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仏壇の引越しで魂抜きは必要?供養の仕方や移動の流れなどポイントを解説

仏壇を移動させるのに必要な手順を確認しておきましょう
家に仏壇を置いている方は、引越しのときに悩まれることと思います。人生の転機で、引越しを余儀なくされれば、仏壇を移動させることもあるでしょう。今はコンパクトなサイズの仏壇も増えてきましたが、先祖代々引き継がれてきた仏壇は大きくて重く、装飾なども繊細なものが多いため、取り扱いには神経を使います。また、ご先祖様の霊魂が宿る仏壇を移動させるには、「魂抜き」「魂入れ」という儀式が必要になってきます。まずは、この記事を読んで、基本的な作法を知っておきましょう。

仏壇とは?

仏壇というと、お位牌と共にご先祖様をお祀りするためのものと思っている方が多いと思います。もちろんそれは間違いではないのですが、本来の仏壇は、仏像や仏具を飾り、仏様を祀る台という意味があり、お寺にある仏壇を小型にしたものでもあります。ご本尊やご位牌を安置し、日々お参りしている仏壇には仏様や故人の魂が宿っているとされているため、単なる家具とは意味合いが違ってきます。

仏壇は移動させてもいい?

故人の魂が宿る仏壇。「あまり動かさないほうがいいのでは?」「引越しで離れた土地に移動させてもいいの?」という疑問を持つ方も多いと思います。「仏壇を動かしてしまって、お盆に戻ってこられなかったらどうしよう……」「霊魂がさまようのでは?」と心配になりますよね。毎日手を合わせてきた仏壇には魂が宿ると考えられています。仏壇を移動するときには、「魂抜き」「魂入れ」の法要をおこなうことで、ご先祖様の魂を迷わせることなく、新しい場所にお連れすることができます。

引越しで仏壇を移動させる流れは?

手順に沿って、大切な仏壇の移動をすすめましょう
手順に沿って、大切な仏壇の移動をすすめましょう

それでは、ここからは具体的に仏壇を移動するための手順についてご紹介します。

仏壇が新居に入るか確認する

引越しにはさまざまなパターンがあります。例えば、郊外の大きな一戸建てから都会のマンションに引越すような場合、広い家であれば、そんなに大きく感じなかった仏壇が、都会のマンションではエレベーターに乗らない、玄関ドアから入れられないといったケースもあり得ます。まずは仏壇のサイズを測って、新居に入るかどうかを確認しましょう。

置き場所を検討する

新居のドアから仏壇が入ることが確認できたら、次はどの場所に仏壇を置くかを考えましょう。宗派により仏壇を安置するのに適しているとされる場所もありますが、基本的な考え方としては、仏様はどの方角にもいらっしゃるため、設置する方角には決まりはないといわれています。

仏壇の画像を撮影する

次は、引越しする前にお仏壇の写真を撮っておきます。写真に撮って記録しておけば、新しい場所で迷わずに仏具を配置することができます。

供養をおこなう

お仏壇を移動する前に「魂抜き」「魂入れ」の法要を僧侶に依頼します。仏壇を移動する際に必要とされる「魂抜き」「魂入れ」の儀式については、後で詳しくお話しします。

浄土真宗の場合は?

浄土真宗では、「人は亡くなると、すぐに天国へ旅立つ」と考えられおり、「魂」という概念がありません。そのため、仏壇の移動にともなう「魂抜き」「魂入れ」の法要は不要であるとされますが、「遷座法要(せんざほうよう)」「遷仏法要(せんぶつほうよう)」と呼ばれる法要があり、一時的に仏壇を移動させるときにはこの儀式をおこないます。

さて、ここからはお仏壇の引越し時に気をつけたい「魂抜き」「魂入れ」の法要について詳しくみていきましょう。

魂抜き(たましいぬき)とは?

魂抜きは、ご本尊(仏様の像や掛け軸など)や位牌に宿る魂を抜く法要です。地域や宗派によっては、「閉眼供養」「お精根ぬき」などとよびます。魂抜きの法要は、先祖代々のお墓があるお寺(菩提寺)にお願いしましょう。菩提寺が遠い場合は、近くのお寺に頼みたいと思うかもしれませんが、まずは菩提寺に相談するのが望ましいでしょう。同じ宗派の近くのお寺を紹介してもらえる場合もあります。

 魂抜きの時期は、お仏壇から魂のない状態をなるべく短くするのが理想的ですが、引越し当日のバタバタしたなかで法要をおこなうのは現実的ではありません。引越し日の1週間前くらいまでの日程で法要に来てもらえるように、早めにお願いしておきましょう。
 
お寺に支払うお布施の額をどうしたらよいのか迷う方もいるでしょう。その場合は菩提寺に直接聞いてみるのも一つの手です。失礼にはあたらず、あらかじめ額を定めているお寺もあるようです。もし、「お気持ちで」と言われた場合は、地域差はありますが一般的な相場額といわれる「1〜3万円」を参考にしましょう。ちなみに「死」を連想させる4のつく額は避けたほうがよいとされています。

「魂抜き」をおこなわないという方もいるかもしれませんが、魂が入ったお仏壇は礼拝の対象となるものです。移動することでご先祖様の魂を迷わせないためにも「魂抜き」をおこない、新たな安置場所で「魂入れ」をおこなうことが、ご先祖への供養になります。

魂入れ(たましいいれ)とは?

魂入れは、新しく購入した仏壇や墓、魂抜きをして魂の入っていない状態の墓、仏壇、位牌に魂を宿す法要のことで、地域や宗派によっては、入魂式、御性根入れ(おしょうねいれ)、開眼供養とも呼びます。引越しの場合、「魂抜き」と「魂入れ」はセットと考えましょう。

新居に引越した際は、最初にお仏壇を搬入し、事前に決めておいた場所に安置しましょう。魂入れの法要は、引越しの日から数えて数日までの、なるべく早めにおこないます。魂抜きをお願いした菩提寺に魂入れもしていただくため、同時に日程を決めておくとスムーズです。
お布施の額は、魂抜きと同様と考えておきましょう。

仏壇の引越しはどこに頼む?

引越し会社や仏壇の専門業者に依頼する

仏壇のサイズや仕様にもよりますが、一般的な引越し会社でも仏壇の搬送をしてくれます。ただし、仏壇は運ぶときも、トラックなどに積み込むときも、必ず立てた状態を保ち、倒れないように固定する必要がありますので、引越し会社に依頼する際に仏壇があることを必ず伝えましょう。仏壇の引越しを専門とする会社もあるので、心配であれば専門の会社に依頼するほうがよいかもしれません。専門会社の中には、仏壇保険をかけているところもあり、安心です。費用はコンパクトなサイズのもので3万円程度から。大きさや移動距離によって金額は増加します。

どちらにしても引越し会社に依頼する場合は、遺影やご本尊、位牌は白い布に包んで、家族が運ぶのが基本です。すべてをお任せするのは避けましょう。

自分で移動させる

引越し先が近距離の場合や、人任せにせず自分で移動させたい場合、傷がつかないように緩衝材などを使って厳重に梱包し、静かに移動させます。仏壇を立てたままの状態で運び、トラックなどで移動する場合は倒れないようにしっかりと固定します。運ぶ際は、傷をつけたり、倒したりしないように複数人で運ぶようにしましょう。

仏壇を買い替える場合は?

古い仏壇から新しい仏壇に買い替える際の手順も知っておきましょう
古い仏壇から新しい仏壇に買い替える際の手順も知っておきましょう

引越しのタイミングで、新居の間取りに合わせて仏壇を買い替えることは悪いことではありません。以下の手順で新しい仏壇に変えましょう。古い仏壇から新しい仏壇にご本尊や位牌を移動させるときにも、引越し前後と同じように「魂抜き」「魂入れ」の法要をおこないます。

古い仏壇の処分方法は?

今まで仏様やご先祖様をお祀りしていた古い仏壇の処分方法には、主に次の3つがあげられます。

菩提寺に供養を依頼する

菩提寺に相談して、お焚き上げの供養をしてもらうのが最良の方法です。「お焚き上げ」とは、思いの込もっているもので直接捨てるには忍びないものを祈祷して浄化し、浄火で燃やすことをいいます。仏壇を供養する場合のお布施の額は一般的に3〜5万円程度とされていますが、お寺によって金額が決まっている場合もあります。相談する際にお布施の額をたずねてみましょう。

仏壇・仏具専門店に引き取りを依頼する

仏壇を販売している店舗では古くなった仏壇の引き取りもしてくれます。専門業者や仏具店
であれば、魂抜きの供養をおこなっているところが多いので、一緒にお願いします。引き取りには料金がかかるため、新しい仏壇に買い替える場合は、購入するお店で同時に古い仏壇の引き取りをお願いすれば、引き取り費用をサービスしてもらえる場合もあります。引き取りにかかる費用は、仏壇の大きさによって変わります。高さが50cm未満であれば1万円以下、180cm以上になると7〜8万円程度が目安です。
金仏壇と呼ばれる金粉や金箔で仕上げた高級仏壇は、買取をしてもらえる場合もありますので、処分する前に、近くに買取してもらえるところがないか調べてみましょう。

自治体に依頼する

仏壇を粗大ごみとして収集してくれる自治体もあります。仏壇のサイズや自治体によって費用は変わりますので、各自治体のホームページで確認しましょう。処分する前に、魂抜きや閉眼供養を菩提寺にお願いしておきましょう。

仏壇の引越しでよくある質問

他にも仏壇の引越しに関する疑問をまとめました。

遠方への引越しの場合は?

菩提寺からかなり離れた場所に引越す場合、新居での供養をどうすればよいのか、まずは菩提寺に聞いてみましょう。近くにある同じ宗派のお寺を紹介してもらえる場合があります。引越しの費用は、仏壇のサイズが大きくなればなるほど、距離が遠くなればなるほど高くなります。引越しを機に、新居にあわせた新しい仏壇の買い替えを検討してみるのも一つの方法です。

自宅内または敷地内の別家屋の場合は?

家族の数が増える、模様替えなどの理由で、仏壇の安置場所を変えたい家内移動の場合は、魂入れ、魂抜きの法要は不要と考えられています。家族で手を合わせてから移動させるとよいでしょう。移動させる場合は、複数人で丁寧におこない、横にしたり、倒したりしないように気をつけましょう。

仏壇を移動させるタイミングは?

引越し作業の手順ですが、家具や荷物などをすべて搬出して、最後に仏壇を移動させましょう。新居に着いたら、他の荷物や家具よりも先に新居に運び入れます。引越し作業がスムーズに進むように、新居での仏壇の位置はあらかじめ決めておきましょう。

まとめ

実家の両親が高齢になり、仏壇を見る人がいなくなったときや引越しのときなど、いざとなったときの仏壇の正しい移動方法を覚えておくと安心です。不要な宗派もありますが、おこなう儀式もあるので早めに準備しておくことが必要。新居のどこに仏壇を安置するかを事前に決めておくことも大事です。この記事を参考に、早めに準備を進めてくださいね。

執筆者

小西尋子

京都ライター事務所

京都市内を拠点にフリーランスの編集ライターとして活動。大学卒業後、出版・広告業界に20年以上携わる。間取りを見ながら引越しを妄想するのが趣味。レトロ物件好きで、取り壊しのために2度の立ち退き経験あり。宅建士の資格取得に向けて勉強中。

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