(Jタウンネットより)
安納紅芋
焼き芋にした時のあのねっとりとした甘さが好評の安納紅芋は、太平洋戦争の終了後、戦地から兵隊たちが持ち帰った苗を鹿児島県種子島の安納地区で栽培したのが始まりと言われています。つまり、種子島がまさに本場。
一時は、その見た目の不格好さから店頭では見向きもされず大きく収穫量が減っていた時期がありました。しかし、それでも農家の方々が、「伝統あるこの芋を失ってはならない」という思いで作り続けたからこそ、今の人気があるのです。
焼き芋が好きな方にとっては、「あの安納芋が?」と驚かれるかもしれませんが、そんなお芋好きな方でも、安納紅芋の美味しさを知ったのは、ここ5〜6年の間ではありませんか?
ずっと昔から知っていたのなら、かなりのマニアと言えるでしょう。
少し話が変わって、種子島の農業と言えば、安納芋以外ではサトウキビが主力。
実際に国道沿いに車を走らせると、植えられている農作物は、ほとんどがこの2種!それ以外では稲作くらいしか思い当りません。
今年は、記憶に新しいように台風が多い年で、種子島もその影響を多く受けました。
台風は塩を含んだ海水を巻き上げ、種子島全土に降り注ぐため土地に「塩害」が発生します。
芋は、台風の前後9〜10月頃に収穫されるので、あまり問題はないのですが、12月に収穫されるサトウキビは、すでに枯れている物も多く目につきました。
近年は特に異常気象が多く、日本全国でも、予期せぬ大雨、通常では考えられない時期の台風、ゲリラ豪雨、また今年に限っては雹(ひょう)も多発しています。
この安納紅芋も、そんな苦難があって、やっと収穫された物なのです。
掘りたてを焼き芋にしたい衝動に駆られても、すぐには食べないのがポイントです。
芋は、貯蔵をするとデンプンが糖に変わり凄く甘くなります。この収穫したての芋も、適度な条件で40〜50日程置くと、それはもう別物の美味しさ。
当然、貯蔵には空調設備のある貯蔵庫が必要で、お金もかかります。だから全ての農家が出来る訳ではありませんが、その貯蔵をするおかげで、3月以降まで店頭でも焼き芋を買う事が出来るのです。
ちなみにお店で買えば簡単な焼き芋、実際に自宅でじっくり焼くと40〜50分、大きい物は1時間以上もかかります。
「そんなにかかるの?」と驚かれる方、農家さんが言っていました……
「私達は、翌年に植える苗を作るのが12月、苗を4月に植えて収穫は9〜10月、貯蔵をしていたら3月まで。一年がかりで作っています。だから、どうか一時間は我慢してください。絶対に美味しい自信がありますから。」
農作物は天の恵み、これからが一番美味しい焼き芋の季節を、是非楽しんで下さい。
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