(Jタウンネットより)
雑誌「宝島」の休刊号が、2015年8月25日に発売された。40年以上続いた人気雑誌の終焉にあたって、中島らもさんが手掛けた「啓蒙かまぼこ新聞」のことを思い出した読者もいるのではないだろうか。
1982年から92年まで宝島誌上で連載された「啓蒙かまぼこ新聞」は、兵庫の練り製品メーカーのかねてつ食品(現・カネテツデリカフーズ)のシリーズ広告だ。小説家や脚本家、ミュージシャンなど幅広く活躍した中島さんのコピーライター時代の代表作としても知られる。
新聞記事風にレイアウトされた2ページの中に、製品とはおよそ関係のないナンセンスなコラムや、読者からの悩み相談、不条理な内容の3コママンガなどを掲載。広告の体裁を逸脱した破天荒な内容が話題を呼び、若い世代からの注目も大きかった。
実はこの「啓蒙かまぼこ新聞」、現在もカネテツデリカフーズのウェブサイト上で存続・発信され続けているのだ。
当時の「かま新」を彷彿とさせるテイスト
中島らもさんが2004年7月に脳挫傷で世を去った翌05年に、カネテツデリカフーズは「啓蒙かまぼこ新聞」の名を引き継いだサイトをオープンした。
その内容は中島さんの手掛けたエッセイやマンガをはじめ、ウミガメを特集した「ウミガメ通信」や、謎の人物「まるつさん」のお弁当の中身を扱った「まるつのお弁当」など、どれもシュールなページばかり。中島さんのブラックなテイストとは少し違うが、そのユルい雰囲気は当時の「かま新」を彷彿とさせるものになっている。
カネテツデリカフーズの担当者に、このサイトを制作した理由を聞いてみると、
「中島らもさんが手掛けた『啓蒙かまぼこ新聞』は、弊社を代表する広告で、現在でも多くの方に愛されています。そういったファンの方に、ネット上でも『かま新』を楽しんでいただこうと、05年に弊社のホームページをリニューアルした際に同サイトをオープンいたしました」
と語った。上記したようなシュールなコンテンツは、当時の社員が手掛けたものだという。現在のところ、更新が続いているのはイメージキャラクター「てっちゃん」のコーナーだけではあるが、同社はファンの為にもサイトを存続させる予定だとしている。