(OVO オーヴォより)

選択の余地がなかったところに「選択の自由」が生まれたら、いったい何が起こるのだろう。しかも、それが電気の供給元という我々の生活に大きく関係することだったら・・・。そんな誰にでも関係のある大変動はもうすぐやってくる。まだピンときてないという人は、この調査結果を確認して、心の準備をしておいたほうがいいかも。
株式会社共同通信社(東京)では、2016年4月に予定されている「電力小売自由化」について全国の男女900人にインターネット調査を行った。それによると、電力小売自由化の「内容を詳しく知っている」人から「名前を聞いたことがある」までを含めた認知度は77.9%と意外に高いようだ。だが、「内容をなんとなく知っている」と「聞いたことはあるが、内容はわからない」と答えた人を合わせると66.1%と、言葉の認知は進んでいるものの、詳しい内容理解についてはまだまだということがわかる。
男女別の集計では、「内容を詳しく知っている」と「内容を知っている」の合計が、男性は17.7%、女性が6.4%。「聞いたことはない」と答えた人が男性14.9%、女性28.7%と、男性の認知・理解度が高いことが明らかになった。
電力会社を変更することが可能になったら利用者はどういう行動を取るのだろうか。電力会社を変更したいかという問いには、「電気代が同じでも変更したい」「電気代が安くなるなら変更したい」と答えた人が合計63.6%と、6割超が変更の意向を持っていることがわかった。そして、その多くが「電気代が安くなるならば」という条件付きだったことから、「料金の安さ」が電力会社を選ぶうえで重要なポイントの1つになっているようだ。付随するサービスとして、どのようなものを利用したいかという質問に対して、「長期契約割引」「一定量までは定額」「ガスや水道とセット割引」など、電気料金に関連するサービスが上位にきていることからも、料金の安さが電力会社選択のポイントになっていることは間違いなさそうだ。
電力会社を変更するタイミングについては、「自由化されたらすぐ」と答えた人は14.2%にとどまり、多くが周囲の様子を見てから変更を判断する意向のようだ。その理由については、「本当に安くなるのかを確かめたい」が77.5%、続いて「電気が途切れず、安定して送信されるのを確かめたい」「トラブルがあった際の対応を見たい」と、電力の安さに加えて電力の供給に対する安心感を求めている様子がうかがえる。
では、電力会社を選ぶ決め手は何になるのだろうか。重視する点としては、「電気料金が安いこと」(57.3%)に続いて「安心・安全なイメージがあること」(47.0%)、「トラブル時の対応が迅速で丁寧であること」と、安心感に関連する項目が並んでいる。電力会社に求めるイメージとして、「安全を第一に考える」「信頼感のある」「安心できる」が上位を占めていることからも、料金は重視しつつも“福島原発”の教訓を利用者は忘れていないことがわかる。
最終的に家庭内で電力会社変更の決定権が誰にあるのかも興味深いところだが、「電力会社の変更について意見を出す人は?」「最も意見を重視される人は?」という質問の両方に対して、30代〜60代男性の圧倒的多数が「自分」と回答。同年代の女性は「配偶者」と答え、20代男女でも「父親」という回答が多かったことから、最終的に電力会社の変更に決定権を持つのは「夫」や「父親」というのが暗黙の了解のようだ。
来年の大変動で起きることが予想される悲喜こもごもに紆余曲折。だが、「家庭の電力」という重要事項に決定権を有することが判明したのは、夫や父親にとっては朗報かも。それとも、「しっかり研究しといてね、パ、パ」ってこと?