マンション査定の流れや注意点を解説!高く査定されるコツや必要書類

本記事では、マンション査定の流れやチェックポイント、査定額を上げるコツ、不動産会社の選び方などを解説します。マンション売却を考えている方や、高く売却するための査定時のコツを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
記事の目次
マンション査定とは?
マンション査定とは、売却するマンションがいくらで売れそうか、暫定の金額を不動産会社に算出してもらうことです。売出価格は売主が決められるので、算出された査定額を参考に、売出価格と媒介を依頼する不動産会社を決めることになります。
マンション査定が必要な理由は?
売出価格だけでなく、最終的な成約価格の指標になる査定額は非常に重要です。基本的には売りたい価格で売却を始め、時間が経つほど金額を下げていくのが一般的です。
売出価格を高く設定したり、低く設定した金額から上げてしまうと、売りづらくなってしまいます。相場を把握したうえで売出価格を決めなければ、売却価格や条件に大きく影響するため、プロの不動産会社がおこなうマンション査定は必要です。
査定価格の算出方法は?
マンションの査定価格の算出方法には以下のような方法があります。
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取引事例比例法
取引事例比較法は、過去の近隣にある類似物件の取引事例と比較して査定額を算出する方法です。事例として選ぶマンションは、エリアによって価格の変動が大きくなるので、対象となるマンションの同エリアや近いエリアから選ぶようにしましょう。 -
収益還元法
収益還元法は、対象のマンションを賃貸で貸し出すと仮定した場合に、想定する利益からマンション価格を決定する方法です。居住用として利用する物件でなく、投資目的の物件を査定する際に用いられます。 -
原価法
原価法とは、新しく建物を建てる、または土地の造成をおこなう場合の原価を求め、ここから建物設備の老朽化している分を経過年数に応じて減価修正して、試算価格を求める方法です。マンションよりも、一戸建て査定の場合に用いられる傾向にあります。
マンション査定の流れ

マンションを売却する際の査定の流れは、以下のような手順で進むのが一般的です。
- STEP 1机上査定を依頼する
- STEP 2訪問査定を依頼する
- STEP 3査定結果を受け取る
- STEP 4不動産会社に売却を依頼する
それぞれ、詳しく解説します。
机上査定を依頼する(簡易査定)
机上査定(簡易査定)は、不動産会社が査定する物件を訪問せずに算出する査定方法です。簡易査定ともいい、過去の取引事例や市場状況などのデータを用いて算出します。
机上査定に必要な書類
机上査定(簡易査定)の際に必要な書類は、以下のとおりです。
登記事項証明書
登記事項証明書とは不動産の所在や種類、面積、持分などが記載されている書類で、法務局で取得できます。対象となる不動産の情報が詳細にわかるので、査定には欠かせない書類といえるでしょう。
測量図および公図
測量図や公図は不動産の土地の形状、面積などが示された書類です。公図は土地の位置や形状を確定するための地図で、測量図は面積や形状に加えて境界のポイント、求積方法などが記載されています。
建物の図面
建物の図面には、建物の形や建物と敷地との位置関係、間取り、配管がわかるなどものなどがあります。なかでもマンションの場合は、間取り図が重要です。
訪問査定(現地調査)を依頼する
訪問査定は、不動産会社が査定する物件に訪れて物件の状態や周辺環境などを調査し、売主へのヒアリングもおこなったうえで売却金額を算出する査定方法です。書類や事例ではわからない部分を確認できるので、机上査定よりも精度の高い方法といえるでしょう。
訪問査定に必要な書類
訪問査定(現地調査)で売主が準備する必要書類は、以下のとおりです。
登記識別情報(権利証)
登記識別情報(権利証)は、対象不動産の登記名義人が所有者本人であることを公的に証明する書類のことをいいます。不動産購入時に権利者のみが取得するもので、再発行されないので紛失しないように保管しておきましょう。査定時よりも、売却時に準備する書類です。
登記事項証明書
前述したとおり、登記事項証明書は不動産情報が記載された書類で、どの査定方法でも必要になります。
実印・印鑑証明書・身分証明書
実印や印鑑証明書、身分証明書は売主の本人確認書類です。査定時に利用することは特にありませんが、契約時や引渡し時に準備しておく必要があります。
固定資産税納税通知書
固定資産税納税通知書は、対象不動産の所有者に毎年送られてくる書類です。固定資産税は不動産を所有する方に課される税金で、納税通知書にはその年の納税額が記載されています。買主にとって、取得後に固定資産税がいくらかかるのか把握することは重要であるほか、不動産会社は登録免許税などを計算するために確認します。
維持費、管理費、修繕積立金がわかる資料
マンションの場合、維持費や管理費、修繕積立金などがかかるため、それらの費用がわかる書類が必要です。売主の支出となる項目のため、査定時や販売時に準備しておく必要があります。費用がわかる書類が手元にない場合は、管理組合に問い合わせるようにしましょう。
修繕履歴や修繕計画の資料
マンションでは修繕履歴だけでなく、修繕計画がわかる書類も必要です。どの時期にどのような修繕工事をおこなったのか、またこれからおこなう予定なのかが記載されており、買主にとって購入を検討する重要な判断材料となります。見つからない場合は、管理組合に問い合わせて取得しておくようにしましょう。
査定結果を受け取る
査定が完了したら査定結果を受け取ります。机上査定では当日~3日程度、訪問査定では3日~1週間程度で結果を受け取ることが可能です。スピーディにおおよその査定額を把握したい場合は机上査定、より正確な査定額を把握したい場合は訪問査定を選ぶようにしましょう。
不動産会社に売却を依頼する
複数の不動産会社に査定依頼をして結果を受け取ったら、どの不動産会社に売却を依頼するか決めましょう。査定額だけでなく、不動産会社の販売方法やサービス内容なども確認したうえで決めることをおすすめします。不動産会社が決まったら、売却を依頼する不動産会社と媒介契約を結びます。
マンション査定でチェックされるポイント
マンション査定でチェックされるのは、主に以下のようなポイントです。それぞれの項目について解説していきます。
築年数や建物の状態
一般的に、建物は築年数が古くなるほど傷みやすく、修繕が必要な箇所が増えていくため資産価値も下がる傾向にあります。ただし、築年数が古いからといって売れないわけではありません。物件が築年数なりの建物の状態であれば問題なく、築年数と比べて綺麗な維持・管理がされていれば資産価値の向上が考えられます。老朽化が激しい場合は、市場価格よりも下がりやすくなるでしょう。
建物の構造や耐震性
建物の構造、特に耐震性は重要視される項目です。地震大国ともいわれる日本において、災害時に建物の倒壊による被害を防ぐべく、中古マンション購入の際は建物の強度を慎重に判断する必要があります。構造において、マンションはRC(鉄筋コンクリート)造で建てられるケースが多く、木造や鉄骨造で建てたアパートよりも強度は強めです。耐震性では、旧耐震基準で建てられたのか、新耐震基準で建てられたのかによって査定額や売れやすさが大きく変わります。ただし、旧耐震基準の建物でも安全性をしっかり確保できているものもあるので、耐震診断や耐震補強を実施しているかは管理組合に確認してみるといいでしょう。
階数や部屋の位置
何階建ての何階に位置するか、また、バルコニーがどの向きに面しているかも査定額に影響しやすい項目の一つです。後述する日当たりや眺望につながりますが、階数が高いほど査定額も上がりやすく、角部屋に位置して2方角に面している部屋は高くなります。ただし、どの方角でもいいわけではありません。一般的に好まれない北や西、その両方に面していると価格は下がりやすいため注意が必要です。
間取り
間取りは、その家の住みやすさを決める重要なポイントです。購入者は、自身の家族構成やライフスタイルを考慮して間取りで判断するケースが少なくありません。シンプルな間取りで万人受けしやすいのか、収納が十分にあるのか、子ども部屋として使える部屋数を確保できるのかなど、さまざまな角度から判断します。間取りに癖があると、査定ではマイナスに働くかもしれません。
日当たりや眺望
日当たりや眺望がいいほど、査定額は上がりやすくなります。例えば、階数が低くても南や東向きに位置し、室内にも日が差し込むようなケースは同フロアの中で価格は高めです。一方、高層階であっても目の前に大きな建物が建ち、眺望が良くない場合は同フロアのほかの部屋よりも価格が下がる可能性があります。
室内の状況(損傷や汚れ等)
室内の状況は、同じマンション内でも住む人によって大きく変わるため、注意して確認するポイントです。主に壁や床、天井などの劣化状態を確認し、汚れやキズがないかを把握します。売却する際に物件の印象にも直結するので、劣化状態がひどければ手直しして売却するなど工夫が必要です。
周辺環境
周辺環境が整っていると、査定額もプラスになる傾向にあります。最寄り駅まで徒歩10分以内で到着できるのか、また、生活に便利なスーパーやコンビニ、病院、子どもが通いやすい学校などが揃っているのかなどが主なポイントです。
エレベーターなど共用部分
室内だけでなく、査定時には共用部分もチェックします。主に、外壁材のグレードやエレベーターのメンテナンス、共用施設の充実度などです。
マンション査定時の注意点

マンション査定では、以下でご紹介するような点に注意しましょう。査定前、査定後に分けて解説します。
査定前に注意すべき点
マンション査定を依頼する前に注意すべき点は以下のとおりです。
売却相場を事前に調べておく
不動産会社が算出した査定額が妥当であるかを判断するには、相場を把握しておく必要があります。周辺にある類似物件について、過去の売却価格や取引価格をインターネットで調べてみるといいでしょう。
きちんと掃除をしておく
清掃をしっかりおこない室内の状態を綺麗にしておくことで、不動産会社にいい印象を与えられます。査定額に大きく影響するものではありませんが、不動産会社が売り出す際にアピールポイントとなり、売りやすくなるので自分でできる範囲の掃除はおこなうようにしましょう。
設備の故障等があれば正直に伝える
設備の故障などがある場合、そのままにしたり隠したりせずに正直に伝えましょう。設備の不具合を申告せずに売買契約を結んだ場合、あとで発覚した際に損害賠償や契約解除となる可能性があります。事前に不動産会社に伝えておくことで売り出しやすくなるような提案を受けられるケースもあるので、正直に伝えて相談するようにしましょう。
近隣トラブルの有無や隣人の属性を伝える
マンションは住民同士の距離が近いため、一戸建て住宅よりも近隣住民への配慮が大切です。すでに近隣トラブルが発生しているのか、隣人はどのような属性なのかなど、わかる範囲で伝えるようにしましょう。実際に住んでみないとわからないことを不動産会社に事前に伝えておくと、購入者へ正しい情報を共有でき、売却後のトラブルを防ぐことができます。
修繕積立費等の滞納は解消する
マンションは管理費や修繕積立金などの支払いが毎月必要ですが、滞納しているものがあればあらかじめ滞納分を解消しておくようにしましょう。マンション管理に関わる費用の滞納の有無は、売主からの申告がなくても不動産会社が管理組合に確認するため明らかになります。滞納がある物件は敬遠されやすく、売却に時間がかかったり、売却価格の値引き交渉が入ったりする可能性が高くなります。
査定後に注意すべき点
次に、マンション査定をおこなった後に注意すべき点は以下となります。
査定額の根拠を聞く
査定額は売出価格を決める重要な基準となります。複数の不動産会社に査定を依頼すると、査定額が大きく異なる場合もあるでしょう。想定していた査定額と異なる場合や、疑問に感じることがあれば、根拠を聞いてみることをおすすめします。明確な根拠を聞いて納得できれば、信頼できる不動産会社かも見極められます。
住宅ローン残債と比較する
売却するマンションに住宅ローンの残債がある場合は、査定額と残債を比較してみましょう。住宅ローンを完済しなければ売却できないため、査定額(売却価格)で住宅ローンの残債分を賄えるのか確認する必要があります。査定額が残債を下回る金額の場合、預貯金から切り崩して補填するなどの対策が必要です。
マンション査定額を上げるコツ
なるべく高い査定額を提示してもらうためには、どのようなことをすればいいのでしょうか。以下に4つのコツをご紹介します。
複数の不動産会社に査定を依頼する
査定を依頼する際は、複数の不動産会社に依頼するようにしましょう。査定方法は大きく変わらないものの、査定額は不動産会社によって異なります。単純に高い査定額を選ぶのではなく、妥当性を判断したうえで決めるようにしましょう。
定期的にメンテナンスをおこなう
住宅設備や内装など定期的にメンテナンスをおこなっておくと、査定額アップにつながります。買主にとって、購入後すぐに設備の修理や交換が必要になったり、壁紙の張り替えが必要になったりする物件よりも、しばらく使い続けられる設備や内装が整った物件のほうが取得後の費用や手間をかけずに済みます。それぞれ交換時期の目安があるので、水回り設備や全部屋のフローリングなど、まとめて確認してみるといいでしょう。
住宅性能評価書を取得する
住宅性能評価書は、住宅の性能を客観的な基準で数値化した審査結果が記載された書類です。目の届かない部分の性能なども把握できるため、買主はほかの物件と比較しやすくなるほか、取得している物件だと安心して購入しやすくなります。住宅性能評価書の有無で売れやすさも変わるので、査定額アップにもつながりやすくなるでしょう。
修繕履歴や長期修繕計画を取得する
マンションの資産価値を維持するために、長期修繕計画書は欠かせません。過去の修繕内容がわかる修繕履歴に加えて、将来的な修繕計画がわかる書類を取得しておくと、適切な資産価値の維持が可能な物件かを判断しやすくなります。内容に問題なければ売りやすくもなるため、査定額を上げて高く売却するために取得しておきましょう。
マンション査定を依頼する不動産会社を選ぶポイント

マンションを高く査定してくれたからといって必ず高く売れるとは限りません。マンションを希望する価格で売るには、仲介会社や担当者の営業スキルが重要になります。では、どのような不動産会社を選ぶといいのでしょうか。以下で詳しく見ていきましょう。
査定額の根拠に納得できる
査定額の根拠を聞いたとき、明確な根拠を持って丁寧に説明してくれると納得しやすくなります。査定後の販売活動や売買取引においても、信頼して業務を任せられるでしょう。
不動産売却の実績がある
不動産売却の実績が豊富な会社であれば、豊富な知識やノウハウのもと査定してもらえるので、査定額の信憑性も高まります。スムーズなやり取りもできるので、売却実績がある不動産会社を探して依頼しましょう。
営業担当者が信頼できる
会社だけでなく、営業担当者との相性も重要です。営業担当者の言動や対応、サポート力などで判断し、信頼できると感じたら査定のみならずその後のやり取りも安心できます。
インターネット広告にも力を入れている
不動産会社の販売力はネットワークの強さが重要であるように、インターネット広告に力を入れている会社であれば販売活動にも有効です。インターネット以上で頻繁に見かける不動産会社を候補に入れてみるといいでしょう。
行政処分を受けていない
依頼したいと考えている不動産会社が行政処分を受けていないか、事前に確認することをおすすめします。不動産会社の免許番号等を調べ、免許を更新した行政庁で宅地建物取引業者の名簿を閲覧すれば確認できます。なかには改善している会社もあるので、直近の情報を確認するようにしましょう。
まとめ
マンション査定では、不動産会社が複数の書類や現地の状態などを確認して査定額を算出します。少しでも高く売却するためには正しい情報を不動産会社に共有する必要があるので、査定依頼する前に事前準備をしっかり行いましょう。また、不動産会社選びが重要なポイントの一つでもあります。査定から売却が完了するまで安心したやり取りができるよう、注意点を押さえて信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。
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