京都・出町桝形商店街の、不思議なうさぎ雑貨専門店「きゃろっとたうん」…店長・猪俣愛美さんインタビュー

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(Jタウンネットより)

このコーナーでは、ちょっと不思議なお店のことをお伝えします。いろいろ張り切って、取材にかなりの時間を掛けてしまいました。すると、思わぬ事態が……。

photo by 西馬晋也
photo by 西馬晋也

京都府・京都市の上京区に、出町桝形商店街と呼ばれるアーケード街があります。その一角に、今回ご紹介する「きゃろっとたうん」があります。このお店は、うさぎのグッズ専門のハンドメイド雑貨店です。
お店に入ると、かわいらしいうさぎのアクセサリーや雑貨が広がっています。また、ここではフリーペーパー「ぽつり」を発行しています。ほんのりと切ないイラストの表紙で、中を開くと毒のある小説やエッセイが広がっています。冊子のつくりも、お洒落で丁寧です。さらに、お店の前には、大きなオートバイ(HONDAのCB2235)の姿が!
ここは、ちょっと不思議なお店です。というわけで、今回は店長の猪俣愛美さんのロング・インタビューをお届けします。写真と併せて、お楽しみください。

――きゃろっとたうんは、どんなお店なんでしょうか。

主に、ハンドメイドの作品を販売するお店で、約、90人弱の作家さんの商品を取り扱っています。

photo by 西馬晋也
photo by 西馬晋也

――お店の名前がひらがなで、ふわっとしていていいですよね。どうして、きゃろっとたうんという名前を付けたんでしょうか。なにかこだわりがあれば、お聞かせください。

うさぎが大好きなのと、人参を使った名前にしようか悩んでいて。私の生まれた町が埼玉県の朝霞市で、人参の特産地なんです。通学路の道端が人参畑だったりで、人参は、結構自分の中で馴染みのある野菜なんです。なんとなく無意識のうちに「きゃろっとたうん」という名前を出していて。よく考えたら自分の住んでた町と同じだって後々気づいて。あと、ショップの名前が英語だと読みづらいから、平仮名にしようと。

――今のお店は、新しく移転されてから間もないですよね。

今のスペース(Deまち)では、二回ほどイベント出店したことがあって。そこからのつながりですね。あとは個人的に管理人の西馬さんと仲良くさせてもらっていて。

――このお店はうさぎ雑貨専門店と伺っていますが、これからもうさぎ推しで行く感じでしょうか。

はい。世の中はまだまだイヌネコのほうが人気あるし、うさぎグッズはお店が少ないと思うから。だから、「きゃろっとに来たら、うさぎグッズが買える」ってゆう感じでいきたいです。

photo by 西馬晋也
photo by 西馬晋也

猪俣さんは、二十代の前半をバセドウ病と闘ってきました。約五年もの間、彼女は薬漬けの日々でした。ある夜、彼女は思いました。「結局生きなきゃいけないなら、とことんハッピーな生活でありたい。かわいいものに囲まれて暮らしていきたい」、と。こうして、彼女はきゃろっとたうんをオープンさせるまでの道を歩き始めました。

――わりと、お店を始められたきっかけがへヴィというか、切迫感がありますね。

あんまり、聞かないコンセプトですよね。裏テーマというか……。

――ちょっと一筋縄じゃいかないカンジがしますね。

たしかに。フリーペーパー「毬」のほうにも書きましたが、「継続は力なり」ですよね。この店を続けて良かったなって思います。編み物もそうなんですけど(目の前で、作りかけの編み物を見ながら)。もともと不器用と言われるのがすごく嫌で克服したくて、四年前から編み物の学校にも通い出して。ゆくゆくは、編み物の教室を始めたいです。まあ、気楽に行こうと。

photo by 西馬晋也
photo by 西馬晋也

――ちょっと話が逸れますが、バイクの魅力について教えてください。

えー、単純にかっこいい(笑)。ドッドッドッって音と、速さ。あとギアチェンジしてる時のかっこよさ……。左手がクラッチで、左足がギアなんだけど全身で操作してるカンジがなんかカッコイイ…です。風になってバイクでピャーッと走る感じ、最高です!!

――個人的に、この作家さんを推したいという方がいたら、教えて下さい。

いつもこの「ぽつり。」をいっしょにやっている、てぃ:)ちゃん。この人はほんとうにすごい子。推していきたいです。

illust by てい:)
illust by てい:)

ぽつりとは、猪俣店長が「うさこーど」名義で行っている活動の一部で、フリーペーパーです。年間4回の発刊で、現在は四号まで発行されています。

――フリーペーパーの「ぽつり。」やシャボン玉会など、お店以外の活動も多いですね。こういった活動も頻繁にされているんですか。

はい。けっこう闘病生活が長くて、そのとき同級生が海外旅行に行ってるのをフェイスブックで見て、「いいな」っていう妬みがあって、それが今爆発してきてます(笑)。だんだん動けるようになって。その時に、「誰かがやらないと、楽しい事出来ない」んなら、じゃあ私がやろうって。

――このお店はネガティヴな部分とかわいい部分がうまく共存してて、そこが面白いです。

だって、(誰だって)常にカワイイカワイイだけで生きていけるわけじゃないし、誰にだって闇があるし病気もあるし言えないこともあるけど、それを隠したいから可愛いものを身に着けて、「ちょっとでも気分をアゲよう」っていう手助けをしたい…だけ。基本的には。

――ありがとうございます。今後、こうしていきたいという希望がありましたら。

やっぱり、病気がある人に対して、うまくフォローしてきたいですね。病気=ネガティヴなカンジになりますが実はそうではなくて、病気になったから分かることって結構たくさんあると思うんです。今まで普通にしてきたことが出来なくるって本当に辛いことです。病気だからと言って引っ込みにならないでほしいです。今の時代、医学は日々進歩していますし、辛い時はしっかり休んで少しでも体調良い日は外に出てみてください。きっと気分も変わるだろうし、新しい空気を吸ったら何か良いことがあるやもしれません。

と、インタビューを終えて文字に起こしている最中、きゃろっとたうんが7月26日に閉店するというニュースが入りました。理由は、猪俣さんにドクターストップがかかったからです。とはいえ、猪俣さんは自身のブランド「うさこーど」としての活動を、今後も続けます。「ぽつり。」の発刊も、年三回のペースで続けるそうです。

まるで蜃気楼のように、雑貨店というイメージを翻してゆくきゃろっとたうん。今後の先行きが気になるところですが、閉店まであとわずか。行くなら、今のうちに!

きゃろっとたうん
〒602-0824 京都府上京区一真町67
営業時間 14:00〜19:00(定休日:水曜日・木曜日・他)
URL:http://carrottown.net/
https://twitter.com/carrottownkyoto

筆者:三枝柚亜(みえだ・ゆあ)おいしいものとかわいいものが大好きです

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