共有持分の買取業者で起こるトラブルとは?失敗しない売却方法と対策を徹底解説
一方で、「相場より安く買い取られる」「他の共有者とトラブルになる」など、共有持分の買取業者を利用したことで新たな問題が生じるケースも。
本記事では、共有持分の買取業者の仕組みや注意点、実際に起こりやすいトラブルの事例を詳しく解説します。
記事の目次
共有持分の買取業者の仕組みとは

共有持分の買取業者とは、複数人で所有している不動産のうち、自分が保有している持分だけを買い取ることを専門とする不動産会社です。
通常、不動産を売却するには共有者全員の同意が必要です。しかし、共有持分の買取であれば、他の共有者の同意がなくても自分の持分だけを売却できます。買取業者は持分を取得したあと、新たな共有者として他の共有者と交渉をおこない、残りの持分の取得を目指します。そして最終的に不動産全体を単独所有にしたうえで、第三者へ売却し、利益を得るビジネスモデルが一般的です。
上記のように、共有持分の買取は共有関係の解消を早める手段として有効になります。しかし、利用する前に業者側の利益構造を理解することも重要です。
売主が注意すべきトラブルとリスク

共有持分の売却は手軽に見える一方で、売主にとって不利な条件で進んでしまうケースも。以下で、代表的なトラブルを紹介します。
不利な条件で契約してしまうリスク
共有持分は取引事例が少なく、一般の不動産と比べて価格の相場を把握しにくいです。そのため、適正価格の判断が難しく、極端に不利な条件で契約してしまうリスクがあります。
なかには、「この持分は価値が低い」「今売らないと売却できなくなる」などの不安をあおる説明をおこない、低い価格で売却を急がせる悪徳業者も存在します。
さらに注意したいことが契約内容です。契約書の条項が複雑だったり、売主にとって不利な条件が含まれていたりするケースも。内容を十分に理解しないまま契約すると、あとからトラブルに発展する可能性があるため、しっかりと細部まで確認しましょう。
相場より安く買い取られやすい
共有持分は、単独所有の不動産と比較して利用や処分に制約が多く、購入後の活用が難しい側面があります。そのため、一般の買主にとって魅力が低く、市場での流通性も高くありません。
上記の背景から、買取業者はリスクを考慮して価格を低めに設定する傾向があります。さらに、業者は将来的に不動産全体を取得して利益を得ることを目的としているため、できるだけ安く仕入れようとすることが実情です。
その結果、提示される価格が市場価値よりも大幅に低くなるケースも珍しくありません。相場の半分以下で売却してしまった事例も多く見られます。
上記のような事態を防ぐためには、複数の業者に査定を依頼し、価格の比較をおこなうことが重要です。
共有持分の売却後に起こりやすい買取業者とのトラブル

共有持分の売却は、売主だけで完結する問題ではありません。売却後には、他の共有者との関係性に大きな影響を与える可能性があります。共有持分の売却後に起こりやすい買取業者とのトラブルを以下にまとめました。
他の共有者への強引な交渉
買取業者は、最終的に不動産全体の取得を目指すため、他の共有者に対して持分の売却を働きかけます。
この際、場合によっては強引な交渉がおこなわれることもあり、「売らないと不利になる」「このままでは損をする」などの言葉で心理的なプレッシャーをかけるケースも。
共有者同士の関係悪化につながることも多く、結果的にトラブルへと発展する可能性は少なくありません。特に親族間で共有している場合は、人間関係に深刻な影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
賃料請求によるトラブル
共有不動産を特定の共有者が占有している場合、新たに共有者となった買取業者が賃料の支払いを求めることがあります。
法律上認められた権利ですが、これまで無償で使用していたケースでは、突然の請求に戸惑いや不満が生じやすいのが実情です。
さらに、過去にさかのぼって賃料を請求されるケースもあり、金銭的な負担が大きくなる可能性もあります。このような請求がきっかけとなり、共有者間で対立が生じることも少なくありません。
他の共有者も安く売却してしまう可能性
一部の共有者が持分を売却すると、残りの共有者にも影響がおよびます。買取業者は他の持分も取得しようとするため、同様に売却を提案することが一般的です。
しかし、上記でも説明したように、提示される価格は相場よりも低くなる傾向があります。「このままでは不利になる」「将来的に問題が大きくなる」などの説明によって、他の共有者も十分に検討しないまま売却を決断してしまうケースも。
その結果、本来の価値よりも低い価格で不動産を手放してしまい、後悔につながる可能性があります。
共有物分割請求による訴訟リスク
他の共有者が売却に応じない場合、買取業者が「共有物分割請求」を裁判所に申し立てるケースもあります。
共有状態を強制的に解消するための法的手続きであり、場合によっては不動産全体が競売にかけられる可能性も。競売では市場価格よりも低い価格で売却されることが多く、結果として共有者全員にとって不利な状況になる場合もあるでしょう。
また、訴訟に発展すると、弁護士費用や時間的・精神的な負担も大きくなります。こうしたリスクを理解したうえで、共有持分の売却を検討することが重要です。
共有者間トラブルが発生した場合に起こり得る問題

共有持分の売却は、法的には所有者の自由な判断でおこなえるものですが、その影響は売主本人だけにとどまりません。特に、他の共有者との関係性に大きな影響を与える可能性があり、思わぬトラブルに発展するケースもあります。
共有者間トラブルが発生した場合に起こりやすい代表的な問題を解説します。
買取業者とのトラブルの原因として責任を追及される可能性
共有持分を売却したあと、買取業者と他の共有者との間でトラブルが発生した場合、責任が売主に向けられるケースも少なくありません。
例えば、業者が強引な交渉をおこなったり、共有物分割請求などの法的手続きを進めたりした場合、他の共有者は「こうなったのは売主が売却したせいだ」と感じることがあります。売主自身は共有関係から離れたつもりでも、売却をきっかけにトラブルが長期化する可能性もあります。
共有者との関係性が悪化するリスク
共有持分は、他の共有者の同意がなくても売却することが可能です。しかし、上記のとおり、トラブルが発生した際など人間関係への影響がないわけではありません。
特に、家族や親族間で共有している不動産の場合では、「事前に相談がなかった」「勝手に売却された」と受け取られ、信頼関係が大きく損なわれ疎遠になる可能性もあるため、売却する前に一度専門家に相談するとよいでしょう。
共有持分を買取業者に売却するメリット

共有持分の売却はハードルが高いイメージがありますが、買取業者を利用すると、一般的な不動産売却とは異なる多くのメリットがあります。
特に「早く現金化したい」「他の共有者と関わりたくない」などのケースでは、おすすめの選択肢となります。
共有持分を買取業者に売却する主なメリットを詳しく見ていきましょう。
スピーディーに現金化できる
買取業者を利用する大きなメリットは、現金化までのスピードが速い点です。
一般的な不動産売却では、買主を探すための広告活動や内覧対応が必要となり、売却までに数カ月以上かかることも珍しくありません。さらに、共有不動産の場合は他の共有者の同意も必要になるため、手続きが長期化しやすい傾向があります。
一方で、買取業者は自社で直接買い取るため、買主を探す必要がありません。条件がまとまれば、早ければ数日〜数週間程度で売却が完了し、現金化できるケースもあります。
「すぐに資金が必要」「共有状態から早く抜け出したい」方には大きなメリットとなるでしょう。
仲介手数料がかからない
一般的な不動産売却では、仲介業者を通して売却するため、売却価格に応じた仲介手数料が発生します。手数料は決して少なくなく、売却価格に応じて数百万円程度になることもあります。
しかし、買取業者に直接売却する場合は仲介ではなく直接取引となるため、仲介手数料が発生しません。
そのため、手元に残る金額がわかりやすく、資金計画も立てやすいメリットがあります。特に、持分の売却で得られる金額が限られるケースでは、上記のようなコスト削減の効果は大きいでしょう。
契約不適合責任を負わずに済むケースが多い
不動産売却では、売却後に物件の不具合が見つかった場合、売主が責任を負う「契約不適合責任」が発生するケースがあります。
しかし、買取業者への売却では、この契約不適合責任が免除されるケースが一般的です。業者は不動産のリスクを理解したうえで買い取るため、売主に責任を求めない条件で契約することが多いのです。
そのため、「売却後にトラブルが起きたらどうしよう」などの不安を軽減できる点は、大きな安心材料となるでしょう。特に、古い建物や状態に不安がある不動産の場合には、よりメリットが大きく期待できます。
他の共有者に知られずに売却できる
共有持分は、自分の持分であれば他の共有者の同意なく売却することが可能です。そのため、買取業者を利用すれば、他の共有者に事前に知られることなく手続きを進められます。
「共有者と連絡を取りたくない」「今後距離を置くことを前提に人間関係のトラブルを避けたい」などの場合は大きなメリットといえるでしょう。
共有持分の売却で後悔しないための買取業者の選び方

共有持分の売却は、一般的な不動産売却と異なり、専門性が高くトラブルも起こりやすい取引です。特に、業者選びを誤ると「安く買い叩かれる」「共有者との関係が悪化する」などの問題に発展する可能性があります。
そのため、安心して取引を進めるためには、信頼できる買取業者を見極めることが重要です。ここでは、共有持分の売却で後悔しないための業者選びのポイントを詳しく解説します。
複数の業者に査定を依頼して相場を把握する
共有持分は市場での取引事例が少なく、価格の相場がわかりにくい特徴があります。そのため、1社だけの査定を鵜呑みにしてしまうと、本来の価値よりも大幅に低い価格で売却してしまうリスクも。
上記のような失敗を防ぐためには複数の業者に査定を依頼し、提示された価格を比較することが重要です。複数の査定結果を見比べることで、おおよその相場観をつかむことができ、不当に安い条件を判断できるようになるでしょう。
また、価格だけでなく、査定の根拠を丁寧に説明してくれるかどうかも重要な判断基準です。納得できる説明がある業者は、信頼性が高い傾向にあります。
宅地建物取引業の免許の有無を確認する
共有持分の買取をおこなう業者が、宅地建物取引業の免許を正式に取得しているかどうかは、信頼性を判断するうえでの基本的なチェックポイントです。
免許を持っている業者は、宅地建物取引業法に基づいて運営されており、一定のルールや監督のもとで業務をおこなっています。一方で、無免許で営業している業者は、違法なだけでなくトラブルに巻き込まれるリスクも。
会社の公式サイトや国土交通省のデータベースで、免許番号や登録状況を事前に確認しましょう。
行政処分歴の有無を事前にチェックする
業者の信頼性を見極めるうえで、「過去に行政処分を受けていないか」を確認することも重要です。
国土交通省が公開している「ネガティブ情報検索サイト」を活用すれば、業者の処分履歴を調べられます。過去に業務停止や指導を受けている場合、その理由や内容を確認すると、リスクを判断する材料になります。
実績や口コミを確認し信頼できる業者を選ぶ
共有持分の買取は専門性が高いため、業者によって対応力に大きな差があります。そのため、過去の実績や利用者の口コミを事前に確認することが重要です。
具体的には、「共有持分の取引実績が豊富か」「トラブルなく取引が完了しているか」などの点をチェックしましょう。口コミに関しても、よい評価だけでなく悪い評価の内容まで確認すると、その業者の実態が見えてきます。
特に、「対応が強引」「説明が不十分」などの評価が多い業者は注意が必要です。信頼できる業者は、無理に契約を急がせることはないことを理解しましょう。
弁護士連携などアフターフォロー体制をチェックする
共有持分の売却は、売却して終わりではなく、そのあとも共有者間のトラブルに発展する可能性があります。そのため、売却後のフォロー体制が整っている業者を選ぶことも重要なポイントです。
例えば、弁護士と提携している業者であれば、万が一トラブルが発生した場合でも、法的な対応をスムーズに進められるでしょう。また、共有者との交渉も専門的な知識をもとに適切に対応してくれるため、安心感があります。
事前に「売却後のサポートはどこまで対応してくれるのか」を確認すれば、のちのちの不安を軽減できるでしょう。
契約を急かしてくる業者は避ける
信頼できる業者は、売主が納得したうえで判断できるように、十分な説明と検討時間を提供します。
一方で、「今すぐ契約しないとこの条件は出せない」「早く決めたほうが得」などと契約を急かしてくる業者には注意が必要です。このようなケースでは、売主が冷静な判断をできないまま契約してしまうケースも。
共有持分の売却は重要な意思決定であるため、焦らず比較・検討する姿勢を持ちましょう。
売却代金の支払い方法を明確に確認する
売却代金の受け取り方法に関しても事前に確認する必要があります。
特に、「現金での受け渡しが可能か」「銀行振込の場合はいつ入金されるのか」など、具体的な支払い条件を明確にすることで、トラブルを防げます。
不透明な説明や曖昧な条件のまま契約を進めると、「聞いていた条件と違う」などの問題につながる可能性があるため注意が必要です。
所有権移転登記と代金支払いのタイミングを確認する
不動産取引では、「所有権移転登記」と「売却代金の支払い」を同時におこなうことが原則です。
しかし、業者によっては、先に登記を求めたり、支払いのタイミングを後ろ倒しにしたりするケースもあります。上記のような条件は、売主にとって大きなリスクとなる可能性があるでしょう。
安全に取引を進めるためには、登記と支払いが同時におこなわれるかを確認し、自身にとって不都合な条件がないか確認する必要があるでしょう。
相続不動産に強い業者を選ぶ
共有持分の問題は、相続をきっかけに発生するケースが多いです。そのため、相続不動産に関する知識や対応実績が豊富な業者を選ぶことも重要なポイントになります。
相続案件では、権利関係が複雑だったり、相続人同士の関係性に配慮が必要だったりと、通常の売却とは異なる対応が求められます。
上記のような事情を理解している業者であれば、トラブルを最小限に抑えながら、スムーズに売却を進めてくれるでしょう。
担当者の対応から誠実さ・信頼性を見極める
最終的に重要になるのが、担当者の対応です。どれだけ会社の規模や実績があっても、実際にやり取りをおこなうのは担当者であるため、その人の対応次第で取引の満足度は大きく変わります。
信頼できる担当者は、メリットだけでなくデメリットもしっかり説明し、売主が納得したうえで判断できるようサポートしてくれます。一方で、「今すぐ決めないと損をする」などの形で契約を急がせる担当者には注意しなければなりません。
複数の業者とやり取りを繰り返すと対応の違いが見えてくるため、比較しながら慎重に見極めることが大切です。
契約内容を細かく確認し不利な条件を避ける
共有持分の売却契約には、一般の不動産売買とは異なる条件が含まれることもあります。
例えば、「契約解除に関する条件」「追加費用の有無」「責任範囲」などは細部まで確認すべき項目です。内容を十分に理解しないまま契約すると、あとから不利な条件に気付き、トラブルにつながる可能性があります。
少しでも不明点がある場合は、そのままにせず担当者に確認することが大切です。
極端に高すぎる査定額にも注意する
高額査定を提示してくる業者が必ずしも優良とは限りません。なかには、契約を取るために相場よりも高い金額を提示し、後から条件変更をおこなうケースもあります。
一見魅力的に見える査定額でも、「なぜその価格になるのか」という根拠が明確でない場合は注意が必要です。相場とかけ離れた価格を提示された場合は、冷静に他社と比較し、慎重に判断しましょう。
まとめ
共有持分の買取業者は、他の共有者の同意がなくても持分を売却できる便利な手段です。
しかし、共有持分という特殊な不動産の性質上、相場より安く買い取られやすいリスクや、売却後に他の共有者との関係が悪化するリスクがある点には十分な注意が必要です。さらに、業者の対応によっては、強引な交渉や訴訟に発展する可能性も少なくありません。
こうしたリスクを回避するためには、複数業者への査定依頼による相場把握、実績や口コミの確認、契約内容の精査など、慎重な判断が重要です。また、弁護士と連携している業者を選ぶなど、売却後のフォロー体制にも目を向けることも必要になります。
共有持分の売却は、単なる不動産取引ではなく、人間関係や将来的なトラブルにも関わる重要な判断です。正しい知識を身につけたうえで、信頼できる業者を選び、納得のいく形で取引を進めましょう。
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執筆者
井上 紗英
宅地建物取引士、2級フィナンシャル・プランニング技能士
大学卒業後、地方銀行へ入行し、個人・法人向けの融資事務を担当。正確さが求められる業務で経験を積む一方、よりお客様の人生に寄り添い、幅広い金融商品を学びながらコミュニケーション力も高めたいと考え転職。カスタマーサクセスとして、煩雑なお手続きのご案内やお客様対応を通じて、不安に寄り添いながら資産形成を支える。
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