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カドカワが目指す新しい教育の形…「N高等学校」校長に聞いた「ネットの高校が『地方』に注目する理由」

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(Jタウンネットより)

カドカワが2016年4月に開校を予定している「N高等学校」。授業やレポート提出をウェブ上で行う、デジタルネイティブ世代へ向けた新しい教育の形をうたう「ネットの高校」だ。

ドワンゴが運営する動画サービス「niconico(ニコニコ動画)」など、グループ会社のコンテンツを利用したカリキュラム・イベントばかりに注目が集まっているが、Jタウンネット編集部が目をつけたのは地方との関係性だ。

通信制高校ではあるが、本校は沖縄県うるま市・伊計島の廃校を利用。全国10自治体と連携した職業体験カリキュラムも用意している。また、全国5都市をめぐる「学校説明会・個別相談会キャラバンツアー」の実施も予定される。

奥平校長が「N高等学校」の詳細を語る 奥平校長が「N高等学校」の詳細を語る

「ネットの高校」が、地方へ目線を向ける理由とは――。2015年10月27日、ドワンゴ本社を訪れた記者は、N高等学校の校長に就任する奥平博一さんにインタビューを行った。

「人と人とのつながり」を大切にする通信制高校でありたい

――沖縄の離島に本校を置くことには、素直に驚きました。伊計島を選んだ理由をお聞きできればと思います。

奥平 建造物の選択などといった実務的な面はともかくとして、まず純粋に「面白い」と思いませんか?カドカワやドワンゴが創る新しい教育機関の校舎が、沖縄の離島ひいては日本の端っこにある。もしこれが東京や神奈川といった都心だったら、おそらくこんな疑問は一切出てこなかったでしょう。少しでも人の興味をひくきっかけになることは、大きな意味を持っています。

それに加えて、「地理的な格差が一切ない」というネットのウリを分かりやすく実証するという側面もあります。また、沖縄という場所のプラスのイメージが、生徒へ良い影響を与えるのではと期待しています。

沖縄伊計本校のイメージ(N高等学校紹介動画より) 沖縄伊計本校のイメージ(N高等学校紹介動画より)

――うるま市の自治体や住民からの反応はいかがでしょうか。

奥平 大きな期待を感じています。伊計島にあった唯一の小中学校も、人口減の影響で2012年に廃校になってしまいました。なので、単に教職員の勤務先や生徒のスクーリング先というだけではなく、地元の方にも受け入れられる「コミュニティの拠点」としての学校を再興したいという思いがあります。

地元のNPO法人などと連携し、生徒が訪れるスクーリングの際に伝統芸能や郷土料理の体験学習を行う予定もあります。遠い話にはなってしまいますが、我々が実施するスクーリングをきっかけに地方へ移住する若者が出てきてくれれば、と期待しています。

――「コミュニティ」という言葉から、これまでの通信制高校とは違う印象を抱きました。

奥平 通信制高校にはどこか「ネット授業で資格さえとれればいい」といったイメージがありますし、事実そういった学校も多いです。しかし、N高等学校は違います。

言い方はアレですが、通信授業だけをやっていた方が「楽」なのは間違いありません。それでも、我々は「人と人とのつながり」を大事にしたいと考えています。その一環として、スクーリングや職業体験の場を積極的に導入し、リアルなコミュニケーションの場を生徒へ提供していきたいと考えています。

印象的なキャッチフレーズとN高等学校ロゴ(画像は編集部作成) 印象的なキャッチフレーズとN高等学校ロゴ(画像は編集部作成)

――職業体験の話が出ましたが、全国10か所の自治体と連携して行うことが発表されています。このように、地方へ目を向ける理由をお教えください。

奥平 体験の場としては、地方に勝るものはありません。人里離れた田舎には、いい意味での自然やコミュニティが根強く残っているからです。そういう場に生徒を入れてあげて、貴重な体験をさせてあげたい。普通の高校ではできない学びを提供したい。繰り返しにはなりますが、通信制だからこそ人と人との結びつきを大切にしたいのです。

今の時代、情報の入手や勉強はネットがあればできるでしょう。「体験は地方、勉強はネット」というのが、我々が理想とする目標の1つです。

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