（Jタウンネットより）
関東の1都6県の中では長きにわたってネタの対象であり続けてきた群馬。ところが、富岡製糸工場の世界遺産登録確実がニュースとして報じられて以降、一躍日本中が認めるスポットになりつつある。ライバル関係にあった北関東の茨城・栃木県民だけでなく、当の群馬県民もそのことを徐々に自覚している様子だ。
富岡製糸場、東繭倉庫（ume-yさん撮影、Flockrより）
2014年6月2日放送の「月曜から夜ふかし」は、実はすごい群馬の名所・名物と、それらの事実を突き付けられ動揺する他県民の姿を伝えた。
世界が認めた温泉地もある
●製糸場ブームで「こんにゃくパーク」も好調
2014年のゴールデンウイーク期間中、富岡製糸場を訪れた観光客は約5万人に達した。県企画部世界遺産推進課の担当者は、約４キロ離れた「こんにゃくパーク」をセットで回るツアーが最近人気と話す。同パークを見学するとこんにゃく料理の無料バイキングが味わえるという。
●日本の温泉ランキング１位がある
オーストラリアに本社のある出版社「ロンリープラネット」は、世界一の旅行ガイドブック出版社。同社が日本の温泉ランキング１位に選んだ温泉宿が、みなかみ町の「宝川温泉 汪泉閣」だった。大自然の中に露天風呂が４つあり、旅館の名前の由来となった宝川に面している。一番大きい風呂は広さ200畳！ 温泉につかりながら四季折々の風情が楽しめる。海外からの観光客は「自然が素晴らしい」「また来たい」と大満足だ。
このほかにも伊香保、草津、万座と有名な温泉地が県内各地にある。
●うどん日本一に輝いた「ひもかわうどん」
うどん日本一を決める「U－１グランプリ」昨年の大会で優勝に輝いたのは、館林の郷土料理「ひもかわうどん」だった。幅５センチの麺は粘りがあってしなやか。地元の老舗うどん店の５代目は「売り上げは前年比でプラス200％です」と喜びを隠せない。
●好きな道の駅ランキングで1、2位を独占
関東地方には100カ所以上の道の駅があり、利用者が選ぶ「関東好きな道の駅ランキング」で1位に選ばれたのが「ららん藤岡」で、2位が「川場田園プラザ」だった。どちらも地場の食材を用いた料理が人気で、藤岡にはミニ観覧車やメリーゴーランドといったアミューズメント施設も備えている。
●どでかい商業ビルが高崎駅前に再来年オープン
2016年春、JR高崎駅西口に北関東最大級の「駅前型イオンモール」が開業する。延べ床面積は4万5000平方メートルで、テナント数は約200の予定。
これらのデータに対する他県民の反応は次のようなものだった。
「浮かれすぎですね」
「ちょっと世界遺産に選ばれたくらいで、そんなに変わらない」
「長く続くのかな」
「まあ、1、2年で途切れると思うので…」（以上、栃木県民）
「許せないですね」
「栃木・群馬…海がないからって茨城に来るのですごい迷惑」（以上、茨城県民）
一方で群馬県民の表情は自信に満ち溢れている。
「1位東京、2位千葉、3位横浜、4位埼玉、5位は…群馬来ちゃうでしょ！」
「北関東で肩を並べる栃木とか茨城とか、頭一つ出た感じ」
「世界に群馬から発信するっていうのは大事」「群馬一番だよ！！」
毎年調査集計と発表が行われているブランド総合研究所の「都道府県別地域魅力度ランキング」。群馬は毎年最下位争いを演じているが、2014年は何位になるか――とナレーターは締め括った。
北陸新幹線でさらに発展の可能性が？
2013年の魅力度ランキング最下位だった茨城はともかく、41位だった栃木を44位の群馬が上回ることは可能だろうか。日光の社寺は既に世界遺産登録済みなだけに、「そんなに変わらない」という栃木県民の指摘は妙な説得力がある。
商業地としてのポテンシャルは相当高い。高崎駅は上越新幹線と北陸新幹線の乗換駅となる。いわば東北新幹線と上越新幹線が合流する大宮駅に似た「ハブ」的なポジションを得る。人の流れが増えることが見込まれ、周囲にタワーマンションが建設されている。
高崎駅（Matsukinさん撮影、Flickrより）
高崎は家電量販店の雄、ヤマダ電機とビックカメラの発祥地でもある。現状はヤマダ電機の方が優位に立っているが、2018年ごろにビックカメラは駅東口に大型商業ビルをオープンさせる計画がある。郊外に「イオンモール高崎」が既にあり、小売業の競争は激しさを増す。
県内だけでなく栃木や埼玉北部からも人は押し寄せそうだ。群馬が北関東で頭一つ抜け出たと自他ともに認める日は案外近いかもしれない。
