福井の安売り王「ゲンキー」と西の雄「ラ・ムー」の間に、北陸「激安弁当戦争」が始まる?

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(Jタウンネットより)

日本の小売業はカテゴリーごとに覇者が存在する。コンビニならセブン-イレブン、スーパーならイオン、家電量販店ならヤマダ電機がそれにあたる。

一方、ドラッグストア業界は戦国時代まっただ中で、全国各地に地盤を持つチェーンが覇権争いを繰り広げている。北海道がツルハドラッグ、千葉がマツモトキヨシ、東京がサンドラッグ、ウエルシア、トモズ、神奈川がココカラファイン、愛知がスギ薬局、大阪がダイコクドラッグ、福岡がコスモス薬品といった具合だ。

福井県を本拠地に勢力を拡大しているのが、東証一部上場のゲンキー(坂井市)。福井・石川・岐阜・愛知の4県に124店舗を展開している。
2015年7月22日の福井新聞によると、税抜198円の格安弁当の販売を県内外の20店舗で開始した。弁当は4種類あり、いずれもご飯と漬物、ポテトサラダ、スパゲティが共通メニュー。メーンのおかずは鶏肉の空揚げや白身魚のフライ、コロッケを組み合わせて盛り付ける。全体で1日当たり約800個、1店舗当たり約40個の売り上げを目指すという。

ドラッグストアだけど売上の中心は食品

ゲンキー多治見西店(TaitaFkmさん撮影、Wikimedia Commonsより)
ゲンキー多治見西店(TaitaFkmさん撮影、Wikimedia Commonsより)

ゲンキーの特徴は、売上高における食品の比率が高いことだ。2015年6月期決算短信によると、食品が54.1%、雑貨が16.6%、化粧品が14.6%、その他が2.4%となっている。医薬品は12.4%を占めるにすぎない。関東を中心に展開するウエルシアも食品の取扱いは多いほうだが、それでも約24%にとどまっている。

ゲンキーのスローガンは「日本の物価を3分の1にするドラッグストア」だ。最新のチラシを見ても確かに安い。
最新のチラシをチェックした。表面に掲載されている商品の大半は食品で、その安さに驚く。

例えば丸岡店のチラシを読むと、7月22日(水)の特売品に「カルビー フルグラ 800グラム」が570円+税と書かれている。おひと家族様2点限りという条件がついているものの、東京都内の大手スーパーと比べて200〜300円ほど安い。

ゲンキー丸岡店の最新チラシ(同社公式サイトより)
ゲンキー丸岡店の最新チラシ(同社公式サイトより)

いままでゲンキーはメガドラッグストア路線を採ってきた。売り場面積の標準フォーマットは300〜600坪で並のスーパーよりも広い。スギ薬局のロードサイド店舗ですら150〜400坪にすぎない。
パイの小さい福井では1人勝ちになるのも必然で、原子力発電所のあることで有名な美浜町や高浜町では、スーパーも含めて地域一番店となっている。

安売り弁当販売の裏にラ・ムーの影が!?

業界最安値をうたうゲンキーの198円弁当だが、強力なライバルが存在する。岡山発の激安スーパー「ラ・ムー」だ。コンセプトは「メガディスカウントランド」とゲンキーと似通っている。そして198円弁当はラ・ムーが先に商品化していた。
現在のところ福井と石川に1店舗ずつあるだけだが、その存在感は大きい。

ラ・ムーを運営する大黒天物産は全国展開を目指しており、北陸地方の本格進出も噂されている。
最近のドラッグストアの潮流は調剤コーナー併設による「かかりつけ薬局化」だが、実はゲンキーに調剤はない。他のディスカウントストアに安売り競争を仕掛けられた場合、差別化しづらい。

そこでゲンキーは売り場面積300坪タイプの新型店舗を開発し、住宅地のような小商圏に対しても出店攻勢をかけていく。198円弁当はその目玉商品というわけだ。
選択肢が増えるのは消費者にしてみればうれしい話が、この激安戦争の行方は――。

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