現している景観が、どのような地形、自然、歴史、文化等の積み重ねによって成り立ってきたかという「景域」のストーリーについて、行政区域にこだわらず、各方面のデータや情報を元に、詳細に調査するとともに、その調査プロセスや調査結果を関係者間できちんと理解・共有し、読み解くことが重要とした。
また、都心部で大規模な開発が進む際、都市景観が大きく変わるため、将来を見据えた開発にするための協議が必要であるなどの提案がなされた。
参加した委員からは、「創造的な景観協議の推進」について、「事業者と行政がその地区の景観の特性を共有化することが重要。自治体は創り出したい景観特性のコンセプトをしっかりと持ち、設計者に提示できるように準備するべき」、「都市開発は、将来に向けて都市の景域を意図的につくり、計画的観点を入れることが重要」といった意見が挙がった。
また、「景観マネジメントにおけるさまざまな課題」については、「無秩序にただ立派なビルが建っているだけではもったいない。経済の活力を活かして、戦略的に景域を考えていくべき」、「景観以前に都市計画との連携が重要。節度あるボリュームや高さなど、都市計画に反映させるように誘導していくことが必要」などの声が挙がった。
なお、懇談会は今回で最終回となる。これまでの意見を踏まえ、事務局で最終答申を作成する予定。