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人工知能に住まい探しは任せられる? 住まいのプロが答える人間とロボットの違いとは

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AIのイラスト

人間のように学習し、考え、判断する人工知能(AI)を搭載したロボット。昔からSF作品などでおなじみですが、今や夢物語ではなく、社会のあちこちで実際に見られるようになってきました。たとえば携帯電話のソフトバンクショップでは、「Pepper」というロボットが実際に接客対応しています。

人工知能を搭載したロボットは、今後ますます活躍の場を広げていくと予想されています。そこで今回at home VOXでは、「不動産店の接客業務は、人工知能ロボットに務まるのか」という質問を、アットホーム加盟不動産店スタッフにアンケート。当事者の声を集めました。

Q.人工知能ロボットに不動産接客業務を任せられると思いますか?

人工知能のグラフ

26.0%、およそ1/4のスタッフが「はい」と答えましたが、51.2%と半数以上のスタッフが「いいえ」と回答。不動産店の接客業務はまだロボットには難しい、という意見が多数派のようです。その理由は、次のアンケートから見えてきます。

Q.人工知能ロボットに物件の提案力で勝てる自信はありますか?

人工知能のグラフ

「はい」が59.5%で、約6割のスタッフが「勝てる」と回答しています。「まだ人工知能ロボットには任せられない」が多数派なのは、この「提案力」がポイントのようです。

次の質問「Q. 不動産業務の中で、ここはロボットには任せられない、人間だからこそできると思うところがあれば教えてください」でも、人間だからこその提案力を理由に挙げているスタッフが多数いました。

■お客様の事情や気持ちを読み取った上でのきめ細やかさ

数値化できない部分、たとえば縁起を担ぐ、方位を気にする、などはまだAIではカバーできないでしょう。あとは匂い、色の印象、事故物件に対する反応、など。正直にいって、営業トークのかなりの部分は定形化できないと思います。アシスタント的な役回り(情報提供やローン計算など)はAIが担っていくのではと思います。

物件のスペックの紹介など、簡単な接客はロボットでできると思うが、会話の中で細かなお客様の感情や想いを読み取って、それに即したアドバイスや提案ができるのは人間ならではだと思う。契約など要所では、お客様自身も気づいていない心理などに踏み込むこともあるので。

対面でしかわからないホンネを引き出すこと。売買の相場を聞かれ、賃貸の相場を聞かれ、単純に答えることはロボットにもできるだろうが、住み替えること自体に迷っているのではないか? 職場ではうまくいっているのか? など人生にかかわることは、ロボットには無理。また人間には、この件は商売にならなくても、力になってあげたいという動機もある。

お客様のライフスタイルに合わせた物件選びはロボットには複雑かと思います。特に将来に向かった転勤の可能性や、お子様の誕生など決められたものでないものに対しては、やはり人間だからこそ提案できると思います。

話を聞いてくださっている表情や仕草を見て、話の内容を変えることもできるし、特に人と人のつながり、人情、親しみやすさはまだまだロボットには負けないと思いますよ。人の表情は人でしか出せないものです。

■トラブル時の臨機応変な対応

苦情処理。ロボットでは事務的でお客様は納得しないと思う。

クレームが発生した場合などは、ロボットではまとまるものもまとまらなくなると思います。

案内するには車の運転、臨機応変な路上駐車が必要です。ロボットにはできないと思います。色々な情報をいちいちロボットにインプットしないといけないので無理がある。

■信頼度

お客様が家族構成・勤務地などの個人情報を果たしてロボットに預けるか、疑問が残る。

さすがプロであり当事者だけあって、具体的な回答が多数寄せられました。住まい探しが人生において重要で、事情も心情も複雑であること、そしてそれをサポートするスタッフの接客の難しさが見えてきますね。

さらに、「人間のあたたかみ」という回答も多く見られました。大きな買い物だからこそ最後は必ず人と人が顔を合わせて契約をする、そんな不動産接客は特に「あたたかみ」が必要なのかもしれません。

ただ一方で、数は少ないものの、こんな回答もありました。

希望に的確な物件を探してくれるのなら、若い人はロボットの方が気楽かもしれません……。

希望が明確であれば、お客様が選択をしていけばいいので、人工知能の方がいい場合もある。

また、「今はまだ負けないけど、いずれ超えられるかも」といった意見も。

学習する人工知能、どんどん進んでいく技術……これからの不動産接客の進化に注目です。

イラスト:タテノカズヒロ

<アンケート調査概要>
対象/全国のアットホーム加盟・利用不動産店約53,000店のうち 215店
調査方法/インターネットリサーチ
調査時期/2016年3月
※アンケート内容の転載にあたりましては、「at home VOX 調べ」もしくは「アットホームボックス調べ」という表記をお使いください。

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