2つ並ぶシンプルな三角屋根の小屋は、 内部で行き来できるカフェと住居

以前は筑波大学の近くで、カフェを営んでいた池田弘江さん。このときはテナントで、「いつか筑波山が見えるところに独立店舗と住居を構えたい」と考えていた。その夢を実現したのは昨年11月。お父さまから譲り受けた緑地に「ジャーナルカフェ」と名前を改め移転オープンした。
 設計を依頼したのは、「友人の家を手掛けていて、とても素敵だった」(池田さん)というナンバーファイブス一級建築士事務所の土田拓也さん。
 「まわりに立つビニールハウスの形状を取り入れ、三角屋根の小屋が並ぶように住居とカフェをつくりました。また、元の緑地の余韻を残すように、カフェ内の柱を木に見たて、ランダムに配置しています」(土田さん)

物件データ 所在地/茨城県つくば市
面積/店舗:132.24m²
   住宅:92.57m²
築年/2012年8月
設計/ナンバーファイブス一級建築士事務所
www.number555.com
リビング、ダイニング、キッチン、ゲストルーム、寝室と回遊するような間取り
自家栽培した野菜や果物を使ったメニューがそろう。写真はドライフルーツが入ったスコーン

カフェには、オープンなテーブル席のほか、ところどころに半個室的な席や2階席もある。これは、「お客さまが来られるたびに、いろいろな雰囲気を味わえたほうが楽しいと思って…」という池田さんのアイデア。どの席からも緑豊かな風景が楽しめ、筑波山が正面に見える特等席もある。


床座りでちゃぶ台を囲む2階席。小さなお子さんを連れたお客さまに人気がある
床座りでちゃぶ台を囲む2階席。小さなお子さんを連れたお客さまに人気がある
業務用機器が並ぶ厨房。調理している様子が、お客さまの席から見えるようになっている
業務用機器が並ぶ厨房。調理している様子が、お客さまの席から見えるようになっている

裏の畑では、有機栽培で野菜や果物を作り、採れたての素材を使った料理やデザートをお客さまに提供している。一番人気のメニューは「JOURNAL野菜たっぷりヘルシーセット」。 30品目の食材が摂れ、ご飯は五穀米と7分づき胚芽米のブレンド。手の込んだ健康食で1日20食限定だ。酵素たっぷりのジュースを目当てに来店するお客さまも多い。
 「スタッフが料理をつくっているところが見えたほうが、お客さまが安心される」(池田さん)とオープンに設けた厨房を抜けると、住居につながる。


住居の玄関土間。事務室を兼ねる物置やカフェの厨房へ室内で行き来できる
住居の玄関土間。事務室を兼ねる物置やカフェの厨房へ室内で行き来できる
住居の2階は寝室として使っている。将来は半分に区切って子ども部屋にする予定
住居の2階は寝室として使っている。将来は半分に区切って子ども部屋にする予定
住居1階のLDKは天井が高く、開放感いっぱい。キッチンはコンクリートで造作
住居1階のLDKは天井が高く、開放感いっぱい。キッチンはコンクリートで造作

「住まいは、家族でくつろぐLDKを広くとって、あとは寝る場所があればいいと割り切りました。小さな子どもがいるので、すぐにカフェと住居を行き来できるのが便利で、とても助かっています」(池田さん)
 今後は、裏の芝生でヨガやフラダンス教室を開くなど、人が集まる場にしていきたいと話す池田さん。休みの日も、常に「健康にいいこと」を考えている精力的な毎日だ。


text_ Sayaka Noritake(colonna) photograph_ Akira Nakamura

取材協力