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離婚時の家の査定と財産分与までの流れは?注意点とトラブルになりやすいケース

離婚時の財産分与で揉めやすいのが家の扱いです
離婚が決まった時、「家はどうすればよいのか」と悩むケースは多いです。やるべきことに迷う場合は、まず家の査定から始めるとよいでしょう。家の査定は、公平な財産分与をおこなうために必要になります。家の査定方法は複数あるため、状況に応じて適切な方法を選ぶようにしましょう。

本記事では、離婚時の家の査定と財産分与までの流れと具体的な査定方法を紹介します。記事を読むことで、離婚時の財産分与に必要な家の扱いに関する知識を把握できるようになるでしょう。

離婚時に家の査定が必要である理由

離婚時に家の査定が必要になるのは財産分与の基準を明確にするためです
離婚時に家の査定が必要になるのは財産分与の基準を明確にするためです

離婚時に家の査定が必要である理由は、公平な財産分与をおこなうためです。財産分与は、原則として夫婦が2分の1ずつ資産を分け合う仕組みです。自宅が婚姻期間中に取得した共有財産にあたる場合、現在の市場価値を把握しなければ正確な分配額を計算できません。

購入時の価格や住宅ローンの借入額を基準にすると、実際の価値とずれが生じる可能性があります。不動産の価格は、築年数や周辺相場、市場動向によって変動するため、離婚時点での適正な評価額を確認する必要があるでしょう。

査定額をもとに話し合うことで、トラブルを防ぎやすくなります。離婚時の家の査定は、財産分与を円滑に進めるうえで重要です。

離婚後の家を財産分与する方法

離婚後の家を財産分与する方法を紹介します
離婚後の家を財産分与する方法を紹介します

離婚後の家を財産分与する方法は主に3つあります。以下に内容をまとめました。

財産分与の方法 内容
現物分割 家は夫、預貯金は妻など、
資産を個別に振り分けて調整
換価分割 家を売却して現金化し、
その売却代金を分ける
代償分割 一方が家を取得し、
その代わりに相手へ金銭を支払う

それぞれ詳しく見ていきましょう。

現物分割

現物分割とは、財産を売却せず、そのままの形で分ける方法です。不動産の場合は、家をどちらか一方が取得し、その代わりにほかの財産を相手に渡して調整します。

例えば、夫が自宅を取得し、妻が同額程度の預貯金や有価証券を取得するケースが該当します。家は価値が大きい資産であるため、取得しなかった側が不利にならないように他の資産で調整が必要です。

現物分割は、十分な金融資産があり、不動産と相殺できる場合に適しているでしょう。一方で、家の価値が高く、ほかに調整できる財産が少ない場合は不公平が生じやすくなります。

換価分割

換価分割とは、不動産を売却して現金化し、売却代金を分ける方法です。家は物理的に分割できないため、売却して現金に換えることで、公平に2分の1ずつ分けやすくなるでしょう。住宅ローンが残っている場合は、売却代金で残債を完済し、残った金額を分配します。

例えば、家の売却価格が3,000万円で住宅ローン残高が2,000万円の場合、差額の1,000万円が財産分与の対象となります。よって、2分の1に分けると500万円ずつ分配する計算になります。金銭で明確に清算できることから、不公平が生じにくいため、後々のトラブルを防ぎやすいでしょう。

代償分割

代償分割とは、一方が家を取得し、その代わりに相手へ金銭を支払う方法です。例えば、家の査定額が2,000万円の場合、査定額の2分の1となる1,000万円を相手に支払うことで清算します。家を取得する側に十分な支払い能力が求められる財産分与の方法です。

離婚時に家を査定する方法

離婚時に家を査定する方法を紹介します
離婚時に家を査定する方法を紹介します

家の査定には複数の方法があり、目的や状況によって適した手段は異なります。以下に主な家の査定方法を3つまとめました。

不動産ポータルサイトの机上査定

不動産ポータルサイトの机上査定(簡易査定)は、物件情報を入力して査定額を算出できる方法です。所在地や面積、築年数などのデータをもとに、周辺の成約事例や現在の販売事例を参考に価格を推定します。

ただし、机上査定はあくまで簡易的な価格です。室内の状態や周辺環境の細かな要素までは反映されにくいため、実際の売却価格とは差が出る可能性があります。そのため、財産分与の金額を決める場面では参考程度に位置づけられるでしょう。
簡単に利用できることから、他の査定方法を試す前に、相場を把握したい場合に活用できる査定方法です。

不動産会社の訪問査定

不動産会社の訪問査定では、担当者が実際に現地を確認したうえで価格を算出します。室内の状態や管理状況、周辺環境を含めて総合的に評価します。そのため、実際の売却価格に近い査定額が出やすいでしょう。

財産分与の具体的な金額を決める場面では、机上査定よりも信頼性の高い査定内容になります。また、査定書として書面が発行されるため、客観的な根拠として提示しやすいです。ただし、結果が出るまでに時間がかかるため、余裕をもって査定を受けるようにしましょう。

不動産鑑定士に依頼する

不動産鑑定士は国家資格者であり、法律に基づいて客観的に家の価値を査定します。離婚協議がまとまらず、調停や裁判に進む可能性がある場合には、不動産会社の査定よりも証拠能力が高い資料として活用できます。離婚時の財産分与で法的な争いが想定される場合に有効です。

机上査定・訪問査定は原則として無料である一方で、不動産鑑定士に査定を依頼すると費用がかかります。そのため、訪問査定で合意を目指すことが基本になりますが、どうしても折り合いがつかない場合にこの方法を検討しましょう。財産分与をめぐる対立が深刻な場合や、公平に分割したい場合に必要な査定方法になります。

離婚時の家の査定と財産分与までの流れ

離婚時の家の査定と財産分与までの流れを紹介します
離婚時の家の査定と財産分与までの流れを紹介します

離婚時の家の査定と財産分与までの流れは以下のとおりです。

  • Step1家が財産分与の対象か確認する
  • Step2家の査定を依頼する
  • Step3住宅ローン残高を確認する
  • Step4財産分与の方法を決める
  • Step5財産分与の金額を計算する
  • Step6合意内容を書面に残す

それぞれ詳しく見ていきましょう。

Step1:家が財産分与の対象か確認する

離婚時の財産分与の対象になるのは、原則として婚姻期間中に夫婦が協力して築いた共有財産です。婚姻中に購入した家や、夫婦の収入で住宅ローンを返済してきた家は、名義がどちらか一方であっても原則として共有財産とみなされます。

一方で、結婚前に購入した家や、相続・贈与で取得した家は特有財産として扱われ、原則として財産分与の対象になりません。ただし、婚姻後にローン返済や大規模なリフォーム費用を支払っている場合は、支払い分を考慮して一部が財産分与の対象になることも。家が共有財産にあたるかどうかを最初に確認するようにしましょう。

Step2:家の査定を依頼する

財産分与を進めるうえでは、現在の家の市場価値を客観的に把握する必要があります。財産分与では、実際に売却した場合の想定価格が基準になるため、不動産会社が算出する査定価格が対象になるでしょう。

一方で、換価分割をする場合は実際に売却する必要があります。査定価格で対立が予想される場合は、不動産鑑定士に依頼しましょう。

Step3:住宅ローン残高を確認する

家の財産分与は、査定額から住宅ローン残高を差し引いた純資産が基準になります。よって、住宅ローンが残っている場合は、残高を確認するようにしましょう。
また、財産分与をする場合は、査定額がローン残高を上回るアンダーローンであることが望ましいです。査定額よりローン残高が多いオーバーローンの場合は、家が財産ではなく負債になります。夫婦の共有名義である場合は、離婚時にトラブルになりやすいケースになります。

Step4:財産分与の方法を決める

家の査定額と住宅ローン残高を参考に、具体的な財産分与の方法を決めます。不動産は物理的に半分に分けられませんが、換価分割であれば現金化して売却代金を分けられます。一方で、どちらかが家を取得して住み続けたい場合は、現物分割または代償分割を検討する必要があるでしょう。家の価値は高いため、不公平を避けるには、調整に使える十分な財産が必要です。

Step5:財産分与の金額を計算する

財産分与の方法が決まったら、具体的な金額を計算します。不動産の場合は、家の査定額から住宅ローン残高を差し引き、分配の対象となる純資産を算出します。換価分割にする場合は、実際の売却価格から仲介手数料や登記費用など、売却に必要な手数料を差し引くことを忘れないようにしましょう。

また、家の購入時にどちらかの特有財産を多く充てている場合は、分配が2分の1にならないケースもあります。特有財産がある場合は考慮して、公平性を意識した計算をしましょう。

Step6:合意内容を書面に残す

財産分与の金額や方法が決まったら、必ず合意内容を書面に残します。口頭の約束ではあとからトラブルに発展する危険性も。書面に記載する主な内容は以下のとおりです。

  • 家の査定額と住宅ローン残高
  • 財産分与の方法
  • 財産分与の金額と支払期限

より確実に履行したい場合は、公正証書にしましょう。公正証書であれば、支払いが滞った場合に強制執行ができるようになります。将来のトラブルを防ぐためにも、合意内容は必ず文書として残しておきましょう。

離婚時の家の査定と財産分与に関する注意点

離婚時の家の査定と財産分与に関する注意点を解説します
離婚時の家の査定と財産分与に関する注意点を解説します

離婚時の家の査定と財産分与に関する注意点を以下にまとめました。それぞれ詳しく見ていきましょう。

査定額と売却価格は必ずしも一致しない

査定額はあくまで売れる可能性が高いと見込まれる価格の目安であり、実際の売却価格を保証するものではありません。査定を依頼する不動産会社によって金額に差が出ることもあります。換価分割で売却して財産分与をする場合は、査定額と売却価格は必ずしも一致しないことを理解しておきましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼する

離婚時の家の査定では、1社だけで判断せず、複数の不動産会社の査定結果を比較しましょう。不動産会社によって査定額には差が出る場合がありますが、販売戦略や価格設定の考え方に違いがあるからです。不動産会社によっては、契約獲得を目的に高めの査定額を提示する場合もあります。

換価分割で家をできる限り早く売りたい場合は、契約する不動産会社が重要です。担当者の説明内容や対応姿勢を含めて比較し、売却を進めるようにしましょう。

共有名義の場合は売却を勝手に進めない

家が夫婦の共有名義になっている場合、どちらか一方の判断だけで売却を進められません。家を売却するには、原則として共有者全員の同意が必要です。離婚協議中に一方が独断で不動産会社と媒介契約を結んだり、売却活動を開始したりすると、法的トラブルに発展する可能性も。換価分割を検討する場合は、必ず双方で合意し、条件を整理したうえで進めることが重要です。

不具合を隠すことなく正直に伝える

家を査定・売却する際は、建物の不具合や修繕履歴を隠さずに正直に伝えることが重要です。特に売却する場合は、あとから発覚すると引き渡し後に契約不適合責任を問われることも。修補費用の請求や契約解除に発展する可能性があります。離婚の財産分与を抱えている状況でさらにトラブルを抱え込む事態に陥る危険性があるため、情報を正確に共有するようにしましょう。

調停・裁判を見据えるなら証拠を残す

離婚協議がまとまらず、調停や裁判に進む可能性がある場合は、証拠を残しておくことが重要です。離婚協議がまとまりそうな場合でも、家の査定を受けたあとに書面として発行される不動産会社の査定書は必ず保管しておきましょう。

調停や裁判になるほど対立している場合は、不動産鑑定士に査定を依頼して鑑定評価書を証拠にすると、法的な争いに発展した場合に有効になります。また、書面に残した内容が履行されるかどうかが不安な場合は、書面を公正証書にするようにしましょう。

離婚時の家の財産分与でトラブルになりやすいケース

離婚時の家の財産分与でトラブルになりやすいケースを紹介します
離婚時の家の財産分与でトラブルになりやすいケースを紹介します

離婚時の家の財産分与ではさまざまなケースが考えられます。特にトラブルになりやすいケースを以下にまとめました。

オーバーローンである

オーバーローンは、家の査定額よりも住宅ローン残高のほうが多い状態です。例えば、査定額が2,000万円で、ローン残高が2,500万円の場合は、家は財産ではなく負債になります。

そのため、オーバーローンの場合は財産ではなく負債として扱われ、名義人が返済を続ける形になるケースが一般的です。オーバーローンの際、必ずしもトラブルに発展するとは限りませんが、以下で紹介する別の条件が加わった場合は注意が必要です。

片方が連帯保証人である

住宅ローンを組む際、夫婦のどちらか一方が主債務者となり、もう一方が連帯保証人になっているケースがあります。離婚しても連帯保証人の責任は自動的には消えません。たとえ家に住まなくなっても、主債務者が返済を滞らせれば、金融機関は連帯保証人に対して支払いを請求できます。

連帯保証人から外れるには、家を売却して住宅ローンを完済する換価分割が効果的です。しかし、オーバーローンの場合は住宅ローンを完済できないため、連帯保証人を外れることができなくなります。住宅ローンの返済が困難な場合は、借り換えや名義変更によって連帯保証を外せるかどうかを金融機関に確認する必要があるでしょう。

ペアローンを組んでいる

ペアローンは、1つの物件に対して夫婦が別々に住宅ローンを契約する仕組みです。夫婦がそれぞれの収入で住宅ローンを返済できるため、借入金額を増やしやすいメリットがあります。しかし、離婚後にどちらか一方が家に住み続ける場合でも、もう一方のローン契約は自動的には消えません。

名義から外れるには、金融機関の承諾や借り換えが必要です。売却する場合も、双方の合意がなければ進められません。オーバーローンで売却する場合は、不足金額の返済方法を考える必要があります。ペアローンは夫婦がそれぞれローンを契約する仕組みであることから、離婚時にはトラブルになりやすい契約です。

離婚時の家の査定に関するよくある質問

離婚時の家の査定に関するよくある質問は以下のとおりです。

離婚時の家の査定は法律上の義務になっている?

離婚時の財産分与では、家の査定そのものは法律上の義務になっていません。しかし、家が共有財産にあたる場合は、現在の市場価値を把握しなければ公平な財産分与はできません。義務ではありませんが、実務上は原則として必須の手続きです。

家の査定は無料で受けられる?

不動産ポータルサイト・不動産会社による机上査定や訪問査定は、原則として無料で受けられます。売却を前提とした営業活動の一環としておこなわれるため、費用はかからない仕組みです。一方で、不動産鑑定士に鑑定を依頼する場合は費用が発生します。

相手が査定価格に納得しない場合はどうすればいい?

不動産会社の査定価格を提示して合意できない場合は、調停・裁判に発展する可能性があります。不動産鑑定士による鑑定評価は法的な根拠のある査定結果であるため、調停・裁判に発展した場合も有効です。費用はかかりますが、財産分与を円滑に進めるために、不動産鑑定士への依頼を検討することも選択肢になります。

まとめ

離婚時の家の扱いは、財産分与のなかでも争いになりやすい問題です。家が共有財産にあたるかどうかを確認したうえで、査定をおこなうところから始めましょう。現状を把握すれば、売却、またはどちらかが住み続けるなどの財産分与の方向性を具体的に検討できるようになります。

離婚時の家の査定は、公平な財産分与を実現するために重要です。双方で十分に話し合い、財産分与に必要な方法を考えることで、将来のトラブルを防げるようになるでしょう。

民辻 伸也

執筆者

民辻 伸也

宅地建物取引士、2級ファイナンシャル・プランニング技能士

大学を卒業し、投資用不動産会社に4年勤務後、選択肢を広げて一人ひとりに合わせた資産形成をおこなうため、転職。プロバイダー企業と取引し、お客様が安心感を持って投資できる環境づくりに注力。不動産の仕入れや銀行対応もおこなっている。プライベートでも、自ら始めた不動産投資でマンション管理組合の理事長に立候補。お客様を徹底的にサポートできるよう、すべての経験をコンサルティングに活かしている。
株式会社クレア・ライフ・パートナーズ

ライフマネー研究所
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