東京の私鉄駅から徒歩5分程の場所に建つEさんの家。この家はEさん家族の住居であるとともにEさんの仕事場、コワーキングやイベントができるレンタルスペース、賃貸住宅を併用している。 1階にはメインキッチン、ダイニング、小上がり、個室が一つ。ここはコワーキングスペースやイベントスペースとしても使われる広い土間空間。2階はスタディコーナーのあるリビングにミニキッチン、個室、洗面浴室、ロフトなどからなるEさん家族のスペース。隣には賃貸住宅を併設した。1軒の建物にたくさんの要素とさまざまな使い方ができる空間が共存している。
元はEさんが会社員のときに購入した中古の戸建住宅であったが、建替えを機に多様な使い方ができる併用住宅を計画。「仕事の独立を考えていた時期で、私の仕事場を併設するとともに地域に開かれたスペースをつくりたかった。建物はたくさんの人たちに使ってもらえると新しい価値が生まれると思うので。コワーキングスペースや賃貸住宅を併設したことで、仕事以外の収入が担保できるという精神的な安定感も大きいです。自宅で仕事をしながら、プライベートの時間も大切にできる家をイメージしていました」(Eさん)。
違う職業の人たちが同じ空間で働くことで自然と生まれるコミュニケーションや賃貸住居の入居者と庭を共有することで生まれる親密さなど、他者との緩やかな関係性はプライベートでも仕事上でもいい刺激になるという。 1階の土間がコワーキングスペースとして使用できるのは18時まで。「それを過ぎると、ここはうちのキッチンに変わります。料理をつくる、食べる、くつろぐ空間です。私も利用者さんもそれまでに仕事を終わらせるよう調整しています」(Eさん)。
一つの空間をオンとオフに切り分けて使いメリハリをつける。これは家族との時間と仕事の両方を大切にしていくことにも通じている。 近年定着しつつあるテレワークやセカンドワークなどの新しい働き方。これからはこんなスタイルの暮らし方も支持されていくのかも知れない。