仮換地とは?税金の知識や売買のタイミング、注意点を解説
この記事では、仮換地になったら確認すべきことから、権利や税金に関する知識、売却に適したタイミングがいつなのかまで詳しく解説します。
記事の目次
仮換地とは?

仮換地とは、土地区画整理事業の施行中に、従前の土地の代わりとして、一時的に使用・収益できるよう指定される土地のことです。
一時的とありますが、土地区画整理事業が完了したのち、さらに別の土地が割り当てられるわけではありません。多くの場合、換地処分後に権利が確定し、正式に自分の土地になります。
仮換地の目的

仮換地を知るうえで、その目的を理解しておきましょう。ここでは、主な目的を解説します。
段階的に工事を進めるため
地権者に仮換地を割り当てるのは、土地区画整理事業を段階的に進める必要があるからです。地権者に土地を明け渡してもらうために、仮換地を提供し、その地権者の土地の区画や周辺の道路を整備したら、その土地を別の地権者に仮換地として提供します。この作業を繰り返していくことで、土地区画整理事業を段階的に進められます。
権利関係のトラブルを防ぐため
地権者に仮換地を割り当てるのは、地権者の権利を保護するためでもあります。土地区画整理事業中は、地権者は所有者でありながら、土地を使用できなくなるため、その代わりとして仮換地の使用権が与えられています。仮換地に家を建てることもできますが、売却も可能です。
地権者の生活を守るため
仮換地制度には、地権者が事業期間中も土地を利用できるようにし、生活や事業活動への影響を抑える目的があります。基本的には換地処分後には自分の所有となるため、引越しは1度で済み、地権者にとっても負担が少ない方法です。
仮換地になったら確認すべきこと
土地区画整理事業によって仮換地が指定されたら、まず何を確認したらよいのでしょうか。ここでは、チェックしておくべきポイントを3つ紹介します。
仮換地の位置・面積(減歩)
まず仮換地の位置と、面積を確認しましょう。仮換地は、従前地よりも小さくなるのが一般的です。道路幅を広げたり、公園を整備したりするほか、事業の財源を確保するために保留地を作るからです。減歩によって面積は小さくなることが一般的ですが、道路や公園などの公共施設が整備されることで利便性が向上し、結果として土地の評価額が維持または上昇するケースもあります。
使用収益の開始時期
仮換地が決まったら、「仮換地指定通知書」に記載された、使用収益の開始時期を確認してください。この日から従前地は使用できなくなり、仮換地の使用が認められます。
清算金
仮換地の土地の評価が従前地よりも低い(高い)場合、その差額を清算金で調整するケースがあります。ただし清算金が確定するのは、仮換地が指定された時点ではなく、換地処分の公告日の翌日です。
土地区画整理事業の流れ
- STEP 1事業計画決定
- STEP 2仮換地指定
- STEP 3移転・工事
- STEP 4換地処分
- STEP 5登記
- STEP 6清算金確定
土地区画整理事業の進め方は、施行者によって多少異なりますが、ここでは自治体もしくは土地区画整理組合がおこなう場合の一般的な流れを紹介します。
-
地元住民との協議・調査・原案作成
地権者や住民と協議し、土地の測量や地質調査をおこない、土地区画整理事業の原案を作成します。 -
都市計画の決定
土地区画整理事業を施行する区域を、都市計画として決定します。 -
事業計画の決定
事業計画(資金計画・スケジュール・事業の設計)を作成し、地権者などに公開します。 -
仮換地の指定
仮換地を指定し、地権者に通知します。 -
建築物の除去(移転)
建物除去(移転)を開始します。道路や公園を整備し、宅地の整地を実施します。 -
換地処分
従前の土地の権利が、換地へ移行し、清算が確定します。 -
土地・建物の登記
施行者が土地・建物の登記を実施します。 -
清算金の交付(もしくは徴収)
清算金が発生する場合は、施行者が地権者へ交付、もしくは施行者が地権者から徴収します。 -
事業の完了
土地区画整理事業の完了です。
仮換地と関連する土地の種類

土地区画整理事業や仮換地を理解するために、関連する用語の意味を知っておく必要があります。ここでは、仮換地に関連する土地の種類について解説します。
従前地
従前地とは、地権者が土地区画整理事業を施行する前から所有していた土地を意味します。
保留地
土地区画整理事業地内の土地で、地権者に割り当てない土地を「保留地」といいます。保留地は、土地区画整理事業の施行者が事業費の財源を確保するために設定されます。詳しくは以下の記事をご確認ください。
換地
土地区画整理事業で、従前の土地に代わって、地権者に新しく割り当てる土地を「換地」といいます。
| 項目 | 仮換地 | 従前地 | 換地 |
|---|---|---|---|
| 所有権 | 所有権なし(※1) | 所有権あり | 所有権あり |
| 使用可否 | 使用可能 | 使用不可(※2) | 使用可能 |
| 売買 | 可能。ただし所有権は有していないため、従前地を売買する形となる。 | 可能。従前地を購入した買主は、仮換地の使用権を取得することになる。 | 可能 |
(※1)従前地の所有権を有する(仮換地自体の所有権は未確定)
(※2)仮換地指定・使用収益開始後の状態に限られる
仮換地の権利はどうなる?

仮換地を指定された人は、その使用収益は認められますが、所有権を有しているわけではありません。しかし仮換地の売却は可能だと聞くと、理解するのは難しいでしょう。仮換地の権利について、詳しく解説します。
使用収益権
土地区画整理事業で、仮換地を指定された地権者は、仮換地を使用収益する権利を得ます。つまり自分で家を建てて住んだり、賃貸したりできる権利です。仮換地が指定された時点では、仮換地の所有権を有しているわけではありません。
所有権
換地処分されたあと(事業完了後)、地権者はようやく換地の所有者になります。ちなみに換地処分がおこなわれるまでは、従前地の所有者であり、従前地の売却は可能です。しかし買主は従前地の使用はできず、換地処分されるまでは、仮換地の使用収益が認められます。
仮換地で知っておくべき税金の知識

仮換地にかかる税金は、どのように課税されるのでしょうか。土地区画整理事業によって土地の資産価値が上昇するため、課税評価額も上がります。基本的には、税金は上がると考えておいたほうがよいでしょう。ここでは、仮換地に関連する税金の種類と、課税対象が従前の土地なのか、それとも仮換地になるのか解説します。
固定資産税
固定資産税とは、1月1日に土地建物を所有する人が納税義務者となる税金です。換地処分がされるまでは仮換地の使用収益は認められるものの、所有者には当たりません。したがって、みなし課税が適用されるケースが多くあります。
みなし課税とは、使用収益権が認められた土地を課税対象として、固定資産税を課す制度です。つまり仮換地が指定され、みなし課税が適用された場合、仮換地の評価額で税額を算出します。仮換地では、自治体によってみなし課税が適用される場合があり、その際は仮換地を基準として税額が算定されます。
都市計画税
都市計画税とは、市街化区域内に土地建物を所有している人が課税対象となる税金で、自治体から固定資産税と一緒に納税通知書が送付されます。都市計画税も、みなし課税となるケースが多いでしょう(ただし、自治体によって取り扱いが異なります)。
ちなみにこれまで都市計画税が課税されていなかった土地建物も、市街化区域になることで課税されることがあります。
相続税
土地区画整理事業中に相続が発生した場合、相続税は仮換地の進捗状況によって、課税対象が変わります。
仮換地に建物を建てるなどし、すでに使用収益している場合、その相続税評価は仮換地の指定状況や使用収益開始の有無によって異なります。詳細は税務署や税理士へ確認してください。
仮換地が指定される前や、仮換地を使用できない時は、従前の土地で評価されます。所管の税務署が判断するため、判断が難しい時は、個別に相談するようにしてください。
仮換地の売却に適したタイミング

仮換地の売却を検討する場合、どのタイミングで売却するのが正解なのでしょうか。ここでは、2つの適したタイミングを解説します。
仮換地指定後
1つ目は、仮換地指定後のタイミングです。仮換地が指定されたあとであれば、土地区画整理事業によって資産価値が上がる旨をアピールしやすくなり、売却を進めやすいでしょう。各自治体が発行する「仮換地指定証明書」を提示すれば、仮換地の面積や形状も説明できます。
ただし売買契約上では、従前地が売買の対象となります。また清算金を徴収される可能性があると、買主へ説明する必要があるでしょう。
換地処分後
2つ目は、換地処分後のタイミングです。換地処分後であれば、土地区画整理事業が完了し、街並みもきれいに整備されています。買主は生活環境をイメージしやすく、売主にとっては高く売却しやすいタイミングだからです。
ただし計画から換地処分までに、10年以上かかるケースも少なくありません。事業が完了するタイミングがいつになるのか、遅れる要素はないのかなど、スケジュールや進捗をよく確認しておきましょう。
仮換地を売買する際の注意点

仮換地を売買する際は、買主に土地区画整理事業中であること、所有権は従前地にあり契約も従前地でおこなう必要がある点を買主に説明することが重要です。
特に清算金の扱いには、留意が必要です。清算金は換地処分時点の所有者に帰属するのが原則ですが、売主と買主のどちらが受領もしくは負担するのか、売買契約書によって取り決めておくようにしましょう。
仮換地に関するよくある質問
最後に、仮換地に関するよくある質問にお答えします。
仮換地は売れる?
仮換地は売却できます。ただし地権者は、仮換地の所有権を持っているわけではありません。仮換地を売却する場合、売主は従前地を売却し、買主は仮換地の使用収益権をえるかたちになります。
登記や住所はどうなる?
土地や建物の登記は、換地処分後に施行者がまとめておこないます。仮換地の住所は、その底地の住所を使用するのが一般的ですが、地区名や街区画地番号も併用するケースもあります。事業完了後の新住所は、市区町村が決定し、それを基に法務局が登記簿を更新(換地処分)します。
税金は上がる?
土地区画整理事業によって、土地の資産価値が上昇すると、土地の課税評価も上がる可能性があります。これにより固定資産税や都市計画税、相続税は上がるものと想定しておきましょう。ただし、実際の税額は自治体の評価や減歩率などによって異なります。
土地区画整理事業は、不動産会社の担当者であっても、そう何度も経験するような事業ではありません。仮換地の売却を検討する際は、取引した経験があるのか、十分な知識を持っているのかなど確認しておきましょう。
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