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1000万円で宇宙に行けるか? 民間企業が手がける宇宙旅行最前線

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地球の画像

先日のアンケート「宇宙旅行の旅費は5万まで 広島・富山出身者は1000万超えもいとわず」では、さまざまな回答を通して、宇宙旅行への関心の高さが明らかになりました。

とりわけ旅費に関する意見は幅広く、国内旅行くらいの感覚で行ければと思う人が大半かと思えば、「1000万円以上出せる!」という人までいました。

それでは、実際に宇宙へ行くにはいくらぐらい必要なのでしょうか? 今や宇宙へ行けるのは、NASA(アメリカ航空宇宙局)やJAXA(宇宙航空研究開発機構)といった、国の機関だけではありません。民間企業でも、宇宙に行くサービスを行っているのです!

今回はそんな民間宇宙旅行について、宇宙旅行の代理店業を行っている「SPACE TRAVEL」岡田光さんに話を聞きました。

■「準軌道宇宙旅行」の実現はもう目の前!

岡田さん「実は、宇宙旅行を事業として手がけている企業は、世界的に見るとかなりの数があるんです。今は各社が旅客機の開発と試験飛行を繰り返している時期ですが、2〜3年後くらいには、民間人を乗せた宇宙旅行が実現するのではないでしょうか」

2〜3年後とは、本当に目の前にまで迫ってきていますね! 民間宇宙旅行の最初の目標として各社がチャレンジしているのが、「準軌道宇宙旅行」と呼ばれるものです。

岡田さん「「地球と宇宙の境目である準軌道(地上から約100kmの高さ)まで飛び、約5分間の無重力体験をするというものです。その最中はエンジンを停止するので、完全な静けさの中で、地球を眺めることができるんですよ」

「準軌道宇宙旅行」にかかる費用は、現在の相場でおよそ10万ドル(約1200万円、1ドル=120円換算)と見られています。1000万円以上払って、5分間の宇宙体験。偶然にも、先日の宇宙旅行アンケート記事での、広島・富山の金額と一致しています。

岡田さん「確かに、弊社のお客様は富裕層の方が多いですが、いわゆるミドルクラスの方からも結構問い合わせが来ていますよ。具体的な旅行日程こそまだ決まっていませんが、予約者数は数十人にのぼります」

ちなみに、民間宇宙旅行では今のところ、チケットを譲渡することができるのだとか。自分で行きたい人はもちろんのこと、子どもにプレゼントするためにチケットを買う人もいそうですね。

■眺望を独り占め? 仲間で貸切? 広がる宇宙旅行のスタイル

「準軌道宇宙旅行」はいろいろな企業が企画しており、それぞれに特徴があります。

●XCORエアロスペース社(アメリカ)
乗客1名で飛ぶ飛行機型の宇宙船。宇宙からの眺めを独り占めできる。
●ヴァージンギャラクティック社(アメリカ)
6人乗りで飛ぶ飛行機型の宇宙船。複数人が乗れるので貸切向け。
●ブルーオリジン社(アメリカ)
機体上部が大型の窓になるポッド型の宇宙船。眺望を優先したい人向け。

ロケットの画像

将来的には、価格帯も含めて、いろいろなスタイルが出てくるのではと、岡田さんは予想します。

XCORエアロスペース社では、準軌道のプランを実行する前に地上60kmのプランを行う予定です。「準軌道宇宙旅行」とほぼ同じ体験ができるとあって、チケットはほぼ完売しているとのこと。

ワールドビュー社(アメリカ)では、地上30kmを気球で上がる「疑似宇宙体験」を打ち出しています。この費用は、およそ750万円と見込まれています。

■日本よ、アジアの宇宙市場を狙え!

宇宙旅行は、世界的に注目されている話題。ですが日本はまだまだ、宇宙への関心が低いというのが現状です。

岡田さん「欧米に宇宙旅行会社が多いのは、宇宙をビジネスの場としてとらえているから。人だけでなく物資を運んだり、さまざまなアイデアが考えられています。それに比べると、日本は少し遅れている感がありますね」

ノズルの画像

もっとも、アジアの市場では、日本にもチャンスがあるといいます。

岡田さん「欧米と比べると、アジアは全体的に宇宙への関心が高くないように思います。だからこそ日本が先陣を切り、宇宙港を作ったりすれば、宇宙旅行におけるアジアの『ハブ』になれる可能性があります」

現在は、宇宙旅行をしようと思うとどうしても欧米へ出向かなければならず、その分のコストもかかります。しかし、日本に競争力がつき、国内で宇宙旅行が実現できるようになれば、もっと旅費は安くなる可能性があるのです。日本と宇宙旅行業界との関わりが今後どうなっていくのか、目が離せませんね!

■取材協力
SPACE TRAVEL
http://spacetravel.jp/

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