(OVO オーヴォより)

こういうチャンスを逃してはいけない。国内史上、過去最大数となるボッティチェリ作品17点が来日中だ。Bunkamura ザ・ミュージアム(渋谷)で開かれている、「ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美」展。イタリア、フランス、アメリカから集結した作品のうち、14点が日本初公開なのだ。ウフィツィ美術館所蔵の至宝、横幅5メートルにも及ぶフレスコ画《受胎告知》や、ボッティチェリの代表作「ヴィーナスの誕生」から女神の姿のみを取り出し描かれた《ヴィーナス》(トリノ、サバウダ美術館)、イタリア国外門外不出リストにも記載されている《聖母子と洗礼者聖ヨハネ》(ピアチェンツァ市立博物館)など、まさに奇跡の来日ともいえる展示内容だ。
ヨーロッパを語るのに不可欠なルネッサンス。美術だけでなく、経済、社会、文学から音楽、建築、食文化に至るまで、この古代回帰の産物は、今の欧州を理解する原始的な鍵でもある。美術は不案内、という人も、ボッティチェリの前に立ってみよう。国際金融の中心地だった当時のフィレンツェの風が感じられるかもしれない。