観光客減、放置されるゴミ…世界遺産登録から10年、知床の抱える課題

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(Jタウンネットより)

知床五湖(MrHicks46さん撮影、Flickrより)

Shiretoko Goko Lakes

[どさんこワイド – 札幌テレビ]2015年6月17日放送の道内ニュースでは、世界遺産登録から10年目をむかえる知床の今が特集されました。

知床の海で躍動するシャチ。好奇心が旺盛で運動能力が高いことから「海のギャング」と呼ばれています。

崖を歩るくのはヒグマです。知床は世界で最もヒグマが密集する地域といわれ、ごく当たり前に暮らしています。

海と陸で、希少な動物たちが命をつなぐ知床は『奇跡の地』と言われ2005年に世界自然遺産に登録されました。登録地域は、半島の半分をしめ、海岸から沖へ3キロの海も含まれます。国内で最も広い世界遺産です。

世界遺産に登録されてから、7月で10年。今、さまざまな課題が浮かび上がっています。

斜里町、ウトロ。観光名所、知床五湖の駐車場は週末をむかえてもガラ空きでした。知床を訪れる観光客は、遺産登録された2005年の235万人をピークに減少し、今では166万人に落ち込んでいます。

世界遺産のブームが去ったウトロでは、今までなかった「滞在型観光」を提供しようと6月から新たなツアーを始めました。

斜里町の観光協会の方は「遺産登録から総入れ込み数が右肩で下がってきているが、オーバーユースになると環境にも負担がかかる」「観光サイドとしては当然たくさんのお客さんに来てもらいたい」とそのバランスの難しさを語ります。

美しい自然を守りながらどう観光客を呼び込むのかが知床の課題なのです。

守り伝える知床の大自然

北方領土、国後島を望む羅臼町。海の幸に恵まれ「魚の城下町」と呼ばれています。この時期揚がっているのはトキシラズ。羅臼沖は深いところで、水深2000メートル。浅いところは30メートル。プランクトンが豊富で魚が集まりやすい独特の海底は「天然の定置網」と呼ばれています。

そんな羅臼の海を30年にわたって撮影し、世界に発信している方がいます。彼によると「生まれて、育てて、食べて、食べられて、『生態系』をみられる」「本来見られない深海魚が見れたり、魅力が尽きない海」なのだといいます。しかし気にかけていることがありました。「ゴミ」の問題です。

海を漂流するごみは、一般の人が入ることができない「特別保護地区」の海岸にも流れ着きます。

羅臼で民宿を営む湊さんは15年前から1人でごみを拾ってきました。現在は環境省の協力を得て、観光客と一緒に半島のゴミ拾いを続けています。

毎年、湊さんの活動に参加している方は「世界遺産になってからゴミが増えた。ゴミ拾いする回数が減ったから」だといいます。

特別保護地区では、普段拾う人がいないため、ゴミが残されたままだからです。湊さんは「世界遺産となれば、人の見えるところだけがきれいならいいんじゃなくて、人が行かないところもきれいにしなきゃ」と感慨深げに語ります。

知床の世界遺産登録から10年。豊かな自然と人との共存を目指し、模索が続いているのです。(ライター:北海道saki)

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