カフェのような大きな土間キッチンは 食事や家族の団らんに仕事、コワーキングスペースも兼ねる万能空間
家族が仕事や学校に行っている間はコワーキングスペースとして活用されている1階の土間空間。夕食時には家族の団らんスペースになる
2023.07.24

カフェのような大きな土間キッチンは 食事や家族の団らんに仕事、コワーキングスペースも兼ねる万能空間

家族が使わない時間は仕事場とコワーキングやイベントスペースに。一つの空間をオンとオフで上手に切り替える、新しい暮らし方

TRIP
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東京の私鉄駅から徒歩5分程の場所に建つEさんの家。この家はEさん家族の住居であるとともにEさんの仕事場、コワーキングやイベントができるレンタルスペース、賃貸住宅を併用している。
1階にはメインキッチン、ダイニング、小上がり、個室が一つ。ここはコワーキングスペースやイベントスペースとしても使われる広い土間空間。2階はスタディコーナーのあるリビングにミニキッチン、個室、洗面浴室、ロフトなどからなるEさん家族のスペース。隣には賃貸住宅を併設した。1軒の建物にたくさんの要素とさまざまな使い方ができる空間が共存している。

物件データ 所在地/東京都世田谷区
延床面積/191.85㎡
築年月/2018年10月
設計/江頭豊(DOTEMA)
dotema.com/architecture
越浦太朗建築設計事務所
建物外観。奥がEさんの住居部分で手前が賃貸住宅。細い路地とその先はさまざまな植物が植えられた小さな庭。この庭でバーベキューを楽しむこともある

元はEさんが会社員のときに購入した中古の戸建住宅であったが、建替えを機に多様な使い方ができる併用住宅を計画。「仕事の独立を考えていた時期で、私の仕事場を併設するとともに地域に開かれたスペースをつくりたかった。建物はたくさんの人たちに使ってもらえると新しい価値が生まれると思うので。コワーキングスペースや賃貸住宅を併設したことで、仕事以外の収入が担保できるという精神的な安定感も大きいです。自宅で仕事をしながら、プライベートの時間も大切にできる家をイメージしていました」(Eさん)。

2階のLDK。上部にはロフトも設けられた。壁の一部を白いペイントで仕上げ、全体の印象に柔らかみを与えている
2階のリビングは南側に大きな開口が設けられた明るい空間。窓の外は線路敷地なので遮るものがなく抜け感があり空も大きく感じられる

違う職業の人たちが同じ空間で働くことで自然と生まれるコミュニケーションや賃貸住居の入居者と庭を共有することで生まれる親密さなど、他者との緩やかな関係性はプライベートでも仕事上でもいい刺激になるという。
1階の土間がコワーキングスペースとして使用できるのは18時まで。「それを過ぎると、ここはうちのキッチンに変わります。料理をつくる、食べる、くつろぐ空間です。私も利用者さんもそれまでに仕事を終わらせるよう調整しています」(Eさん)。

カフェのような1階のキッチン&ダイニングは、業務用の設備を使用している。カウンターがダイニングテーブル。テレビは置かず会話を楽しむ場に
リビングの一角に設けられたスタディコーナーと構造柱間に可動棚を付けた収納スペース。隣家の迫る東側には大きな窓を設けず、小さな窓を複数配置して風と光を取り込む

一つの空間をオンとオフに切り分けて使いメリハリをつける。これは家族との時間と仕事の両方を大切にしていくことにも通じている。
近年定着しつつあるテレワークやセカンドワークなどの新しい働き方。これからはこんなスタイルの暮らし方も支持されていくのかも知れない。

すっきりとしたワンルームの賃貸住宅部分は、部屋ごとに壁の色を変えたモダンなデザイン。1階は土間付き、2階はロフト付きとプラスアルファのある間取り
text_Yoko Maru photograph_Ayako Mizutani
取材協力

HOMETRIP Styles of living

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