暮らしのコト

地域密着 愛されご当地パン

札幌のご当地パンから全国区へ! 北海道札幌市の「ちくわパン」

この「記事」が気に入ったらみんなにシェアしよう!

みんなにシェアしよう!

地域で愛されているパンを探して、全国各地をゆく「地域密着 愛されご当地パン」。今回は北海道札幌市で生まれた人気のお総菜パン「ちくわパン」を求めて、「どんぐり本店」にやってきました。

DSC_0032

地下鉄南郷7丁目駅で下車。徒歩約3分で到着です。

ちくわパンは、札幌市民では知らない人がいないほどポピュラーなご当地パン。メディアで取り上げられたことで注目され、大手製パン会社が全国発売を開始したり、ネットではレシピ投稿サイトに再現レシピが数多く投稿されたりと、全国に人気が広がっています。このちくわパンの生みの親が、札幌市内に8店舗を構えるパン屋「どんぐり」です。札幌市には、ちくわパンを提供している店がいくつもありますが、元祖の店として市民に最も支持されているといえるでしょう。

DSC_0222

常時120〜140種類のパンがそろい、朝から夜まで次々と新しいパンが焼き上がります。

今回は、株式会社どんぐりの営業部長である村上弘晃さんに案内していただき、元祖ちくわパンの人気の秘密に迫っていきましょう!

DSC_0244

どんぐりのパンの魅力に引かれて入社して、今年で21年目になる村上さん。

DSC_0187

これがちくわパンです。トレー2つに積み重ねるほどたくさんの数!

ツヤツヤとこんがり焼き上がったパン生地の上にはマヨネーズが絞られています。パンの両端から飛び出しているのは、ちくわ。丸々1本入っています! ちくわの中には何か具材が詰まっているようですが…。早速ひと口食べてみましょう。

DSC_0302

ちくわ1本と具材が詰まっているせいか、小ぶりな割にずっしり感が。

バターの風味が豊かな生地は、ふわふわもちもち。そこに、ちくわのプリプリっとした食感が合わさり、食感のハーモニーがなんとも楽しいです。バターと小麦の優しい味わいとともに、ちくわのうま味が口の中いっぱいに広がります。

村上さん「パンはバターロールと食パンの中間の硬さ・味わいの生地を使っています。特にこだわっているのは、ちくわ。焼いた後もプリプリな食感ジューシーなうま味を保つためには、ちくわに含まれる水分量がポイントです。以前は市販のものを使っていたのですが、パンを窯で焼いている時にちくわが膨らんでしまうなど、理想の味・食感にならなかったんです。そこで、紀文さんに特注で作ってもらうことになりました」

このちくわのうま味と同時にじゅわりと広がるのが、ツナの味わい。ちくわの中の具材はツナサラダでした。ツナはしっかりと味付けされており、マヨネーズのまろやかな風味と酸味に加えて、ほのかにあま味を感じる気がします。

DSC_0314

パンを半分に切ってみると、ちくわの中にはツナサラダがぎっしり!

村上さん「ツナサラダはマヨネーズや塩、こしょうに加えてしょうゆなどの調味料で和風味に仕上げています。ツナの他に入っている具材は玉ねぎ。その割合はほぼ1:1です。毎日20キロの玉ねぎをみじん切りにし、水は一切入れずに煮込んでいます。玉ねぎの水分だけで煮込むと、あま味が増しておいしいんですよ」

DSC_0148

ちくわからあふれるほどにツナサラダが詰められています。

実は、ちくわパン作りで最も難しいのが、玉ねぎの水分を絞る工程だといいます。絞りすぎるとツナに加えた時に玉ねぎのうま味がなくなってしまうし、水分が多すぎるとべちゃべちゃになってちくわに詰めにくい上、おいしくないのだそう。

村上さん「時期によって玉ねぎの品種が変わると水分量も変わるので、その度に絞り加減を調整しなくてはなりません。加減は職人の感覚頼み。感覚を掴むまで経験を積むしかありませんし、とても難しいですが、これがちくわパンがおいしくなるかどうかの分岐点なんです」

食感と味が素晴らしいハーモニーを奏でるちくわパン。身近な食材を使ったシンプルなパンに見えますが、理想のおいしさを実現するためのこだわりが詰まっていたのです。札幌市民の定番になるのも納得の味わいでした。

■地元民の声から生まれたちくわパンの味を守り続けるために

今や全国発売されるほどの有名ご当地パンとなったちくわパン。誕生の経緯を教えてもらいましょう。

村上さん「ちくわパンが誕生したのは、どんぐりが創業して間もない頃です。お客さまから『ちくわを使ったパンを作れないか』という声があり、それに応えようと初代の奥さんが作ってみたのが始まりです」

商品開発中、悩んだのがちくわの中に入れる具材。ウインナーを無理やり入れてみたり、チーズを入れてみたりとあらゆる具材を試す中、もともとサンドイッチの具として使っていたツナサラダを入れてみたところ、ちくわやパンの味わいと最もマッチしたそうです。

村上さん「具材も決まり、販売をスタートしたのですが、当初は大して人気がなかったんです。しばらくしてラジオ番組に取り上げられると、購入してくださる方がじわじわと増えて、そこから口コミで評判が広がり、今では1番人気の看板商品になりました」

DSC_0180

どんぐり本店では、1日約300個のちくわパンを焼き上げています。

どんぐりで生まれる新メニューは、8店舗合計でなんと年間約500点! そのうち、レギュラーメニューとして定着するようになるのは、3点あればいい方なのだとか。そんな生き残りの厳しいメニューの中で、ちくわパンは不動の人気を誇ります。

村上さん「長年食べてくださっているお客さまも多いので、ちくわパンの材料を見直していた時期には、ちょっとした味の変化に気付いて指摘してくださる方もいました。人気が高まるにつれて製造個数が増加し、機械を導入して製造することを検討したこともあるんですが、昔から愛されている味わいを変えずに提供するために今でもすべて手作業なんです」

こうした変わらない味を提供し続ける努力が、元祖ちくわパンの人気を築いてきたのです。

村上さん「ここ10年ほどで札幌市内の他のパン屋さんでもちくわパンを見かけるようになり、人気が一段と広まっているように感じています。他店のように具材をカレー風味などにアレンジしてしてみようという話が出ることもありますが、うちはちくわパンの元祖として、地域のみなさんから長年愛されてきたこの味を守り続けていくスタンスを貫いています」

札幌のご当地パンから全国区になりつつあるちくわパン。その元祖としてどんぐりのちくわパンが高い支持を受け続ける秘密は、理想の食感と味わいを守り続けていくための、妥協なきこだわりにありました。

  • 店舗情報 ● どんぐり本店
    住所:札幌市白石区南郷通8丁目南1-7
    電話:011-865-0006
    営業時間:7:30~21:00(元旦休)

※記事中の情報・価格は取材当時のものです。

この「記事」が気に入ったら
みんなにシェアしよう!

MATOME