実家の処分はどう進める?処分の流れと売れない時の対処法を解説
本記事では、実家を処分する際の手順をわかりやすく解説します。また、売れない理由や売れない時の対処法も解説するため、すでに処分を始めているものの、思うように進まなくて困っている方もぜひ参考にしてみてください。
記事の目次
【実家を処分する手順1】売却の準備をする

実家を処分する際には、おおまかに次のような流れで進みます。
- STEP 1売却の準備をする
- STEP 2売却を依頼する不動産会社を決める
- STEP 3売却活動が始まる
- STEP 4物件を引き渡し、確定申告をおこなう
大きく4つの段階に分けられますが、それぞれの段階で、さまざまな手順を踏まなければなりません。本章では売却の準備を進めるにあたって、何をすればよいのかを解説します。
遺言書の有無を確認する
まず、被相続人である亡くなった方が遺言書を残していないかを確認しましょう。遺言書は、亡くなった方が遺産をどのようにしたいか、意思を遺したものです。遺言書がある場合、原則としてその内容に沿って遺産を分割します。遺言書には次の3種類があります。
| 遺言書の種類 | 内容 | 家庭裁判所における検認の有無 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 遺言者が自筆で書いたもの | 必要 ※遺言書保管制度を 利用した場合は不要 |
| 公正証書遺言 | 遺言者が口述し、公証人が筆記したもの 原本が公証役場に保管されている |
不要 |
| 秘密証書遺言 | 遺言者が作成し、遺言の内容を秘密にして公証人が存在だけを証明するもの | 必要 |
このように、遺言書の種類によって検認の有無が異なります。検認を申し立ててから検認が終わるまで、1〜2カ月かかるとされているため、遺言書が見つかった時は早めに手続きをするようにしましょう。
遺産分割協議をおこなう
遺言書がなかった場合や実家の処分に関して記載がなかった場合は、遺産分割協議をおこないます。なお、遺産分割協議には、必ず法定相続人全員が参加しなければなりません。もし一人でも欠けている場合、作成した遺産分割協議書は無効となります。
実家の名義を変更する
実家を相続する人が決まったら、実家の名義を変更しましょう。亡くなった方から新しい所有者へと名義を変更します。この手続きを「相続登記」といい、2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。正当な理由がないにも関わらず、相続登記をしなかった場合、過料を科される可能性があります。
また、実家を処分する際には、売主が実家の正当な所有者であることを証明しなければなりません。亡くなった方の名義のままでは売却ができないため、処分するためにも新しい所有者に名義を変更する必要があります。
相続に必要な書類は以下のとおりです。
| 書類名 | 入手先 |
|---|---|
| 相続人全員の戸籍謄本 | 本籍地の市区町村 |
| 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本 | 被相続人の本籍地の戸籍謄本 |
| 被相続人の住民票の除票 | |
| 不動産取得者の住民票 | 本籍地または住所地の市区町村 |
| 相続する不動産の固定資産評価証明書 | 不動産所在地の市区町村 |
| 収入印紙 | 法務局・郵便局 |
| 登記申請書 | 法務局ホームページ |
| 返信用封筒 | 郵便局・コンビニエンスストア |
法務局に戸籍謄本などの書類と相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、登記官がその一覧図に認証文を写した写しを無料で交付してもらえる「法定相続情報証明制度」を利用することで、一部の書類を省略することも可能です。
住宅ローンの残高を確認する
処分したい実家の住宅ローンの残高を確認しましょう。相続は、預貯金や不動産など、プラスの財産だけではありません。住宅ローンの借り入れなど、負の財産も引き継ぐことになります。
ただし、住宅ローンは一般的に、契約時に団体信用生命保険への加入が求められます。団体信用生命保険とは、契約者が亡くなったり、高度障害になった時に、保険金で住宅ローンの残高が弁済される保険です。住宅ローンを借り入れている金融機関に、契約者が亡くなったことを連絡しましょう。
土地の境界・確定測量図を確認する
実家の処分を進める前には、土地の境界・確定測量図を確認しましょう。土地の境界が曖昧だったり、確定測量図がない場合、売却活動が円滑に進まない恐れがあります。なぜなら、土地の面積は、売却価格を左右するものだからです。また、境界が曖昧なまま売却すると、買主が隣接する土地の所有者とトラブルになる可能性もあります。
確定測量図とは、土地の面積や境界、形状などを確定させるためにおこなわれる測量に基づいて作成される書類のこと。測量は、隣接する土地の所有者の立ち会いの元でおこなわれます。もし確定測量図がない場合は、土地家屋調査士に依頼して作成してもらいましょう。
遺品の整理をする
実家を処分する準備として、遺品の整理も欠かせません。「専門業者に依頼すると費用がかかるから」と自身での処分を考える方もいるでしょう。しかし、遺品整理は思い出の品や貴重品、重要な書類など多岐にわたり、時間と労力がかかります。
まずは専門業者に見積もりをとり、自身でおこなう部分と業者に任せる部分を分けることをおすすめします。実家が遠方にあったり、仕事で忙しくなかなか足を運べない場合は、最初から業者に依頼することも一つの方法です。
仏壇や神棚を処分する
実家に仏壇や神棚がある方もいるでしょう。しかし、どのように処分すればよいのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。仏壇や神棚は、不用品回収業者に引き取ってもらったり、粗大ゴミとして処分したりすることも可能です。しかし、これらの方法は気が進まない方もいるでしょう。神社に依頼する方法や神棚・仏壇仏具の販売店に引き取ってもらう方法もあります。
実家の老朽化が進んでいる場合
実家の老朽化が進んでいる場合、解体して更地にしたほうが、買い手が見つかる可能性があります。古い建物が残っている場合、解体してから住宅を建てるため、解体費用がかかります。しかし、はじめから更地だった場合、解体費用を負担する必要がありません。
また、更地のほうが、土地の形や大きさを把握できるため、建物を建てたあとのイメージもしやすくなります。ただし、建物を解体すると、固定資産税が高くなります。これは建物があると住宅用地の特例が適用され、固定資産税が軽減されるためです。そのため、建物を解体する時期には注意しましょう。
【実家を処分する手順2】売却を依頼する不動産会社を決める

売却の準備が整ったら、本格的に売却へと進めます。そのためには、売却を依頼する不動産会社を決めなければなりません。不動産会社によって売却活動が成功するかが左右されるため、慎重に検討しましょう。本章では、不動産会社を決める際にすべきことを解説します。
実家の売却相場を確認する
不動産会社を決める前に、まずは実家の売却相場を確認しましょう。自身で相場を把握しておくことで、不動産会社から提示される査定額が適正であるかを判断できるようになります。例えば、もし相場より極端に高い査定額を提示された場合、不動産会社の利益を優先している可能性も考えられます。売却相場を調べる方法は、次のとおりです。
- 不動産ポータルサイト
- 不動産情報ライブラリ
- レインズ・マーケット・インフォメーション
不動産ポータルサイトでは、周辺にある類似物件の売り出し価格を確認できるでしょう。不動産情報サイト アットホームでは、マンションや一戸建て、土地など種目ごとに物件を探すことができます。また、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」では、価格情報や防災情報、都市計画情報など、さまざまな情報を地図上で確認できます。レインズ・マーケット・インフォメーションは、実際に売買がおこなわれた物件の成約価格を検索できます。一つだけでなく、複数の情報源から調べることで、相場感をつかみやすくなるでしょう。
不動産会社に査定を依頼する
売却相場を把握したら、不動産会社に査定を依頼しましょう。依頼する不動産会社は1社だけでなく、複数社にすることをおすすめします。1社だけに依頼する場合、市場の適正価格と乖離している可能性もあります。
例えば、相場より極端に低い査定額の場合、損をしてしまうかもしれません。複数社に査定を依頼すると、売却相場を把握でき、信頼できるパートナーを選びやすくなります。また、どのように売却活動を進めるのか、アプローチも比較できるでしょう。
不動産情報サイト アットホームの「不動産一括査定依頼サービス」では、複数の会社に同時に査定を依頼できます。参加している不動産会社の数は2,451社(2025年8月時点)と多く、実家近くの不動産会社にも依頼できるでしょう。
売却に必要な書類を準備する
実家の売却をスムーズに進めるために、必要な書類を準備しておきましょう。依頼する不動産会社が決まったあと、媒介契約を結びます。その際に次の書類を求められます。
| 必要書類 | 備考 | 入手先 |
|---|---|---|
| 本人確認書類 |
・売主が本人であることを示すための書類
・マイナンバーカードや運転免許証など
|
- |
| 印鑑証明書 |
・実印が役所に登録された印鑑であることを証明した書類
※実印の押印が必要な書類とセットで提出が必要
|
・市区町村役場の窓口
・マイナンバーカードがある場合はコンビニ
|
| 登記簿謄本・登記事項証明書 |
・土地や建物の所在地や所有者が記載されている書類
|
登記所・法務局(オンラインでも手続き可能) |
| 地積測量図・境界確認書 |
・隣接した土地との境界を証明する書類
|
・測量図は法務局で取得可能
・境界確定図は売買契約時に作成されている
※ない場合は土地家屋調査士に依頼して作成する
|
| 売買契約書・重要事項説明書 |
・不動産の詳細情報が記載されている書類
|
不動産購入時に取得済み |
| 登記済権利証または 登記識別情報 |
・不動産の所有者を示す書類
|
不動産購入時に取得済み |
| 固定資産税納税通知書または 固定資産税評価証明書 |
・固定資産税額や不動産の評価額を証明する書類
|
・固定資産税納税通知書は市町村から毎年4~5月に発送される
・固定資産税評価証明書は市区町村役場の窓口
|
書類が抜けていると、契約が遅れる可能性があるため、早めに準備しておきましょう。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
売却を依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を結びましょう。媒介契約には次の3種類があります。
| 契約形態 | 複数社 への依頼 |
自己発見取引 | 活動報告 義務 |
|---|---|---|---|
| 一般媒介契約 | 〇 | 〇 | 任意 |
| 専任媒介契約 | × | 〇 | 2週間に1回 以上 |
| 専属専任媒介契約 | × | × | 1週間に1回 以上 |
それぞれの契約形態にメリット・デメリットがあります。一般的に、専属専任媒介契約と専任媒介契約は1社に依頼するため、積極的に活動してもらいやすいというメリットがあります。一方、一般媒介契約は複数の不動産会社に依頼するため、幅広い購入希望者に出会える可能性があります。
【実家を処分する手順3】売却活動が始まる

売却を依頼する不動産会社が決まったら、不動産会社が売却活動を始めます。具体的にどのような流れで進んでいくのかを把握しておきましょう。
不動産会社が売却を始める
ここから本格的な売却活動が始まります。不動産ポータルサイトへの掲載やチラシの配布など、さまざまな方法で購入希望者を集客します。売り出し価格は、査定額や周辺相場をもとに決めるといいでしょう。あまり高く設定すると、買い手が付かない可能性もあるため、適切な価格に設定しましょう。
買主と売買契約を結ぶ
購入希望者が見つかり、価格や条件で合意に至ったら、売買契約を締結します。売買契約書には、物件情報をはじめ、売買価格、物件の引き渡し時期、契約解除に関する事項などが記載されています。
また、契約不適合責任に関することも記載されているため、よく理解しておきましょう。契約不適合責任とは、売却した不動産に欠陥があった場合、売主が負う責任のことです。例えば、シロアリによる基礎の腐食や水道管の老朽化による水漏れなどが挙げられます。どこの範囲まで責任を負うか、売買契約時点で明確にしておくと、のちのトラブルを防げるでしょう。
売買契約書には専門用語も多いため、不明点や疑問点がある場合は、必ず不動産会社に確認することをおすすめします。
物件を引き渡す
売買契約書で定めた日に、買主に物件を引き渡します。引き渡し日には、残代金の決済、登記の移転手続き、鍵の引き渡しなどをおこないます。残代金の決済では、買主から売買価格から手付金を除いた金額を受け取ります。
金銭のやりとりだけでなく、不動産の名義も変更しなければなりません。売主から買主へと不動産の所有権を移転させる手続き(所有権移転登記)をおこないます。この登記手続きは、司法書士に依頼することが一般的です。
確定申告をする
実家を売却して利益が出た場合、確定申告をしましょう。不動産を売却したことで得た利益は譲渡所得といい、税金が課されます。譲渡所得は、次の計算式で求められます。
- 譲渡所得 = 売却価格 ー(取得費 + 譲渡費用)
取得費とは、物件を購入した時の費用のこと。相続した不動産の場合、亡くなった方が購入した時の費用を指します。譲渡費用とは、売却にかかった費用のこと。具体的には、仲介手数料や解体費用などが挙げられます。
税率は物件の所有期間によって異なり、5年を超える場合は長期譲渡所得、5年以下の場合は短期譲渡所得となります。具体的な税率は以下のとおり。
| 税金の項目 | 長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 |
|---|---|---|
| 譲渡所得税 | 15% | 30% |
| 住民税 | 5% | 9% |
| 復興特別所得税 | 0.315% | 0.63% |
| 合計 | 20.315% | 39.63% |
※復興特別所得税は2037年までの所得から徴収されます
不動産を売却した際には、特例を適用できる場合もあります。税理士などの専門家に相談すると、適切な申告ができるでしょう。
実家を処分したいのに売れない理由

実家を処分するために売却活動を始めたけれど、なかなか売れないこともあるでしょう。この時に考えられる「売れない理由」を解説します。
売り出し価格が高い
実家が売れない理由の一つとして、売り出し価格が高いことが考えられます。せっかく売却するのであれば「できれば高く売りたい」と考えることは当然でしょう。しかし、不動産の価格は、需要と供給のバランスで決まります。また周辺相場よりも高い場合、購入希望者が敬遠することも。購入希望者が現れなければ、売却活動が長期化する恐れもあります。
また、長期間売れ残っていると、「何か問題があるのではないか」とネガティブな印象を持たれるかもしれません。売り出し価格は周辺相場を見ながら、適切な価格を付けることが大切です。
築年数が古い
築年数が古いことも、実家が売れない理由として考えられます。特に、1981年5月31日以前に建てられた建物は、旧耐震基準に則って建てられています。旧耐震基準は、震度5強程度の地震で倒壊しないことを想定されていることから、耐震性に不安が残るでしょう。
また、築年数が古いほど、水回りや給排水管、電気配線などの設備も劣化が進んでいる可能性も。購入後に大規模なリフォームや修繕が必要になると予想されることから、買い手が候補から外すと考えられます。場合によっては、実家を解体してから売却することも選択肢に入れる必要があるでしょう。
建物の状態が悪い
実家が売れない理由として、建物の状態が悪いことも挙げられます。例えば、空き家だった場合、窓やドアも締め切られていることから、長期間空気の入れ替えがされていません。
湿気が多い状態は、木材にダメージを与え、腐食の原因になります。また、畳にカビが発生しやすくなるしょう。そのままでは住めない物件は、購入後にリフォームしなければならないため、買い手が付きにくくなります。
他にも、建物内に故人の遺品が残っていると、内覧時の印象を下げてしまいます。できる範囲で清掃したり、不用品を処分すると、内覧時の印象をよくできるでしょう。
立地が悪い
そもそも立地が悪い場合、売れない可能性が高くなります。不動産を購入する理由は、多くの場合、家族の生活拠点を作るため。そのため、立地が悪いと日々の生活が不便になるため、敬遠されやすくなります。反対に、次のような立地が売れる傾向にあります。
- 最寄り駅まで近い
- スーパーマーケットなどの商業施設が近くにある
- 公園や学校施設が近くにある
例えば、車がなければ生活できないなど、不便な場所にある場合、さらに買い手を見つけることが難しくなるでしょう。このような場合、売り出し価格を下げたり、利便性以外の部分をアピールするといいでしょう。
建て替えができない
建て替えができないことも、実家が売れない理由の一つです。建て替えができないとは、実家が建てられた当時は問題がなかったが、現在の建築基準法に適合していないために、新たな建物が建てられないことを指します。これを「再建築不可物件」と呼び、次のようなケースが該当します。
- 接道義務を満たしていない
- 市街化調整区域内にある
接道義務とは、建築基準法で定められている、建物を建てることができる土地の基準です。建物を建てる土地は、幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。実家のある土地がこの接道義務を満たしていない場合、新たな建物が建てられないため、買い手が付きにくくなるでしょう。
また、市街化調整区域とは、都市計画法で定められた、市街化を抑制する地域のこと。原則として建物の建築や建て替えが制限されていることから、購入希望者が限られ、売れない原因につながります。
実家が売れない時の対処法

売却活動が始まっても、なかなか思うように売れないことも珍しくありません。本章では売却したい場合と、値段が付かなくてもいいからとにかく手放したい場合の2パターンに分けて、それぞれの対処法を解説します。
売却したい場合
実家を売却できれば、まとまった資金を得られる可能性があります。まずは、売却したい場合の対処法を見ていきましょう。
売り出し価格を見直す
売却活動を始めても、なかなか買い手が見つからない場合、売り出し価格を見直すと効果的です。いい物件でも売り出し価格が高ければ、購入希望者は手が届かないと感じてしまい、購入に踏み切れないことがあります。
また、他の物件と比べて価格が高い場合も、候補から外されてしまうでしょう。そこで、適切な売り出し価格に設定することで、物件への注目度が高まり、売却できる可能性も高まります。
古家付き土地として売却する
古家付き土地として売却することも、実家を売却したい時の対処法の一つです。実家をそのまま残した状態で、土地をメインに売り出します。例えば、開発を計画している不動産会社や立地に魅力を感じている購入希望者などがターゲットになるでしょう。
実家を解体する必要がないため、売主の解体費用の負担を減らせます。ただし、買主が負担することになるため、その分売却価格から差し引かれる点に注意しましょう。

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更地にして売却する
実家の建物の状態が悪い場合は、更地にして売却する方法も考えられるでしょう。例えば、新築住宅を建てたい購入希望者にとって、更地のほうが計画を立てやすく、解体費用の負担もないことから、購入意欲が高まります。また、売主にとっても、雨漏りやシロアリの被害などに関する契約不適合責任リスクがなくなります。そのため、売却後のトラブルを防ぐためにも有効でしょう。
ただし、実家を解体すると、建物がある場合に受けられる固定資産税の軽減が適用されません。また、更地にすれば必ず売却できるとも限らないため、不動産会社と相談しながら進めましょう。
不動産会社を変更する
これまで解説した方法を試したにも関わらず、なかなか売却できない時は、不動産会社を変更することも一つの手です。売却活動が長期化する原因は、物件の条件や売り出し価格の設定が悪いからとは限りません。実家を売却できるかは、不動産会社の売却戦略や担当者の力量などにも左右されます。
また、不動産会社によって、得意とするエリアや物件も異なります。販売戦略について質問をしても回答が曖昧だったり、定期的な報告がなかったり、売却活動に不安を感じる場合は、不動産会社の変更を検討しましょう。
買取専門の不動産会社に依頼する
実家を確実に手放したい時は、買取専門の不動産会社に依頼する方法もあります。一般的な仲介とは異なり、買主を探す活動をすることなく、買取専門の不動産会社が買主となって、不動産を直接買い取ります。買主を探す手間がないため、すぐに売却できる点がメリット。なかには、家具や不用品があっても買い取ってくれる会社もあります。ただし、買取価格は通常で売却するよりも、低くなる点に気を付けましょう。
空き家バンクを活用する
実家を売却したい時には、空き家バンクを活用することも検討してみましょう。空き家バンクとは、空き家の賃貸や売却を希望する所有者と、購入希望者をマッチングする仕組みのこと。無料で利用できることから手軽に始められます。また、移住を考えている購入希望者の目に留まる可能性が高まるでしょう。
国土交通省の「全国地方公共団体空き家・空き地情報サイトリンク集」には、各自治体の空き家バンクがまとめられています。各サイトには登録の手続きや物件情報なども掲載されているため、登録を考えている方は一度見てみるといいでしょう。
処分したい場合
さまざまな方法を試しても、買い手が付かないこともあるでしょう。どうしても手放したい時には、処分することも検討しましょう。ここからは、実家を手放す方法を解説します。
自治体に寄付をする
実家の売却が難航している場合や、売却に費用や手間をかけたくない場合、自治体に寄付をするという選択肢があります。しかし、必ずしも寄付が受け入れられるわけではありません。
東京財団の「土地の所有者不明化〜自治体アンケートが示す問題の実態〜」によると、公的利用が見込める場合に、土地の寄付を受け取ると94%の自治体が回答しています。また、除雪などで活用できる、自治体が所有している土地と隣接していて、取得すると有利になるといった理由で、土地の寄付を受け入れることも。
反対に、公的利用が見込めない場合や、権利関係に問題がある場合などは、土地の寄付を受け取らない傾向にあります。なかには、原則として寄付を受け取らない自治体も存在します。自治体によって寄付に対する考えが異なるため、まずは問い合わせてみるといいでしょう。
相続土地国庫帰属制度を活用する
実家を手放したい時の方法として、「相続土地国庫帰属制度」を活用する方法も挙げられます。これは、相続や遺贈で土地を取得した方が、土地を手放して国に引き取ってもらうことができる制度です。所有者不明の土地が発生することを防ぐことを目的として、2023年4月27日から始まりました。
制度を活用するためには、一定の要件を満たさなければならず、手数料や負担金を納付する必要があります。また、建物がある場合は申請できません。しかし、「相続で土地を引き継いだものの、利用する予定がない」「遠方で管理がなかなか難しい」などの理由で、土地を手放したい方には有効な選択肢でしょう。
まとめ
今回は、実家の処分の進め方を解説しました。売却をスムーズに進めるためには、事前準備が欠かせません。売却するまでにはさまざまな工程がありますが、家族や親族の納得を得たうえで進めなければ、のちのトラブルにつながるおそれもあります。丁寧なコミュニケーションを取りながら、慎重に進めましょう。
また、実家は築年数が経っていたり、老朽化が進んでいることから、一般の住宅と比較して売れにくい傾向にあります。更地にしたり、不動産会社を変更するなどの方法も考えられます。さまざまな選択肢のなかから、最適なものを選びましょう。
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執筆者
民辻 伸也
宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ









